恵泉女学園大学が募集停止になったことで、再び大学倒産の話題が活発になった。これまでに倒産した大学の原因を詳しく分析した文章もあるが、ここではそうした原因ではなく、そもそも大学のあり方につなげて考えてみたい。
「募集停止・廃校となる大学は何が敗因か~16校の立地・データから分析した・前編」石渡嶺司
2000年以降に廃校になった大学は16校だそうだが、多くのひとは、ずいぶん少ないと思うに違いない。これだけ少子化、大学全入、定員割れ、大学の冬の時代などといわれているのに、800以上ある大学で16校しか潰れていないのかと、逆に感心するかも知れない。しかし、大学としての倒産は少なくても、部分的な廃業は、もっとずっと多い。ある学部を廃止して、他の学部に編成替えするなどということは、多数の大学が行なっているはずである。もっと深刻な事例としては、短大なり、専門学校を廃止して、4年制の学部に組み込むなどという例もある。私の勤務していた大学でも、短大と専門学校が廃止になり、4年制の学部に組み入れたり、教員を職員にしたりしたことがある。こうした再編による生き残りが可能になるのは、それなりに募集が安定している学部が複数あるからだ。つまり、大規模大学は、生き残りが容易である。だから、大学として、学部増設などによる大規模化をめざすのである。