今年の振り返り

 2022年も最期の日になった。ステイホーム生活をしている身としては、今日も明日も特別に変わったことがあるわけではないが、一応の区切りとして、今年を振り返っておきたい。 
 ニュースとしては、最大のものは、なんといってもロシアによるウクライナ侵略戦争の開始と継続だった。まだ帰趨は見えないが、今後の世界のあり方を根本的に変えてしまう可能性がある事件だ。最も好ましくない展開は、ロシアが挑発的な攻撃にでて、NATOが参戦せざるをえなくなり、第三次世界大戦となることだろう。プーチンが、ヒトラー的な妄想主義と、徹底した自己中心的人物なら、人々をそうした戦争に巻き込むことも厭わない危険性がある。
 最も好ましい展開は、プーチンや強硬派の大規模動員への反発から、市民や軍隊の反乱が起き、ロシアがいくつかの民族共和国に分裂し、その結果できる小ロシアが、ロシアの後継国家としての位置を国連で確保できず、安全保障理事会の常任理事国から消えることである。
 しかし、いずれにせよ、来年早々に決着がつく可能性は低いが、ウクライナの勝利を期待しよう。

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読書ノート『江戸雑記帳』村上元三 史実と創作

 歴史小説には、歴史の中心舞台を素材するものと、表舞台には出てこない市井のできごとを中心にするものとがある。司馬遼太郎の小説は、前者の典型で、有名な歴史的事実を扱うので、重要な筋として、自由な創作をすることはできない。しかし、後者は、むしろ創作部分が主体となる。もちろん、一方のみの作品を書き続ける作家は、おそらくほとんどなく、両方を扱っているひとがほとんどだろう。
 史実と創作をどのようにバランスさせるかについては、森鴎外の「歴史其儘と歴史離れ」で扱われて以来、様々な作家が自分の場合を扱っているが、村上元三氏のこの本は、創作への読者の意外な反応も書かれていて、興味深く読めた。

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SDカードが8400円?!

 このようなことは、あまり書きたくないのだが、非常に不愉快な思いをしたので、参考までに書いておくことにした。そして、書いてから数日、アップすることを迷っていたが、やはり、注意喚起という点で意味があると思い、アップすることにした。
 
 家族のスマホのSDカードが破損しているというメッセージが出てくる。何度か独力で修正を試みたのだが、改善されないので、店にもっていくことにした。スマホはY-mobile で契約したものだ。
 最初に経過を話して、最終的には店にあるカードを入れてほしいと説明した。このカードは自宅にあったカードで、最初はきちんと作動していたのだが、そのうち破損しているというメッセージがでるようになった。旅先の店で入れ直してもらったところしばらくは正常になったのだが、またまたおかしくなり、一切の写真が提示されない状況になったので、独力では無理だと思ったわけである。

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真に惜しまれる夭折作曲ビゼー

 年末のベートーヴェン第九が終わり、次の私の所属市民オーケストラの曲目に、ビゼーの「ローマ組曲3番」が入っている。まったく知らなかった曲で、団員もほぼ初めて知る曲だろう。CDもごく3枚程度しか出ていない。不思議なことに、3番といっても、1番と2番があるわけではないので、番号なしに「ローマ」と呼ばれることもあるようだ。何度か書き直して、長い間に変化もして、出版はビゼーの死後だったこともあり、そうした不可解なネーミングになったようだ。演奏困難なので、あまり演奏されないと、ウィキペディアに書いてあったように思うが、プロオケにも難しいほどではないが、アマチュアには、確かにやっかいな部分がある。でも、第3楽章などは、アルルの女のアダージェットを思わせる、非常に叙情的な曲だ。ビゼーがローマ大賞を得て、イタリアに留学したノルマとして、作曲したので、いかにもイタリア的な要素も随所に感じられる。

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シャーロック・ホームズ 職場の大事なものを自宅に持って帰るか

 犯罪を扱う小説で、事件が解決する場合には、どうしても不自然な要素が残ることが多い。というのは、読者を惹きつけるためには、犯罪そのものが特異で、解決が難しいことが求められる。だから、それを解決するためには、超人的な能力が必要で、ときには、あまりに不自然な偶然などを介在させたり、リアリティが損なわれることが多いのだ。そこで、骨格が同じふたつの物語を比較検討し、リアリティについて考えてみよう。
 
 ひとつは「エメラルドの宝冠」、もうひとつは「第二のしみ」である。ともに、ある重要なものを預かった人物が、職場に置いておくことに不安だったので自宅に持ちかえり、そこで盗難にあう。ホームズが、品物を取り戻すことを依頼され、無事戻るという点が共通である。しかし、その共通性にもかかわらず、印象としてはかなり異なる。

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都立高校が校内で塾を

 12月26日の読売新聞に、「都立高が塾講師招き「校内予備校」開設へ…受講費用は都教委が負担、経済的格差減らす狙い」と題する記事が掲載された。
 経済的な事情で十分な受験対策ができず、進学や希望が薄く進路を諦める生徒を減らす狙いなのだそうだ。放課後や土日、長期休みに実施し、英語と数学中心で、費用は、都の教育委員会が負担する。今後、実施する高校と提携する予備校を選定するという。
 記事の最期に、有料で校内予備校を実施している都立松原高校校長の談話があり、教師たちは個々の受験対策まで手が回らない。学習塾の効果的な学習方法で学力をつけ、進学への意欲が高まっていると語らせている。短い記事だが、コメントも既に700を超えている。賛否両論という感じだ。高校の教師は効果的な学習をさせていないのか、という疑問は置いておこう。

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安倍元首相銃撃考察16 山上の起訴が決定したが

 安倍元首相を殺害した犯人とされる山上の起訴が決まったと報道されている。その前に、山上の鑑定留置の延期措置がとられ、いつまでの延期なのかは、検察と弁護側の駆け引きで二転三転したが、まだ、鑑定留置が終了していない段階での「起訴」という決定は、いかにもおかしな感じを与える。この事件の司法側の対応は、疑問だらけなのだが、またひとつおかしな行為が加わったという感じだ。
 そもそも、鑑定留置は、容疑者に責任能力があるかどうかを鑑定するために、取り調べも中止して、鑑定を行うものである。だから、鑑定留置の途中では、責任能力があるかどうかは、判断できないはずである。まして、この山上の鑑定留置は、通常弁護団からの要請で行われるのに対して、検察自らの判断である。弁護側から、責任能力の有無の鑑定が要請されていないにもかかわらず、検察が率先して、しかも例外的に長期の鑑定を決定して実施していたものである。11月に期限が切れたときに、検察は更に延期を要請していた。つまり、結果がまだ十分に出ていないことを意味しているはずである。にもかかわらず、責任能力があると判断して、起訴を決定したというのだ。もちろん実際に起訴するのは、鑑定留置が開けたあとであるのだが。

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再論 学校教育から何を削るか12 いじめアンケート1

 教師に過重労働を強いている要素として、たくさんの調査と報告書の作成がある。文科省や教育委員会からもたらされるそうした調査と報告は、拒否することは難しい。管理職が処理すれば、教師の労働がそれによって過重になることはないだろうが、多くが個々の教師に課され、報告書の作成も負わされる。教育実践に役に立つ調査であれば無駄ではないだろうが、単に行政的な観点からの調査などは、時間の浪費以外の何物でもない。特に、年3回義務つけられている「いじめアンケート」は、前後の検討も含めて、大きな負担を強いているだけではなく、いじめ対応を逆に難しくしてしまう側面もある。
 
 いじめ問題が、現在の日本の学校教育における最大の問題のひとつであることは、多くの人が認めるところだろう。学校に子どもを通わせている親は、自分の子どもがいじめられていないか、あるいは、いじめの加害者になっていないかを、不安に思っているに違いない。いじめによる自殺という、取り返しのつかない悲劇も引き起こす。いじめは、学校に限らず、また現代社会に限らず、どんな人間社会にも存在していただろうが、今の日本で起きているいじめ問題の深刻さは、例をみないといってもよいのである。

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読書ノート『平蔵の首』逢坂剛

 題名でわかるように、長谷川平蔵を主人公にした小説である。県立図書館で、何か面白そうな本はないかと探しているときに、大活字本シリーズがあり、この本を見つけた。大きな活字で印刷されているので、私には非常に読みやすくて、一気に上下2冊を読んでしまった。巻末に佐々木譲氏との対談か掲載されており、それによると、長谷川平蔵を主人公にする小説を依頼され、引き受けるにはかなりの決意が必要で、しかも、書き始めてからも、苦労が多かった。池波正太郎の『鬼平犯科帳』が絶対的人気を誇っており、そこで長谷川平蔵のイメージが形成されている。しかも、人気ドラマシリーズもある。その池波版長谷川平蔵とは違うように書かねばならないということで、苦労があったということだ。
 長谷川平蔵は実在の人物であり、記録をそれなりにある。そうした歴史的事実をまげることは許されない。実は池波氏は、いくつか細かい点で、歴史的事実をまげて書いている。それを事実に戻すことで、池波版とは違う平蔵を描くことはできる。

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タリバン 女性を大学から排除

 政権復帰前後には、女性の権利を守ると宣言していたタリバンが、既にその公約を裏切っている。ヒジャブを強制しているし、教育も制限しつつある。中等教育機関では、女子生徒の登校が禁じられて、自宅待機になっていたが、更に、女性が大学に通うことを認めない方針を打ち出した。
 そうしたときに、必ずもちだされるのが、イスラム法に規定されているとか、クルアーンの精神などといわれている。しかし、イスラム教徒であり、イスラムの専門家も、女性は教育を受けることはゆるされない、などという教えや法は、イスラムにはないと語っている。また、パキスタンのイムラン・カーン首相は、「女性は教育を受けるべきではないという考えは、イスラム教にはない。宗教とは無関係だ」とインタビューで語っている。

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