メドベージェフは狼少年か

 ロシアのメドベージェフ前大統領が、EUが凍結資産をウクライナへの復興資金として活用するのは、戦争開始の正当な理由になるという発言したそうだ。メドベージェフの発言は、すでに狼少年的な回数になっていて、だれも本気にしないという雰囲気になっているが、ただ、言っていることがナンセンスということではなく、それはそれなりに根拠はあるのだろうが、実現性を疑うということだ。
 かなりの資産を取り上げられるのだから、ロシアとしては、それをさせないために開戦するぞ、と脅すのは、たしかにロシア的正義といえるだろう。しかし、それなら、勝手に侵略したり、民間施設を爆撃して民間人を殺傷したり、そして、子どもたちを連れ去るなどということはどうなのかということになるだろう。 “メドベージェフは狼少年か” の続きを読む

コメントへの回答

 以前に書いた文章にたいして、非難するようなコメントがきた。無視しようかとも思ったが、それでは相手に失礼になるので、こちらのコメントを書くことにする。2ヶ月ほど前の文章なので、それをみてもらうしかないが、https://wakei-education.sakura.ne.jp/otazemiblog/?p=4771 コメントは公開した上で、議論のために、ここに引用させてもらう。

 「この投稿に関して誤解があるようなので、説明させて頂きます。ジャーニー氏は都合の悪いコメントを削除しておりません。意味不明な日本語のものや公序良俗などに反するもの以外は削除しておりません。元学者が単なる類推で科学的思考法ができていないのは残念ですが、名誉教授になれなかったのも無理はありません。 “コメントへの回答” の続きを読む

読書ノート「Z.マルカス」バルザック

 「Z.マルカス」は、バルザック全集第一巻に入っている短編小説であるが、バルザックらしい、人間の欲望とその不条理な展開がみられる興味深い作品である。
 パリの学生用の下宿屋に住んでいる私と同室のジュストと、さらにとなりの別室に住んでいるマルカスとの交流が描かれている。私は弁護士志望でジュストは医師志望なのだが、バルザックの説明では、当時のパリでは、社会的必要性の10倍以上の弁護士や医師がいるので、若者が弁護士や医師になって生活できるようになるのは、よほどのコネとか運がなければならないという、悲惨な、しかし、ある意味呑気な生活をしている。 “読書ノート「Z.マルカス」バルザック” の続きを読む

チェロ乾燥のために絃が外れた

 昨日は私の所属する市民オーケストラが、毎年12月に行う、合唱付きの演奏会の、合唱団とあわせる練習だった。2回目のあわせなのだが、前回は風邪気味だったので休み、今回が私にとっては今回の演奏会用には初めてだった。曲はベルディのレクイエムだ。前回がワーグナーとマーラーだったので、それと比較すると難易度が低いのだが、それでも長丁場であり、難しいところがたくさんある。
 最近は非常に寒い日が続き、昨日も寒く、しかも、練習会場では大ホールで人気歌手のコンサートが行われていたので、いつもの地下駐車場がとれず、外の駐車場になり、寒さのなかでチェロを運ぶことになった。 “チェロ乾燥のために絃が外れた” の続きを読む

五十嵐顕は知識人か3

 「攪乱者」という面については、単純ではないといえる。
 学生時代から軍隊、そして、教育研修所時代の五十嵐は、攪乱者とはまったく正反対の協調型の人間であった。四高に入ったときからつけ始めた読書ノートには、高校で学ぶべきものは倫理、道徳、哲学、歴史などであって、社会科学は大学で学べばよいと書いていたが、大学に入っても社会科学を学ぼうとはしなかった。学連事件によって、高等学校(旧制)での社会科学研究会が禁止されていたのだが、そうした禁止に忠実だったといえる。 “五十嵐顕は知識人か3” の続きを読む

矢内原忠雄・丸山真男・五十嵐顕1

 私はこの3年間、大学時代の教授であった五十嵐顕先生(以下尊称略)の、最初著作集、そして現在は全集の編集に携わってきた。大学院時代の仲間が編集委員となっている。私自身は、五十嵐の指導性ではなかったし、また、親しく接したこともないのだが、とりあえず編集委員に加わることになった。
 そして、けっこう多数の五十嵐論をここに書いてきた。まだ全集が完成していないので、なんともいえないのだが、収集された文章はすべて私がOCRにかけたり、直接打ち込んだりしてテキストファイル化してきた。したがって、すべての文章を読んだことになる。 “矢内原忠雄・丸山真男・五十嵐顕1” の続きを読む

内閣空白は、どれだけ長引くか

 首相を決める国会は、当初は10月15日に開かれるとされていたが、現在は21日に開催予定となっているようだ。しかし、ほんとうに開かれるかどうかは、まだ確定的ではないように思われる。しかし、このように、自民党の総裁が、首相になることが確実視されないために、国会開催が延びたということは、日本においてあるのだろうか。
 ただ、このことで思い出すのは、1993年に行われたオランダでの総選挙のことだ。当時、私は、海外研修ということで、一年間オランダにいた。そして、日本とはまったく違う総選挙が行われたので、非常に興味深くみていた。 “内閣空白は、どれだけ長引くか” の続きを読む

田中将大問題で感じること

 現在の日本プロ野球界における屈指の名投手である田中将大が、楽天から自ら身を引く形で自由契約選手となり、新天地で活躍したいという希望を表明しながら、いまだに田中を獲得しようという球団が現われないという、たいへん注目される事態になっている。田中がなぜ、自由契約を望んだのか、なぜこれほどの実力ある投手を、どの球団もとろうとしないのか、その他さまざまなことが、実に多くの人によって意見表明されている。そういう中で、楽天球団で起った安楽選手のハラスメント問題が尾をひいているという見方が、多数だされていることにたいしてだろうと思われるが、田中が法的措置をとるかも知れないと宣言したように報道されている。

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「紀州のドンファン」事件の無罪判決

 いわゆる「紀州のドンファン」と呼ばれた資産家の殺害事件の判決公判があり、無罪とされた。この被害者は、生前からメディアでは有名だったが、死亡したというニュースには驚いたものだった。少し前に結婚した女性が、50歳も若く、通常ありえないと思うし、多くの人が、女性のほうの遺産狙いを感じたろう。
 死亡したときのニュースでは、たしか殺害されたという断定はなかなかさなかったと思うし、現在でも、死因そのものは覚醒剤の過剰摂取ということになっているようだが、それが事故なのか、自殺なのか、他殺なのかは定かではないようだ。判決は、自身で「誤って致死量の覚醒剤を摂取」という可能性を否定していないと報道されている。ほんとうに不可解な事件だった。

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松本人志訴訟取り下げについての「解釈」

 松本人志氏が、文春を訴えた際には、私の見解をけっこう書いたが、取り下げについては、別に書くこともないだろうと思っていた。しかし、youtubeでのいくつかの「解説」をみて、少々疑問に思うことがあったので、整理しておきたいと思った。とくに疑問に思ったのは、郷原信郎氏と元週刊朝日編集長山口一臣氏の対談である。通常は、山口氏が聞き手になって、郷原氏が解説しているのだろうが、今回は、週刊文春絡みの訴訟ということで、雑誌側にたって名誉毀損訴訟に当事者としてタッチしたという山口氏が、主に見解を述べる形になっていた。
 当然、弁護士である郷原氏との対談だから、論理的におかしなことをいっているわけではないのだが、いくつか気になる点がある。

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