三上和夫氏といっても、知る人ぞ知るということもいえるが、教育学の世界では、著名であるし、また実力ある研究者だった。現在、私は、大学時代の教授(ただしゼミ生ではない)であった五十嵐顕全集の編集の手伝いをしているのであるが、五十嵐先生がなくなったとき、強く著作集の刊行を三上氏が主張したが、反対もあり、それは実現しなかった。その経緯については、三上氏から直接何度も聞かされており、したがって、今五十嵐顕全集が準備されていることについて、三上氏は非常に喜び、可能な協力を惜しまなかった。その協力によって入手できた五十嵐論文も少なくない。しかし、この完成をまたずして亡くなられたことは、本当に残念だ。
投稿者: wakei
2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。
以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。
ダイリーグの報復死球が酷い
直近のドジャースとパドレスの試合での、報復死球の連発はあまりに酷いものがあると感じている人が多いに違いない。アメリカの解説者のなかでは、報復死球は伝統的なもので、とくに問題がないなどと語っている人もいるが、大谷は2回も被害にあっており、映像をみるかぎり、ほぼ間違いなく故意にあてている。とくに一度目の死球などは、最初に膝あたりをねらったのだが、大谷がうまくよけたので、次の投球では、よけることを計算にいれた腰あたりを狙ってなげている。だから、バッターボックスの端あたりになげられていて、逆にいえば、大谷がまったく逃げなければ、お尻のあたりを外れた可能性すらある。しかし、近くにくる投球には、反射的に後に下がってよけるから、よけてくるあたりになげたわけだ。試合後の記者会見で、投手が、「故意か」と聞かれて、「みればわかるだろう」と、事実上故意であることを認める回答をしたとされる。
長嶋が亡くなった
長嶋茂雄が亡くなったという。読売は号外までだしていた。いつ亡くなっても不思議ではないような健康状態だったから、ついにきたかという感じだが、やはり、時代をつくった人物だ。
私は、これでも小学生のころは野球少年で、中学の部活などには入らなかったが、草野球として大学院時代まで野球はやっていた。駒沢の近くに住んでいたので、駒沢球場があったころは、けっこう頻繁にいったが、やはり、後楽園で巨人戦をみることが、楽しみだった。長嶋が新人として入団して、金田に4三振をくらった試合は、ずっとテレビでみていたし、天覧時代などもやはりテレビでみていた。後楽園球場では、金田や長嶋、王が全盛時代によく見に行ったものだ。
ウクライナ戦争の終わり方
トランプの登場後、ウクライナ戦争の動向は激しく変化している。何度も文章を書きかけたのだが、書いているうちに情勢が変化してしまうので、没にせざるをえない文がいくつかあった。
トランプは、当初あからさまにプーチン寄りの姿勢をとり、まともな神経をもっているとは思えなかったが、途中、多少なりともウクライナへの配慮もするようになった。が、現在のところ、プーチンが戦争をやめる気がないことがわかった段階でも、プーチンよりの姿勢をとっているといえる。あれだけ戦争を終わらせる必要があるといっているのだから、そのためには、終わらせる気持のないプーチンを叩く以外には戦争集結は不可能だと思うのだが、結局、トランプは、責任感をもって対処しようとしているわけでもなく、アメリカが損をしなければよい、和平を実現してノーベル賞を手にすれば、それにこしたことはない、という姿勢なのだろうか。とにかくトランプの今後は予想できないが、ウクライナ戦争の行方の筋道はわかる。
東京都交響楽団での「現代音楽」感想
昨日、東京都交響楽団の定期演奏会Aにいってきた。プログラムはすべて、いわゆる現代音楽に属するもので、好きな人にとってはたまらない演目だが、すきではない者にとっては、二度と聴きたくないようなものだった。残念ながら私は後者のほうだ。曲目は
トリスタン・ミュライユの「ゴンドワナ」
夏田昌和の「オーケストラのための<重力波>
黛敏郎の「涅槃交響曲」
私はすべて初めて聴く曲だった。何故、感想がはじめからわかっている演奏会に行ったかというと、2025年度の定期会員になったからである。前回は、アルバン・ベルクとブラームスだったし、今後もいろいろあるのだが、定期会員だから、仕方なくというほどでもないが、たまにはいい経験かもしれないと思っていたことも間違いない。 “東京都交響楽団での「現代音楽」感想” の続きを読む
トランプの教育省閉鎖政策
トランプ大統領が、教育省廃止にむけた大統領令に署名したということが、大きな話題になっている。あまり知られていないことだが、アメリカでは、1979年に連邦政府の教育省が設置されるまで、日本の文部科学省にあたる省庁は存在しなかった。しかし、州政府の中には、文部科学省にあたる部局が存在している。つまり、アメリカでは、憲法によって、教育は州の権限であることが、銘記されているのである。だから、連邦政府には、文部行政をおこなう必要がなかったといえる。これは、アメリカのような広大な面積をもつ国では、教育に対する要求も多様であるだろうし、学校教育は地域が主体となって運営することが適切である、という考えに基づいていたのであろう。
高野山訪問
すっかり間があいてしまったが、この間旅行をしていた。いつものように、車による長距離旅行だったが、昨日無事帰宅した。今回の旅行の主な目的は、九州での親族の集りに妻が出席することと、これまで行ったことがなかった和歌山にいくことであった。そして、和歌山にいくからには、高野山にいってみようということだったが、それは、以下のような高野山への「関心」があったからである。
中学の歴史で習うことだが、平安時代に最澄と空海が、それぞれ天台宗の比叡山延暦寺、真言宗高野山金剛峯寺を建立して、その後の日本の二大寺院として今日に到っているのだが、私にとっては、このふたつは、かなり異なる印象をもっていた。というのは、比叡山は、僧兵が暴れたとか、信長に焼き討ちにあったというような武力的な面もあるが、なんといっても、日本の歴史に残る宗教家を輩出したという点で際立っている。源信、法然、栄西、親鸞、道元、日蓮など、高校の教科書には必ず載っているような人物であり、彼等は、みな比叡山で学んでいるのである。一度比叡山を訪れたことがあるが、法然がこもって修行した庵などのように、彼等の庵が名前付きで存在していた。もちろん、本当のものではないだろうが、比叡山といえば、多くの人にとっては、彼等の学んだ場であると認識されているだろう。
Black Box Diaries 問題を考える
伊藤詩織氏が自らの性被害の経験を映画として制作し、日本以外の数十カ国で上映されているにもかかわらず、日本での上映が困難となっていることについての議論がなされている。私自身は、この映画をみていないし、また、詳細を追いかけているわけでもないが、極めて重大な論点があるので、考えてみたいとおもった。
事態がジャーナリスティックに大きな話題となったのは、以前から問題になっていた、この映画における「情報許諾」について、許諾を受けていないという批判記事を書いた望月氏を、伊藤氏が名誉毀損で提訴すると公表したことがきっかけとなったように、私には思われる。私自身が、それ以前の状況について、ほとんど知らなかったということもあるかもしれない。
そして、伊藤氏の性加害訴訟で弁護団を組んでいた弁護士たちが、この映画の許諾問題で、伊藤氏と袂を分かち、批判の側になっており、記者会見を開いた。時間差で伊藤氏側も同じ場所で記者会見を開くはずだったが、体調不良を理由に欠席し、伊藤氏側に不利な状況になっているように感じる。
トランプは独裁者になりたいのか
トランプの最近の行動をみていると、独裁者として振る舞いたいという衝動・欲望を感じざるをえない。結局、プーチン・周恩来と3人で世界を支配したいのか、という疑念がどうしても湧いてくる。中国を封じ込めるなどと言っているが、結局のところ、トランプは習近平とは必ずしも犬猿の仲という関係でもない。プーチンとの仲は以前からのものだ。金正恩を「いいやつ」と表現していることでもわかるように、トランプが気に入っている人物は、とにかく独裁者かそれに近い人物ばかりである。安倍晋三もその一人だ。にもかかわらず、ゼレンスキーのことを「独裁者」などと決めつけているのだから、呆れてしまう。
1円硬貨廃止問題
トランプが1セント硬貨の廃止を主張していることが、波紋を呼んでいる。具体的にどのように廃止するのかが明確ではないが、日本でも1円硬貨は廃止すべきだと思っている。ただし、廃止後のありかたが問題である。
私が1992年から1年オランダに滞在したときに、実は、オランダでは1セント硬貨が廃止されていた。ただ、その後ユーロ貨幣がだされた段階で、その方式も終わりになり、現在ユーロでは1セント硬貨があるはずだ。