ウクライナ戦争後の構造は?

 最近のウクライナ情勢をみていると、どうしても思い出してしまう風刺画がある。小学校や中学校の教科書に載っていたので、多くの人が覚えていると思うが、日英同盟を結び、ロシアとの戦争に向かっていく日本を描いた絵だ。恐ろしいロシアに、イギリスとアメリカが日本をけしかけている図である。
 
 
 私には、日本をウクライナに置き換えれば、そっくり現在の図式になると思う。もちろん、日露戦争は、純然たる帝国主義戦争であったが、現在行われている戦争は、ロシアがウクライナに侵略しているものだ。そして、日露戦争は、日本でもロシアでもない地域で闘われたが、現在の戦場はウクライナという当事国の一方である。こうした大きな違いはあるが、それでも、侵略意志をもったロシア、それをやっつけようと思っていて、実力はあるが直接闘う意志はないイギリスとアメリカ、そして、闘う意志はあるが、単独では無理だと思っている日本とウクライナという図式は、まったく相似関係にあるように映る。

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あらためてプーチンという人物を考えてみる

 プーチンという人物をどのように評価するかは、その人の価値観なり人間観の反映であるかも知れない。なにしろ、多面的な人間なので、どの面に惹かれるかによって、評価する人物の人間観が表れるのではないだろうか。オリバー・ストーンは、プーチンと何度も面談して、著作とドキュメント番組を制作したが、最終的にプーチンを肯定しているかどうかは別として、かなり優秀で思考力のある人物であると見ている。ストーンと話すプーチンは、確かに頭脳明晰で、自信をもっている。同じアメリカ人たちが制作した『プーチン 戦争への道』というドキュメントは、まさしくプーチンを暴君として扱っている。これは4月24日にNHKBSで放映されたもので、KGBの要員だったドレスデン時代から、ウクライナ侵攻までのプーチンの歩みをふり返りつつ、様々な人がプーチンについて語った内容である。プーチンの歩みそのものは十分に知られているが、彼を知る人のプーチン評や、いくつの場面の映像は非常に興味深かった。『プーチン 戦争への道』によって、少しプーチンの足跡をみておこう。

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吉野家騒動と大学の教授の自由

 吉野家は、これまで2,3回しか入ったことはないが、正直あまりいい印象がなかったためでもある。トラブルのイメージも強かった。そして、今回は、とびきりのトラブルが生じて、既にたくさんの記事やコメントが書かれている。様々な論点について書かれているが、できるだけまだあまり書かれていないように思われる点について、気になることがあるので、書いてみる。
 事件の要点は、早稲田大学の社会人向けマーケティング講座で起きた。第一回だったそうだが、吉野家のマーケティングの責任者が、講義を行った。そのときに、「田舎からでてきたばかりの生娘をシャブ漬けにする」というのが、マーケティングの基本だと述べ、さらに、金持ちの男性に高級料理をご馳走されるようになれば、見向きもされないとまで言ったそうだ。そして、受講していた女性が、まずは大学に抗議し、SNSでそのことを公表したので、騒ぎになった。吉野家は大方の予想に反して、迅速にこの担当者を解雇して、謝罪したというのが、事件の顛末である。

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ウクライナの感謝がなかった?

 今日の報道によれば、ウクライナ軍が、これまで支援してくれた国に感謝の念を伝え、支援してくれた国名を掲載した記事に、日本の名前がなかったというので、ネット上で話題になっている。私もその一覧を確認したが、確かになかった。今後訂正される可能性はあるが、思い出すのは、湾岸戦争だ。イラクがクウェートに侵略して、アメリカを中心とした連合軍がイラクを退けたのが湾岸戦争だ。この戦争は、CNNが大々的に実況中継を行い、初めてこうした戦争のリアルタイム映像を世界に発信したというので話題にもなった。実際に、戦争のリアルタイム映像を最初に発信したのは、ベトナム戦争だったが、当時はまだカラーではなかったので、アメリカ以外ではニュースとして事後に流れたことが多かった。湾岸戦争では、まるでゲームをみているようだと、賛否両論あったことを覚えている。

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東北大学の女性限定教授募集について

 都立高校の男女別定員問題とは、大分性質が異なるが、東北大学工学部で、享受を女性限定で募集する例が話題になった。
 募集要綱は、東北大学のホームページで見ることができる。
 私は、文系の教授だったので、理系の募集形態はよくわからないが、募集要項を見る限り、厳格に決められた領域での募集ではなく、6つのグループに属する13の専攻のなかから、配属を希望する専攻を選択することになっている。つまり、13の領域にかかわって、5名の教授を募集する、そして、それは女性限定であるということだ。
 私が経験してきた大学教師の募集は、すべて、特定の領域が指定されて、募集は1名である。もちろん、別の領域の募集も同時に行われることがあるから、その場合は、その数だけの募集になるが、領域が広範囲に指定されて、そのなかから自分にあう領域を選択できるという募集様式は、私自身ははじめて目にした。理系ではそういうことがけっこうあるのかどうかわからない。だからこそ、女性限定ということを打ち出せるのだろうと思った。特定の領域を指定して、募集1名ということになると、さすがに、女性に限るというのは、コンセンサスを得にくいのではないだろうか。

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佐々木朗希と審判のトラブル 審判の訓練は?

 佐々木朗希が今度は、審判とのトラブルで話題になっている。ヤフコメなどは、半日で数万を越えているような状態だ。
 二死一塁、バッター2ストライクという場面で、佐々木の投球がボールと判定され、ランナーが盗塁したが、松川捕手の投げたボールが大きく逸れて、セーフに。そのとき、佐々木が振り返って、にやっと笑い、何かを言いかけた。すると、主審の白井がマウンドに歩み寄り、何かを佐々木にいっているようにみえる。そして、捕手の松川が行く手をミットで遮りながら、何か語りかける。佐々木の近くまでいったが、白井主審は引き返した、ということだ。私は、ヤフーの速報で知って、まずコメントを読み、それから、しばらくしてyoutubeの動画で確認した。テレビ放映の画面だけではなく、個人がとった映像もたくさんあって、こうやって、観戦者が映像をアップしているのかと、このことに感心してしまったが。

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ウクライナ侵攻問題でのコメンテーター 2

 前回は、ロシアのウクライナ侵攻の目的と、ロシア人の被害者感情などについて扱われていたが、次に制裁やロシア人による虐殺について扱われる。
 まず上松氏が、「 ロシアへの制裁にかかわる国は、国連の一部だ」と提起すると、佐藤氏が、「経済制裁をしていない国が多いのは事実だが、欧米はほとんどやっている。」と述べて、欧米がやっていれば、経済制裁していることになるということで済ましているような気がする。しかし、ロシアへの経済制裁は、ひとつは、ロシアの輸出等を制限して、ロシアに戦争するための費用を与えないようにする、さらに、ロシアへの高度な技術をもつ製品の輸出を制限して、兵器の再生産を防ぎ、またロシア経済の発展を阻害することという、ふたつの目的があるが、後者は欧米が経済制裁をすれば、目的がある程度達成できるが(といっても、中国が輸出すれば、かなり穴埋め可能)、前者は、途上国がロシアのエネルギー、食料を買いつければ、ロシアの収入は確保されてしまう。従って、欧米が制裁していれば、目的達成に問題ないかのような発言は正しくないし、途上国に対して、どのように経済制裁に参加させるかの議論がなければ、やはり、制裁は目的を達成できなくなる。
 さらに続けて、佐藤氏は、大使は論理のすりかえをしていると批判する。「国連憲章2条の武力の行使をしているのは、ロシアである。自分が国連批判をしているのに、西側と我々という区別をするのはまちがい。ジョージアや南オセチアと同じ。嘘をつくと、嘘を隠せなくなる。我々は現実をみている」と一刀両断する。

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ウクライナ侵攻についてのコメンテーターへの不満1

 ウクライナ侵攻は連日、各局でさかんに放映されているが、コメンテーターの解説がすっきりしない点が散見される。少なくとも、私のような素人から見ても、不十分であったり、論点がずれた解説、そして、肝心のことについて口を閉ざすような場面がある。極めて興味深い番組だと思った、日本テレビの「深層NEWS 日テレ」(4月22日放送)を素材に考えてみよう。この番組が、非常に興味深かったのは、    駐日ロシア大使のガルージン氏へのインタビューがあり、それに関して、解説者がコメントする形をとっていたことだ。
 解説者は、佐藤正久(自民党 外交部会長)、畔蒜泰助(笹川平和財団 主任研究員)、飯塚恵子(読売新聞編集委員)の3名で、キャスターは、右松健太(日本テレビ)という構成だった。なおガルージン氏はすべて日本語で応じていた。
 
 最初に、上松氏が、ガルージン大使に、ウクライナ侵攻の目的は何かと質問している。

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プールの水出しすぎで賠償請求 しかし、本当の問題は別に

 横須賀市の中学校で、教員がプールの給水栓を2か月間断続的に出しっぱなしにしたために、プール10~11杯分の水道水が流出し、348万円が余計にかかったので、その半額を担当教員、校長、教頭の3人に損害賠償したという報道があった。
 プールの水を誤って栓を抜いてしまい、もう一度いれ直すような事故は、たまにあると現場の先生から聞いている。プールの大きさや、自治体によって費用が違うだろうが、数十万の損失になり、誰が負担するか問題になるといっていた。
 しかし、今回の問題は、そうしたうっかりミスではなく、誤解による確信犯ともいうべき行為で、コロナ対策として、水を出しっぱなしにする必要があると思い込んだ担当教員が、他の教員が栓を締めても、再度栓を開けて水を入れ換えていたというのだから、不思議な事故だ。コロナの感染者がでたら、プールは中止にするだろうし、消毒が必要なら、消毒液を散布するだろう。水を入れ換えることで、感染症対策をするというのは、あまり聞いたことがない。どうして、そんな認識を仕入れたのか、ぜひ後追いの報道を期待したいものだ。

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ロシア擁護のネット書き込み

 ウクライナ戦争は、情報戦という側面が強く出ている。そして、情報戦は、日本のネットでの書き込みにも現れている。ヤフコメには、かなり不合理な書き込みが見られるからだ。ただし、この文章を書くために、再度ヤフコメをチェックしてみると、かなりの書き込みが消されているような気がした。よりたくさんの新たな書き込みが増えたので、うもれてしまった可能性もあるが、多少、記憶によって、書く部分があることをお断りしておきたい。
 現在は、ウクライナ支持、プーチン弾劾という色調が、日本のメディアとネットを支配しているが、それに挑戦する、疑問を呈する書き込みは、いくつかのパターンがある。
 
・ゼレンスキーにもかなり問題があり、例えば、ロシアを挑発すような政策をとっていた。プーチンが話し合おうと提案したのにそれを蹴ったために、プーチンは侵攻せざるをえなくなった。未成年、高齢者以外の男性は国外に出てはいけないという政策はおかしい。
・人間を楯にしているのは、ゼレンスキーである。
・避難しようとしているウクライナ人を銃で撃っているのは、ウクライナ兵であって、ロシア兵ではない。ロシア兵には、ウクライナの民間人を殺害するメリットがない。

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