ポスティング・システムでアメリカ大リーグ入りをめざしていた村上宗隆内野手が、シカゴのホワイトソックスに決まったというニュースは、多くの日本人野球ファンをほっとさせただろう。交渉期限ぎりぎりまで決まらず、今回はどこからもオファーがないのではないかという噂まで飛び交っていたからだ。決まった経過の詳細は、まだわからないが、いろいろと話はあったらしい。真偽のほどは、またまた不明だが、ドジャースからとの交渉もあったという情報もある。ところが、かなりの好条件を求め、当初から試合に出場できるような要求も村上側からだしており、それにたいして、ドジャースは村上の守備位置にはすでに不動のレギュラーがいることから、むしろ長期的な観点での育成を念頭においていた、という擦れ違いから、話がまとまらなかったという。本当に村上自身がそんな条件をだしていたのか、あるいは代理人の意向が強く反映していたのかも不明である。契約金額の歩合で成功報酬になるはずだから、代理人はできるだけ高く売りつけようとする傾向があるようだから、村上自身の意図ではないような気もするのである。
ぎりぎりになったから、かなり低い条件を飲まざるをえなかったという論調が多いが、2年54億円というのは、それほど悪い条件ともおもえない。なんといっても、まだ大リーグではまったく実績がないのだし、日本人野手が、これまでアメリカで成功した人は、極めて少ないことから考えれば、まずは実績を作ってからということのほうが前向きだろう。
さて、この文章を書こうと思ったのは、契約の成立ではなく、成立をきっかけに、村上が早速、シカゴの住民に、寄付をしたというニュースがあったからだ。複数のソースがあるが、https://news.yahoo.co.jp/articles/80dd0716f2ad470e90bd7e38f715fa0294d8daf8 をあげておきたい。
まだ契約のお金が支払われたわけでもないなかで、300万円ほどの寄付を申し出て、困ったひとたちを支援する団体への寄付だという。私は知らなかったのだが、村上は日本でも、前から熊本(出身地)地震への支援や能登の地震でも同じように寄付してきたという。これは、村上だけではなく、たとえば、ホームランを一本打つごとに、**円寄付する、というような形で、自己の成績向上と社会支援を結びつけるような活動を行う選手は散見された。日本人のアスリートでは、アメリカほど活発ではないが、やはりそうした行為は尊敬に値するものだ。
現在ダイリーグでは、メッツのソトをめぐって大きな騒動になっているようだが、それは、大谷に代表される人間的にも尊敬される活動をしている選手と、自己の個人成績のみを押し出すソトとの対比として語られる。この場合、大谷は、チーム内でのリーダーシップだけではなく、さまざまな分野での寄付で社会的弱者への支援を積極的に行っていることも、大きな大谷への評価の要素となっている。
こうした村上の行為は、率直な好印象を高め、チームでの活躍にとってもプラスになるだろう。また村上のこれまでの活動をまったく知らなかった私の不明を反省し、村上を応援したいと思う。