イギリスの作曲家ハワード・グッドールの著書『音楽を変えた5つの発明』という本がある。クラシック音楽が発展した契機となった音楽上の「発明」が5つ記されている。
・記譜法
・歌劇(オペラ)
・平均律
・ピアノ
・録音技術
の5つである。このうち4つが、クラシック音楽が国際化した理由を明らかにしていると、私は思う。オペラは結果として、様々な形で存在している民族的「歌芝居」のなかで、国際化したのが、17世紀以降にヨーロッパで発展したオペラだけであるという、国際化の結果を示すものとして重要だが、それは別の機会に書くとして、ここでは残りの4つを取り上げてみたい。
記譜法1 多様な記譜法
私たちが、誰でも知っている五線譜という、音楽を記録する方式は、ヨーロッパだけで発達し、そして、楽譜の形として世界中で利用されている。もちろん、古今東西、五線譜とは異なる記譜法はいくらでもあるし、また現在でも使われていると思うが、普遍的に使用可能といえる記譜法は、五線譜のみである。
では、五線譜と他の記譜法は、何が違っているのか。