人間の脳が、遊びのような活動をしているときに、最も活性化するということから考えて、学びの効果は、遊び的要素によって向上することは、容易に想像できる。かつて、優れた業績をあげた人は、その分野に取り組んでいるとき、かならず遊びの精神をもっていたに違いないのである。もちろん、そこには大きな壁を乗りこえるという苦難があっただろうが、それも楽しいこと、好きなことをやっているからこそ克服できたのであろう。
以上のことを踏まえて、学校教育について考えてみる。各種調査によって、日本の子どもたちは、学校に楽しくて通っていることがわかっている。もちろん、いじめや不登校という問題もあるが、大多数の子どもたちにとって学校は楽しいところなのである。しかし、その楽しさは、友達と一緒に過ごせるからであり、勉強が楽しいという子どもは、極めて少数しかいないこともわかっている。本来学校は学ぶところなのだから、勉強が楽しくなければ、効果的な学習をしている子どもはわずかしかいないことは、疑う余地がない。そして、その傾向は、近年ますます高まっている。
学習指導要領による内容規制だけではなく、スタンダードなる言葉によって、教え方、行動様式までが、ある一定のものに揃えることが志向されている。