Law & Order リアルタイム番組のでのトラブル 誰の責任か

 テラスハウスの番組の内容で誹謗中傷を受けた出演者の中村花さんが自殺した事件は、記憶に新しい。私自身は、この手の番組を見ないので、番組にかかわることはわからないが、その後のSNS上の誹謗中傷については、関心があり、ブログに既に書いた。ただ、この事件の問題には、番組そのものの「やらせ」要素もずいぶんと議論になっているようだ。台本はなく、ごく自然に起きていることをカメラが追う、というふれこみだが、台本があるのではないか、台本ではなくとも、何らかの指示があるのではないか、しかも、対立を煽るような指示があるのではないか、というようなことが、多くの人に疑念として抱かれているのだろう。もし、これが、アメリカで起きた事件ならば、何らかの裁判になった可能性がある。もちろん、日本でも今後、何らかの提訴もありうるのだが。
 Law & Order をずっと見ているのだが、そのなかに、まさしくリアルタイム番組を扱ったテーマがあった。2000年に放映されたシリーズ11の15回目「特別エピソード」である。当時、アメリカでもリアルタイム番組が、いろいろと議論になっていたのだろう。内容は以下の通りだ。 “Law & Order リアルタイム番組のでのトラブル 誰の責任か” の続きを読む

law & order 飲酒運転と植物人間へのレイプ

 Law & Orderをみていると、日本とまったく法意識が逆ではないかと思うことがある。シリーズ8には、そう感じる例がふたつ続いた。
 3人がひき逃げ事故にあって死亡した。犯人が捕まるのだが、犯人とその弁護士は、飲酒運転をしていたので、意識がなく、無実であると主張する。そして、飲酒の事実を認められれば、無罪が確定するかのようにドラマは進行する。たまたま担当した判事が、飲酒運転撲滅を強く意識しており、この裁判をそれに活用しようとする。しかし、検察としては、ここで法の矛盾に突き当たる。犯人は、飛行機で飲酒をして、そのまま運転し、ひき逃げをするのだが、検察は、飛行機内で世話をしたCAに聴取する。15杯くらい飲み、ぐでんぐでんに酔っていたことがわかる。検察は、それでは無罪になるというので、それを隠そうとする。判事とも険悪になったりするわけだ。最終的には、3人も轢いて殺してしまったことへの反省の気持ちを引き出し、取引をするのだが、このドラマをみて、日本人ならそもそも納得できないものを感じるだろう。
 日本なら、飲酒運転で事故を起こせば、それだけで有罪だし、まして意識がないほど泥酔して、3人もひき逃げしたら、かなりの重罪になるはずである。酔っていたので意識がなく、故意ではないから無罪だ、などと思う人間はまずいないといえる。しかし、アメリカでは、無罪なのだろうか。まさか、法の規定を無視したドラマを作るはずもないのだから、なんとも不可思議だ。 “law & order 飲酒運転と植物人間へのレイプ” の続きを読む

Law & Order どちらが殺したのか

 第8シリーズ第4回は、非常に難しい、しかし興味深いテーマだった。
 誕生日のプレゼントを贈るために、友人に安く売ってくれるように頼み、ニューヨークの夜の暗い場所で待ち合わせる。妻は夫と一緒にそこにいくのだが、嫌がり早く帰ろうというが、夫は、約束なので車から出ると、待ち伏せていたのは、「殺人をしてみたい」という若者で、いきなり車内にいた妻を撃って逃走する。夫は急いで病院に運ぶが、頭部を撃たれていて重体だ。車内には小さい女の子が乗っていて、帰宅したあと、両親が喧嘩していたと警察に告げる。誤解した警察は夫を逮捕するが、直ぐに誤認だったことがわかり、捜査の結果、若者3人の仕業だったことがわかる。最終的に、そのなかの一人が、殺人そのものに興味があって、撃ったことを突き止める。
 助かることを期待していた夫に、脳死状態になったので、臓器提供をしてほしいという要請があり、夫はそれに応じる。
 裁判が進行するなか、検察が、妻のカルテをみて奇妙なことに気づく。死亡時刻、死亡診断書を書いた医師、そして、臓器摘出の時間があいまいだった。そして、臓器摘出した時点では、まだ妻は生きていたのではないかと判断する。そして、それがやがて被告側にわかってしまうと、殺人罪を問えなくなるので、漏れる前に、司法取引に持ち込もうとするのだが、何かおかしいと感じた弁護士が、取引を拒否する。そして、証拠提出をせまり、検察が隠していたことを突き止め、殺人罪が成立しないことを主張する。 “Law & Order どちらが殺したのか” の続きを読む

Law & Order 黒人の暴動

 主にニューヨークの犯罪を扱ったドラマだから、当然黒人問題が様々な観点から関わっている。そのなかで、現在起きているアメリカの騒動を考える上で、Law & Order の第4シリーズ19回目を紹介したい。こちらの暴動は、今起きている状況より、ずっとおとなしいが。
 二人の黒人の少年がバスケットのボールでドリブルをしながら、ハーレムの歩道を歩いている。後ろから知り合いと思われる黒人少年が走ってきて、ボールを奪い、しばらく進んであと、後方に大きく投げる。とられた一人が、ボールを追いかけ、車道に走り出て、丁度走ってきた車に轢かれて死亡する。轢いたのは、ユダヤ人のバーガーだったが、その場は逃げてしまう。そして、数時間後に弁護士を伴って自首する。
 ドラマをみている者は、たぶん防ぎようがない事故だったろうということと、逃げたのは何故という疑問をもつ。ベーガーは「ハーレムで黒人を轢いて、無事にいられるか?」と逆に刑事たちに問いかける。不可抗力の事故だったので、自分から警察にやってきたのだという。検事も起訴すべき事案ではないと考えるが、そのままに不起訴にするのもどうかと、大陪審(起訴すべきかどうかを、市民の審議にかける場)にかける。結果は不起訴となる。 “Law & Order 黒人の暴動” の続きを読む

Law & Order 死刑をめぐって

 アメリカは、日本とともに、先進国として死刑制度を残している例外的な国である。もっとも、多くの州は廃止しており、制度的に許容している場合でも、実際の死刑判決がほとんどでていないというところも多い。Law & Order は、ニューヨークを舞台としているが、1995年にパタキ知事によって再導入された。Law & Order は、第6シリーズにあたり、このシリーズでは死刑の話題がしばしば登場する。そして、実際に死刑判決がでるのが第3回で、死刑執行がなされるのが最後の第23回である。
 ある死体が発見されるが、それは潜入捜査官クロフトだった。死刑が再導入された時期だったので、警官が殺害されたとあって、刑事たちは必ず犯人を捕まえると意気込み、検察は最初の死刑適用事例にしようと考える。結局、犯人は、表は社会的地位が高く裕福な公認会計士のサンディグであり、家族と幸せな生活を営んでいるが、裏では、麻薬王の一人の手下で、公認会計士としての地位を利用して、資金洗浄に協力していた。それをクロフトに嗅ぎつかれて殺害したのだった。 “Law & Order 死刑をめぐって” の続きを読む

Law & Order の考察を始めるにあたって

 以前、アメリカのテレビドラマの Law & order をスピンアウト作品も含めて、大部分見たのだが、最近、見直している。鬼平犯科帳は、一通り、テーマとして扱えるものは終わった感じなので、今度は、Law & Order について、順次考えていこうと思う。アメリカの人気ドラマで、同一題名での最長記録と言われているようだし、(20年継続)、さらに、スピンアウト作品が、私の知る限り5つもあり、そのなかの性犯罪を扱ったシリーズも、20年に達している。とにかく、こんなに多い回数作られた連続ドラマは、他に例がないだろう。有名な作品だから、多くの人が知っていると思うが、これだけ続いたということは、やはり、社会のなかで存在意義がずっとあったということだ。内容の紹介と考察は、次回以降にするとして、日本のドラマとアメリカのドラマを、この作品で代表していいかは疑問だが、ひとつの特質としていえることがある。日本の刑事ドラマでの長く続いている代表は「相棒」だろう。そして、「相棒」は、いくつかの過去の作品からヒントをえているといえる。シャーロック・ホームズ、刑事コロンボ、そしてこのLaw & Order である。一番似ているのが、Law & Order だと思う。「相棒」は、刑事二人が相棒として活躍し、事件を解決していくが、Law & Order もドラマの前半はそういう構成になっている。しかし、ドラマの作成として、「相棒」は水谷豊が不動の主人公で、相棒は現在4人目であるが、変わっていく。しかし、Law & Order では、二人の刑事も、後半の主な担い手の検察二人も、3,4年で交代している。もっと長い人もいるが、とにかく、ずっと出ている人は、一人もない。つまり、「相棒」は、水谷豊という俳優が中心となる構成になっているが、Law & Order はあくまでも刑事二人と検察二人という構造が中心になっている。 “Law & Order の考察を始めるにあたって” の続きを読む

「鬼平犯科帳」 平蔵は剣豪?

 小説やドラマとしての「鬼平犯科帳」では、盗賊をとらえるときには、長谷川平蔵が出張るだけではなく、最も手ごわい相手と切り合い、切り殺したり、あるいは召し捕ったりする中心となる。しかし、それはあくまでもフィクションとしての面白さをだすための、時代劇に必須のアイテムとして設定されていると考えられる。NHKの「その時歴史は動いた」の長谷川平蔵篇では、 実際に捕まえたのは、スリなどばかりだったと放映したと、どこかに書かれていたが、それは違うだろう。小説ではなく、実在の長谷川平蔵を紹介する文献でも、かなりの人数の盗賊を捕縛したことは、何度もあるという。しかし、ほとんどの盗賊は、実際に現場を押さえられ、多数の盗賊改方の捕手たちに囲まれると、抵抗もせず逮捕されたらしい。これは、現在の暴力団ですら、警察が逮捕にきたら、銃で応戦するなどということはなく、そのまま素直に逮捕されることから考えれば、納得できることである。
 ただ、そうした派手な捕り物以外の場面で、「鬼平犯科帳」では、当代随一ともいえる剣客として、切り合いを演じたり、あるいは、襲われる場面が多数でてくる。 “「鬼平犯科帳」 平蔵は剣豪?” の続きを読む

鬼平犯科帳 悪事への欲求

 鬼平犯科帳は、いうまでもなく、犯罪者、とくに盗賊の犯罪を扱った小説である。盗賊といっても、様々なタイプの盗人が登場する。しかも、「本格の盗賊」とそうでないものに区分までしている。本格の盗賊とは、
・盗られてこまるようなところからは盗らない。
・人を殺さない。
・女を犯さない。
という三カ条を守るものをという。それに対して、財産全部盗ったり、あるいは殺人、強姦をするものに対して、平蔵は厳しく取り締まるし、また、本格盗賊も、彼らの軽蔑する。
 ところで、盗賊といっても、いつまでも盗みを働き続けるわけではなく、途中で嫌になったり、あるいは、高齢になって引退することもある。また、捕まってしまう場合もある。捕まった者のなかで、改心し、役に立つと平蔵が判断すると、密偵に取り立てる場合もある。そういう引退したり、あるいは、密偵になった元盗賊が、盗みへの欲求を抑えられなくなるときがあるようだ。また、とくに盗賊だったするわけでもない、普段は善人なのに、ふと火付けをする話もある。 “鬼平犯科帳 悪事への欲求” の続きを読む

「鬼平犯科帳」 鬼平の隠蔽


 現内閣は、隠蔽の名人ともいえる。いや、名人はうまくやるものだが、現内閣の隠蔽は、隠蔽していることが白日の下に晒されているから、何の工夫もしていない。追求側に、それを覆す力がないので、露骨な隠蔽をされても、隠蔽側は嵐はやがて去るという姿勢だ。日本の政治家の劣化が甚だしいという事例だろう。
 現内閣の隠蔽は最高責任者の悪事が対象だから、始末が悪いが、さすがに長谷川平蔵は、失策を何度かしているが、悪事はしていない。若いころのごろつき同様の生活をしていたころには、何度かあり、それが物語で蒸し返されることはあるのだが。ただし、長谷川平蔵も隠蔽をしている。しかし、それは自分のことではなく、部下たちの不祥事に関してである。
 もちろん、隠蔽不可能だったこともある。「あごひげ三十両」で、盗賊改方与力高田万津之助が、津30万石藤堂家の家来3人と切り合いになり、相手のひとりを死なせ、自分も怪我をして、翌日息をひきとる。高田に非がある喧嘩で、平蔵は、若年寄堀田摂津守に呼び出され、「いずれにぜよ、お役目は相つとまらぬものとおもうていよ!」と謹慎を言い渡されてしまう。
 料理屋で始まった喧嘩であり、大藩の家臣を切り殺したわけだから、隠蔽のしようがなかったわけである。
 しかし、以下紹介する4つの事例は、いずれも、当人は事情は異なるが、いずれも死んでしまうが、平蔵はそれを届けることなく、形としては、隠蔽してしまうのである。 “「鬼平犯科帳」 鬼平の隠蔽” の続きを読む

鬼平犯科帳 密偵の誕生


 「鬼平犯科帳」には、大勢の密偵が登場する。主に活躍するのは、平蔵直属の密偵だが、与力や同心についている密偵もいる。実際にそうであるかはわからないが、「鬼平犯科帳」に登場する密偵のほとんどは、元盗賊である。したがって、かつての仲間を裏切って売る行為をしている。そのために、盗賊からは狗と蔑まれている。それを承知で、密偵を務めている。江戸時代の奉行所に勤める同心がつかっている密偵たちも、犯罪集団すれすれの人間が多かったとされるが、平蔵の密偵たちは、全員がそうだ。そして、それぞれ、密偵になるいきさつが物語のなかで語られる。例外は伊三次のみで、彼は最初から密偵として登場し、しかも、主要な密偵のなかで、一人だけ殺されてしまう。そのせいか、伊三次にはファンが多いようだ。
 では、それぞれどんな経緯で密偵になったのだろうか。 “鬼平犯科帳 密偵の誕生” の続きを読む