徳川時代の江戸という都市に関する本を読んでいたら、とても面白い部分があった。それは、江戸時代にどのくらい酒が消費されていたかという話だ。
北原 進『 百万都市 江戸の経済』 (角川ソフィア文庫) に以下のような記述がある。
「酒は下り酒に加えて、関東の地酒も入り、合計百万樽ちかく江戸に入ったらしい。四斗入りの一樽は一升ビン十本分、だから江戸の人は、武士も町人も、男も女・子供も、一人あたり一年間に四斗の酒を飲まないと、消費しきれない感情である。」
徳川時代の江戸という都市は、極めていびつな人口構成をしていた。圧倒的に男性が多い社会だったわけである。そして、人口の約半分を占める武士はまったく生産活動に従事していなかった。もっぱら消費だけをする。そして、江戸に恒久的に住んでいる武士は、どの程度の割合かわからないが、かなりの部分は参勤交代で一年間江戸に着ている家来たちだから、ほとんどが男である。武士以外のひとたちも、流入民も多かったが、彼らも圧倒的に男性たちだったらしい。 “「鬼平犯科帳」お酒の話” の続きを読む
投稿者: wakei
読書ノート「北の詩人」松本清張
松本清張の「北の詩人」は、実在の人物林仁植という人物をモデルにした小説だが、史実とどの程度違い、合致しているかは、まだまだわからない面があるのだそうだ。それは資料的に現在でも絶対的に不足しているからということらしい。
小説では主人公の名前は林和、ソウルに生れたプロレタリア詩人ということになっている。日本の植民地時代に日本の特高に捕まり、協力を条件として釈放される。ただ、日本の場合と違って、転向声明などをだすのではなく、あくまで非転向という体裁をとるが、実際には協力者、つまりスパイとなるという設定である。この点は、実際に日本と朝鮮における特高警察の対応に違いがあったのかどうかはわからないが、小説のなかで、戦後、つまり朝鮮にとっては解放後、アメリカ軍に協力させられるなかで、かなり複雑なことを要求されるので、日本のほうが楽だったという感想を述べるくだりがあって、考えさせられた。 “読書ノート「北の詩人」松本清張” の続きを読む
村上早速の社会貢献
ポスティング・システムでアメリカ大リーグ入りをめざしていた村上宗隆内野手が、シカゴのホワイトソックスに決まったというニュースは、多くの日本人野球ファンをほっとさせただろう。交渉期限ぎりぎりまで決まらず、今回はどこからもオファーがないのではないかという噂まで飛び交っていたからだ。決まった経過の詳細は、まだわからないが、いろいろと話はあったらしい。真偽のほどは、またまた不明だが、ドジャースからとの交渉もあったという情報もある。ところが、かなりの好条件を求め、当初から試合に出場できるような要求も村上側からだしており、それにたいして、ドジャースは村上の守備位置にはすでに不動のレギュラーがいることから、むしろ長期的な観点での育成を念頭においていた、という擦れ違いから、話がまとまらなかったという。本当に村上自身がそんな条件をだしていたのか、あるいは代理人の意向が強く反映していたのかも不明である。契約金額の歩合で成功報酬になるはずだから、代理人はできるだけ高く売りつけようとする傾向があるようだから、村上自身の意図ではないような気もするのである。 “村上早速の社会貢献” の続きを読む
核保有国は攻撃されないか?
ここ数日間、日本も核保有すべきだ、という政府高官のオフレコ発言が、表にでてきて、国際的、国内的に大きな問題・議論になっている。高市政権になれば、いずれ出てくるだろうとは思っていたが、意外に早かったという感じだ。高市支持派は、台湾有事発言と並んで、喜んでいるようだが、わざわざこうした波紋を起こしてどうするんだと思わざるをえないのが正直なところだ。
日本は唯一の被爆国なのに、という反論は、当然でてきているのだが、そうした観点ではなく、もう少し違う観点から考えてみたいと思うのである。
核保有論は、だいたい以下のような主張を含んでいるように思う。
1 世界は武力による脅し、実際の攻撃など、現実に起きており、日本が何時攻められてもおかしくはない。 “核保有国は攻撃されないか?” の続きを読む
市民コンサートでベルディ・レクイエムを演奏
今日は所属する市民オーケストラ(松戸シティフィルハーモニー)と市民合唱団の市民コンサートだった。35回目ということで、長く続いている演奏会だ。年に一度、合唱をともなったオーケストラ作品、あるいはオーケストラ伴奏付きの合唱曲を演奏する。今回はメインがベルディのレクイエム、前プロとしてチャイコフスキーの「幻想序曲ロメオとジュリエット」だった。
35回の市民コンサートのなかで、ベルディのレクイエムを演奏したのは、今回が3度目だ。そして、幸運なことに、私はすべて参加している。そして感じるのは、オーケストラの力量の向上だ。それは、前プロの選び方で感じる。 “市民コンサートでベルディ・レクイエムを演奏” の続きを読む
読書ノート「迷走地図」松本清張 幸せな人がいない政治の世界
「迷走地図」とは、実に内容によくマッチした題名だ。上下2巻を要する長編小説だが、とにかく、誰が主人公で、どのような筋が展開しているのか、ほとんどわからない。下になってやっと、ひとつの線みたいなものが形成されるのだが、それも絶対的な中心を形成しているわけではない。簡単にいえば、国会議員の、とくに秘書たちの裏表が描かれ、そこに国会議員たちのあからさまな売名行為と、それを支える汚い裏が描かれていく。
まず桂総裁と禅譲が約束されている寺西というふたりの大物政治家が存在していることになっているが、実際にこの二人はほとんど登場しない。そのまわりを囲む秘書たちが活動しているのである。寺西の私設秘書として外浦という人物がいて、東大法学部卒、商社にはいるが、寺西に請われて秘書に貸し出されている。そして、東大全共闘として活動したが、そのために法学部を退学処分となり、そのためにまともの就職から締め出され、現在は政治家のゴーストライターとなっている土井という人物。最終的にはこの二人が、この物語の重要人物になっているが、単純にふたりをめぐって展開するのは、下になってからである。 “読書ノート「迷走地図」松本清張 幸せな人がいない政治の世界” の続きを読む
都響定期演奏会12.18 小泉和弘の指揮に感動
昨日東京都交響楽団の定期演奏会にいってきた。曲目は、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲とショスタコービッチの交響曲第10番であった。バイオリンの独奏は、三浦文彰、指揮は小泉和弘だった。私は現在の日本のソリスト状況について、あまり知識をもっていないので、三浦氏のことは初めて知った。ウェブで調べると、若手のホープのようだ。こんなことを書くと、事情通の人には呆れられるかも知れないが。
さすがに小泉氏は名前はよく知っていたが、生の演奏は初めて聴いたと思う。私が演奏会にちょくちょく通っていたのは1970年代までなので、1973年にカラヤンコンクールに優勝した小泉氏のことは、聴いたとしてもあまり印象に残っていないということかも知れない。そして、都響の終身名誉指揮者であることも初めて知った。2025年度から都響の定期会員になって、今回が初めての登場だったからでもあるが。 “都響定期演奏会12.18 小泉和弘の指揮に感動” の続きを読む
残酷なトレード?
ある意味非常に残酷な記事があった。
「「一緒にローテーションで投げるのは夢」グラスノーが絶賛 2年連続CY賞左腕スクーバルは「完璧にフィットする存在」」
https://thedigestweb.com/baseball/detail/id=106436#goog_rewarded
タイガースのエース、スクーバルがドジャースにくるかも知れないという情報があって、ドジャースのグラスノーがすばらしい、一緒にやれるのは夢だと語ったという記事である。元記事は12月16日付けの雑誌に掲載されたものだが、おそらくそのときには、スクーバルの移籍については、確定していなかったのだろう。 “残酷なトレード?” の続きを読む
トランプ和平案は実現に近づいたというが
トランプが、アメリカ議会で、ウクライナ戦争の和平案がこれまでもっとも実現に近づいているという認識を示したそうだ。程度の問題としてはそうなのだろう。しかし、近づいたからといって、実現するとは限らない。
トランプの調整の仕方をみていると、トランプという人物の「定見のなさ」、逆に確固とした定見がある場合の調停の難しさを、ともに感じるのである。 “トランプ和平案は実現に近づいたというが” の続きを読む
メドベージェフは狼少年か
ロシアのメドベージェフ前大統領が、EUが凍結資産をウクライナへの復興資金として活用するのは、戦争開始の正当な理由になるという発言したそうだ。メドベージェフの発言は、すでに狼少年的な回数になっていて、だれも本気にしないという雰囲気になっているが、ただ、言っていることがナンセンスということではなく、それはそれなりに根拠はあるのだろうが、実現性を疑うということだ。
かなりの資産を取り上げられるのだから、ロシアとしては、それをさせないために開戦するぞ、と脅すのは、たしかにロシア的正義といえるだろう。しかし、それなら、勝手に侵略したり、民間施設を爆撃して民間人を殺傷したり、そして、子どもたちを連れ去るなどということはどうなのかということになるだろう。 “メドベージェフは狼少年か” の続きを読む