大リーグの乱闘

 大谷翔平の不調が、死球と四球の連発にあることを、前に書いたが、たまたまyoutubeをみていると、大リーグの乱闘映像がたくさんあったので、いくつかみてみた。すると、あまりに日本の状況と違うので、びっくりした。
 日本でも、プロ野球で暴力沙汰はあるし、両軍の選手か出てきて揉めることもある。しかし、暴力沙汰はあっても、特定の人間、しかも多くは外国人選手が絡んでいることがほとんどで、日本人選手が本気で殴りあうような場面は、少なくともyoutubeでの乱闘場面でもない。日本だと、ベンチから出てきた選手は、止め役がほとんどで、あるいはだまって立っている。当事者以外の選手が殴りあうような場面は、見たことがない。
 それに対して、大リーグの乱闘シーンは、とにかく、出てきた選手がそれぞれに乱闘に加わってしまうような感じが多い。もちろん、多くは止めにはいっているのだが、それでも抑えられない。
 乱闘の原因はいくつかあるようだ。

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『教育』2021年10月号を読む 山田殻変哲也「教員世界の地殻変動」4

 山田哲也氏の文章の検討は、前回で終わっているので、今回は、私なりの「学校を楽しく働ける場」にするための、基本的に必要なことを書いてみたい。もっとも、私は、教育制度論が専門であり、かつ、あくまで研究者であるので、ここでは、早急に実現可能なことではなく、実現は遠いとしても、必要なことに焦点をあてたいと思う。
 
 まず考えねばならないことは、組合がずっと主張してきた「労働者」としての権利である。そして、「専門職」としての権利である。このふたつは、完全に調和するのだろうかということがある。もちろん、労働者としての権利を、憲法上の人権である労働基本権のレベルでいえば、専門職と全く齟齬があるとは思わない。しかし、一般的に労働者を時間を基本に働く存在と考えると、専門職とは具体的に合わない面が出てくる。
 労働基本権と、憲法で規定されているのは、「団結権・団体交渉権・団体行動権」であるが、これは労働組合であろうと、職能団体であろうと、妥当するものである。憲法では「勤労者」となっており、時間で拘束されるという意味での「労働者」に限定されないからである。しかし、この時間で規定されるという点で、労働者と専門職は、重ならない部分が生じる。もちろん、学校の教師が、勤務を時間で拘束されても、なおかつ専門性を重視されることはありうる。しかし、教師の専門性は、時間に囚われない部分が必ず存在するのである。それが、無限定労働につながることになる。

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『教育』2021年10月号を読む 山田殻変哲也「教員世界の地殻変動」3

 いよいよ、山田哲也氏が提案する「教職員が楽しく働ける学校へ」の内容である。
1 学校教育に対するさらなる資源の投下、つまり教職員の増員
2 教員文化に生じつつある変化をテコに、子ども・保護者との対話に開かれた「民主主義的な専門職性」を可能にする職場同僚関係を構築
3 同時多発的な草の根の取り組みと、組合活動や民間教育研究・実践運動のような従来から続く粘り強い社会運動とを接合し、合理的な判断に基づく学校制度の改善を企図する取り組み
 以上の3点である。
 もちろん、これらのことに異議はないし、むしろ、ずっと多くの教職員が求め、努力してきたことといえるだろう。逆にいえば、そうした努力にもかかわらず、何故、実現してこなかったのか、ということの分析もあわせて必要なのではないだろうか。そして、要検討の内容はないのだろうか。

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『教育』2021年10月号を読む 山田哲也「教員世界の地殻変動」の検討2

 前回は、求心的関係構造とその弱体化に関する検討を行なった。
 今回は、職務の無限定性と献身的教師像について検討する。これは、ペアのような関係だ
が、やはり、単純に議論すべきことではない。学校職場がブラック化している最大の要因が、この「無限定性」にあるわけだが、これは、確かに、積極的な意味での教員文化としての側面があるが、他方、行政が安上がりの労働を押しつけるための仕組みを作り上げたことも見逃すわけにはいかない。
 戦後民主化された教育の世界で、教師たちが要求したことは、労働者としての権利だった。この場合、労働者とは、労働内容が明確化され、それ以外のこと(雑務)をむやみに押しつけられることなく、労働時間が規定されており、それを超過する場合には、超過勤務手当てを支給するということである。つまり、定量労働ということだ。しかし、これらがきちんと決められて実行されたことは、戦後一度もなかった。それだけではなく、憲法で保障された「労働基本権」すら、教師には一部制限されたのである。

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『教育』2021年10月号を読む 山田哲也「教員世界の地殻変動」

 『教育』2021年10月号の特集1は「教職員が楽しく働ける学校へ」である。同様の特集は、過去何度も行なわれている。それだけ、教職員が楽しく働けない現状があるということだろう。今回の特集でも、新任の最初の職場で、生徒たちに振り回され、懸命に生徒たちに入っていこうとして奮闘しながらも、先輩教師や管理職には適切な助言がえられず、結局一年を待たずに休職し、そのまま退職してしまった教師の手記が掲載されている。公立小中学校が、国内で最もひどいブラック職場であることは、多くの人に指摘され、広く知れ渡るようになってきた。しかし、文科省の対策は、かえってブラック度を強めこそすれ、問題解決の方向にはほど遠いものでしかない。
 そのようななかで教育科学研究会は、そうした職場でも最大限よい実践を行ないたいと努力している教師や、その方法を見いだそうとしている教育研究者の研究組織である。そして、今回の特集は、その努力の一端と見ることができる。巻頭論文は山田哲也氏の「教員世界の地殻変動」で、伝統的な教員文化が変容しつつあり、ある意味困難は増大しつつあるものの、その変動のなかに、「楽しく働ける学校」に発展する芽を探ろうとするものである。その個々の記述には、ほとんど頷くことができるのだが、しかし、構造的に理解するとき、違和感を感じざるをえない点がある。

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腰痛克服記1

 ここ3週間ほど、腰痛が起こって、その対策に掛かりきりになっていた。もっとも、いわゆるぎっくり腰というような、歩けないほどの痛みにはならずに済んでいたのだが、かなりの腰痛になった。腰痛といっても、いろいろな種類があるようで、最も多いのは、屈むと痛いのと、座っていると痛くなるものだ。私の場合は、完全に後者で、屈んでもなんともない。しかし、座っていると、ほぼ確実に痛くなって、そのままでは立てない感じだった。あくまで「感じ」であって、立てなかったかどうかは不明。というのは、無理して立つと、とんでもなく痛くなる、つまり、ぎっくり腰になってしまうとこまるので、まずは、痛みをとる動作をしてから立つようにしていた。
 腰痛というのは、高齢者の多くにおきるわけだし、現代人にとっては、生活スタイルに関わることだ。起きているときには、ほとんど座っている。私の場合には、パソコンに向かっているか、チェロを弾いているか、食事をしている。全部座って行なうので、とにかく座っている時間帯が長い。そして、10月に所属している市民オーケストラの演奏会がある。当日は、前後5時間くらいは、演奏のために座っていなければならない。それに耐えられるだろうかというのが、まず頭をよぎった。

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いまの女性宮家構想は、百害あって一利なし

 小室-真子結婚問題に区切りがつくと、いよいよ継承問題が焦点となり、現在の有識者会議では、女性宮家と旧皇族の復帰が最大テーマとなっているという。実に、ナンセンスで、小泉内閣からの後退が著しいが、ふたつとも、ほとんど意味のない対応だろう。
 旧皇族の復帰といっても、実際に復帰したいと考えている人は、ほとんどいないと、かつて報道されていた。盛んにこの復帰案を支持している竹田恒泰氏は、この復帰対象にはなっていないはずである。まさか、自分が皇族復帰したいから主張しているわけでもあるまいし、事実、そうではないと思う。この案は、小泉内閣のときに検討されて、現在の天皇家との共通の祖先は、ずっと遠く遡る必要があるということで、否定されたということだ。系統的にも意味がなく、また、当人がそうした意識をもっていないわけだから、決めても実効性があるとは思えない。旧皇族の男子と愛子内親王、あるいは佳子内親王と結婚させて、男系男子の子を生ませ、天皇継承権のある人を増やそうという考えをもっている人がいるらしいが、時代錯誤も甚だしいというべきだろう。

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野田聖子氏の夫の問題

 自民党の総裁選がヒートアップしているが、そのなかで、再度野田聖子氏の夫の問題がクローズアップされている。最初に問題になったのは、夫が、GACKTコインの企画会社と同席して、金融庁に圧力をかける感じで説明を求めたことを、朝日新聞が調査を始め、そのことを野田聖子総務相が、記者に漏らしたことだった。そして、週刊誌の文春と新潮が、野田氏の夫が、元暴力団員であったことを報じて、夫が提訴。文春に対しては勝訴したが、新潮に対しては敗訴した。そして、週刊新潮に関する判決のなかで、夫が元暴力団員であった事実を認定したわけである。
 さて、総裁選の活動のなかで、当然だが、この問題に対して、見解を求められた野田聖子氏は、自分は夫を信じている、裁判で、夫が暴力団員であったと証言した元組長を、偽証罪で告訴しており、捜査が始まっていると弁明した。野田氏が立候補すれば、必ず蒸し返される問題といわれていたが、事実そのようになっている。
 もちろん、裏の事情はわからないが、報道されている限りでの事実をもとに考えてみたい。

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オランダの水上オフィス

 オランダのロッテルダムに、水上オフィスが完成したというニュースを見た。FNNニュースが報じている。https://nordot.app/813256005040406528
 さっそくオランダのサイトをみてみたが、非常に興味深い。
 よく知られているように、オランダの国土の40%は干拓してできたもので、オランダ人の好きな言葉「地球をつくったのは神だが、オランダをつくったのはオランダ人だ」という言葉は、それを表している。人口の7割程度は、海面よりも低い土地に住んでいると言われている。オランダで、車に乗って海岸に近づいていくと、次第に坂を上っていくことになる。これは、まったく奇妙な経験だが、オランダという国の他にない特質だ。このことでわかるように、オランダ中にある運河(日本でオレンジラインがひかれた車道くらいの割合であると考えてよい。)は、海面よりも低いので、北海に向かって流れていくが、かつては風車で水をくみ上げて、少しずつ水面をあげて、北海までもっていく仕組みになっていた。今はモーターで調整しているが、こういう状況のために、オランダは、気候温暖化対策に最も熱心な国家である。温暖化で海面が上昇すれば、オランダの国土、特に人がたくさん住んでいる地域は、軒並み水没してしまうからだ。

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祝日が多すぎないか 自由に休めることが大切だ

 今週は、2日も祝日の休みがある。私は、かつての職場が大学で、退職前の数年間は、祝日でも授業をするようになっていたので、祝日がいつかという感覚が鈍っていたが、更に退職して、毎日が日曜日状態なので、その感覚は喪失したといってよい。しかし、さすがに、週に2日も祝日があると、異常だと感じてしまう。普段は、平日に行動することにしているのだが、それは、平日のほうが、あきらかに人出が少ないからだ。それで、昨日、ショッピングモルに用事ででかけたのだが、えらく人が多い。それで、ああ今日は祝日だったと思い出したわけだ。そして、そういえば、そろそろ秋分の日がくるはずだと思って、確認すると、木曜日が秋分の日で祝日だった。とにかく、21世紀に入ってからだろうか、あるいは、平成になってからか、やたらと祝日が増えた。そして、祝日が土日になると月曜日が休みになったり、あるいは祝日に挟まれる5月4日が休みになったり、とにかく、休日が増加した。大学は、曜日ごとに授業が決まっており、しかも、同じ科目は週1だから、月曜日が休みになることが多く、文科省の縛りがきつくなって、授業回数を確保しなければならないので、祝日授業が普通になったのだが、特に月曜日は、休日なのに授業ということが多くなっていた。

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