WBC敗退、でも井端には感謝すべき

 WBCで日本が敗れ、さっそく井端監督が解任されるという事態になっているらしい。
 日本が負けたことについては、もちろん嬉しいわけではないが、ある意味自然なことだったようにも思える。真実のことかはわからないが、NPB側から、ベネズエラ戦での作戦の誤りについての指摘があり、その回答を井端監督に求めたという話がyoutubeで提示されている。解任しておいて、そういう説明を求めるというのも変な話だが、私には、どうも井端監督が気の毒に思われてならない。
 井端が日本チームの監督になるというニュースを聞いたときには、非常に驚いた記憶がある。まったく予想もしない人選だったからだ。そもそも井端は、日本のプロ野球で監督経験がない人だ。個別チームの監督経験がない人を、いきなり代表チームの監督にするというのは、誰がみても不自然な人選であり、うまくいく可能性が極めて低いと考えられるだろう。それは、井端氏自身も強く感じていたはずである。では、何故経験もない人が監督に指名されたのか。それは、交渉の対象となった人すべてが断ったからであり、やっと井端を説得したということのようだ。では何故、断る人が圧倒的に多かったのか。それは、あまりに優勝圧力が強いからだ。それ以外の理由は考えられない。日本は、前回劇的な優勝を果した。そして、日本中に、あまり野球に興味のないひとたちに、野球の面白さを感じさせた。私の妻ですら、WBCに多大な興味を示したほどだ。当然、次も優勝が必須のことになる。しかし、勝負事だから、そう簡単に優勝などできないし、日本の優勝は、アメリカ大リーグに参加している選手、チームが100%本気になっていなかったことが、幸いした面があることは否定できない。WBCは、大事なリーグ戦の前に行われるので、それにあわせて調子を調整することが難しい。WBCで活躍すると、本番で不調になるという事例も多数あった。だから、出たくない、出したくない、そういう雰囲気が、メジャーのなかにあったことは事実なのである。実は、私も、大谷にとって、負けたことは、これからのリーグ戦で活躍する上で、よかったのではないかと思っている。大谷が、腕の故障に見舞われ二度目のトミー・ジョン手術を受けざるをえなくなってのは、WBCで優勝した年のリーグ戦での終盤だった。おそらく、早い時期からの本番さながらの調整によって、疲労が蓄積した結果なのだと思うのである。
 日本の優勝で野球界全体がもりあがり、とくに決勝戦での大谷とトラウトの対決は、アメリカでもそうとう話題になったはずであり、アメリカとしての敗北が、次回こそは、という情熱を駆り立てただろうし、それは、他の国籍の大リーガーたちも同様だろう。だから、今回日本が優勝できる可能性は、前回よりはずっと低かったのである。とくに、ダルビッシュと佐々木がぬけてしまった投手陣は、前回よりははるかに見劣りがした。そういうことがすべてわかっているから、監督を引き受けるひとたちが、「大物」たちのなかではいなかったのだろう。
 そういう意味では、この困難な状況での代表監督を引き受けてくれた井端は、勇気があったというべきであり、感謝すべきであろう。性格がもっと陽気であれば、もう少し日本チームにはよかったと思うが、それでも、すべきことをきちんとしたのではないかと思う。そして、今回負けたことで、次期チームの監督を引き受ける人は、もっとたくさんいるのではないかと思う。準々決勝で敗れてしまったのだから、次のハードルは、今回よりずっと低い。井端よりはずっと気楽な気持で出発できるのである。
 誰がなるのかは、現時点では、元巨人の高橋の名前があがっているようだが、監督として実績のある人を望みたいものだ。私がなってほしいと思うのは、元オリックス監督の中嶋氏か。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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