ヒューマノイド・ロボット「モヤ」

 最近の中国におけるロボット開発の進んでいることには驚くが、「モヤMoya」というヒューマノイド・ロボットの記事があったので、映像を探して、いくつかみてみた。日本はロボット先進国などといっている人が多いが、こうした映像をみると、日本が進んでいるようにはとうてい思えないのだ。
 モヤというのは、女性で165センチのロボットだ。まず驚くのが、歩き方の自然さだ。まるでモデルのように歩く。そして、さまざまな表情をする。もちろん、まだ人間とまったく同じというわけにはいかないが、それでも、微笑んだりするのは、たしかに、微笑みと受けとれる。教師役とか、いろいろな仕事に活用できると想定しているようだが、こうしたヒューマノイド・ロボットが自然な人間と同じようなことができるのだとしたら、どのような活用が可能なのか、あるいは、それがいいことなのかを考えてしまう。
 現在のAIを前提とした会話能力があれば、生徒・学生とのやりとりを行うところまで、教師としての役割を果すことができるだろう。ただ、AIはしばしば間違ったことを提示するので、すぐに信用できる教師にはならないだろうが。
 さらに、ずいぶん前からコンピューターによる学習は普及しているが、これは、画面を使って学習するわけである。教える側が、人間の形をしている必要はないし、文字が画面にでるほうが、声だけよりは効果的な場合も少なくないだろう。ヒューマナイド・ロボットが、本当に自然な教師となるのは、だいぶハードルが高いようにも思われる。
 教師よりは、カウンセラーとしては、もしかしたら人間よりも優れた能力を示すかも知れない。あたたかな微笑みを絶やさず、冷静に、かつ圧倒的な先例の知識を駆使して、クライアントと対話できるから、優れたカウンセラーになりうることは間違いない。
 こうした人間相手で、人間自身が相手が人間的であることを求めるような仕事には向いているだろうが、仕事をさせることが目的で、形がどうでもよければ、人間型である必要はないだろう。
 現在ウクライナ戦争で、ウクライナ側は、兵士が圧倒的に少ないので、ロボット兵士を導入しているが、形はまったく人間型ではない。むしろ小さな四輪車に、カメラとコンピューターと武器をつけているものだ。車輪で自由に走行でき、しかも速い。カメラで状況を捉えてコンピューターで判断し、行動する。そして、敵がいれば、武器で攻撃する。任務を終えれば戻ってくる。こうしたロボットは、完全に人間の兵隊の代わりとして作業することができる上に、相手に攻撃されて破壊されても、その費用がなくなるだけで、人命を失うことはない。かえって、人間型であるほうが、機能が制限されるし、また、複雑な構造となるので、費用がかかる。四輪車の兵士ロボットは、はるかに低コストで製造できそうだ。やはり特定の作業を行う仕事ロボットは、人間型である必要はない。
 再度、人間型ロボットが有効であるものを考えてみる。
 私がまず考えるのは、「話し相手」だ。特に高齢者施設で、個室に入っているひとたちは、なかなか話し相手がいない。これは、認知能力が低下していく原因になる。世話をする人が、時々やってくるが、特に目的のない会話の相手をすることはあまりないに違いない。ちょっと話し相手がほしいときに、こうしたロボットを呼ぶことができれば、高齢者施設の入居者の精神的改善にずいぶん寄与するのではないかと思う。しかも、相手はAIで動くから、こちらの話の領域や内容にあわせて、的確に応答することができる。
 いろいろと考えさせられるが、もっといろいろと映像を探してみよう。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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