菅首相の自民党総裁選不出馬から、俄かに総裁選争いが活性化している。野党は大丈夫なんだろうかと心配になってくるが、自民党の総裁選も極めて重要な意味をもっているように思われる。というのは、主張の明確な人たちが、前面に出てきたからだ。
まずは、高市氏だ。右派政党である自民党内でも目立った保守派で、選択的夫婦別姓やLGBT法案にも反対。これまで、必ず靖国に参拝し、首相になっても参拝すると明言している。経済政策は、安倍内閣の継承路線である。しかし、インフレ防止2%の物価上昇といっているが、安倍内閣とは別の主張なのか、同じなのかわからない。安倍内閣での2%は、そこまで物価をあげたいということだったが(その意味は、いまだに不明だ。高橋洋一氏の解説では、2%までなら大丈夫という意味なのだが、2%まであげるのがよいという妙な見解があるとしていた。それでいけば、安倍内閣の考えは、「妙な」ものとなる。)、現在の課題は、2%をはるかに超えて、文字通りのインフレになることが懸念されている。昨年あたりから、かなりの生活必需品の値上げが目立っているのだから、それを抑えるという明確な意識と政策をもっているなら、けっこうなことだが、やはり高市氏の場合、政治的イデオロギーで、国際的な摩擦を生じさせる恐れがある。高市氏支持層というのは、中国と明確に対立することを望んでいるようだが、中国と対立することが、どのようなメリットがあるのだろうか。人権抑圧がけしからんといっても、中国嫌悪派が、国内における人権状況にどれだけ問題意識をもっているのか、極めて疑問なのである。
“自民党の総裁選を単なる権力闘争とみるべきではない” の続きを読む