ゼレンスキー
ゼレンスキーにとっての、ロシアによるウクライナ侵攻を考察するのは、非常に難しい。誤算はプーチンにだけではなく、ゼレンスキーにもあったと考えられるし、また、大統領になってから、かなりスタンスが変化したことも考えなければならない。
ゼレンスキーは、周知のように、喜劇役者だったが、国立大学で法学の学位をとっている。だから、日本のような,あまり学校にもいかず、芸能界で生きてきたタレントとは異なる。大学卒業時に、喜劇役者として生きていくか、あるいは大卒のひとが一般的に歩む道に進むか、迷った末の選択だった。しかも、単なる役者ではなく、自らドラマを作成するクリエーターでもあり、かつ、ITを駆使することもできた。
そうして、有名になった大統領役をしたドラマも、自ら制作したものであり、たまたま、そうした企画で採用された一俳優ではなかった。だから、政治経験がなかったとしても、そうしたドラマ制作を通じて、政治や行政、そして社会全般の問題について、相当勉強し、考えたに違いない。
ゼレンスキーの経歴を見ると、ロシア語の環境で育っており、東部出身だから、ロシア人との交流もあり、ロシアで仕事をしたこともあるようだ。だから、ロシアとは、元来敵対的ではなく、ドネツク、ルガンスクの「自治共和国」についても、強権的な対応を当初からとっていたわけでもなかった。
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