熊問題は、現在の日本の極めて大きなものになっているように思われる。生物学に疎い私には、原因や対策について、いろいろと情報を集めるのだが、何が原因で、どうすればいいのかは、とてもわかりずらい。
「なぜ猟友会の“クマ駆除拒否”が頻発するのか…『我々を都合よく利用するのだけはやめろ』現役ハンター指摘」という文章が掲載されている。
https://gendai.media/articles/-/159698?imp=0
趣旨は、熊駆除に利用される猟友会のひとたちの怒りが書かれているが、それだけではなく、山の森林が広葉樹林から針葉樹林に変って、熊の餌がなくなって山からおりてくるのだということで、針葉樹林を広葉樹林に変えていくことが提言されている。
では、何故針葉樹林が多くなったかというと、明治以降の木材利用の観点から、成長が早く、木材として利用しやすい杉などの針葉樹林が大量に植林されて、現在に到っている。しかし、木材としても外国産の安いものに太刀打ちできず、放置されている森林が多いということだ。
針葉樹林は、熊出没の原因になっているという説だけではなく、かつて、川の水質を悪化させ、河口の漁業などに打撃を与えているという説がだされているし、また、花粉症の原因となっていることも毎年の騒ぎである。
このようにみると、針葉樹林が多くなる理由は、明確にあるし、それを否定することもできないだろう。しかし、その弊害もまた少なくない。
熊問題についていうと、動物保護が行き届いて熊が増えたことが問題のひとつで、広葉樹林が増えて、熊の餌が不足しない状況になっても、かえって増えてしまう熊が里におりてくるのだ、という解説もある。実際に、紅葉の時期になって、紅葉を見にくる観光客がたくさんいるにもかかわらず、熊の出現が多くなっている地域もあるようだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/db66d2eaa87dabb4bf282f1e297fa8d5a57ac83d
更に、山の森林の荒れの原因のひとつとして、メガソーラーの増加をあげる意見もある。メガソーラーは、発電という点でもちろん利点があるが、山の環境を悪化させるデメリットも大きい。
このように考えていくと、熊問題の解決といっても、実に多くの利害が関連しており、その要因を解決するのではなく、とりあえず出てきた熊を駆除するという手段が求められている。私は動物愛護主義ではないので、住宅地に出てきた熊は除去するしかないと思っているが、熊と人間の棲み分け方法を追求すること、熊の餌となる広葉樹林の拡大は必要であろうし、そのためにもメガソーラーの規制も必要なのではなかろうか。
熊問題は多くの対立する利害が絡み合い、また、動物愛護の観点から熊駆除に猛烈に反対するなどの価値観の対立もある。林業のあり方、漁業のあり方、再生エネルギーあり方なども、共通認識が広範になっているといよりは、まだまだ意見の対立があるように思われる。一筋縄ではいかないから、多面的に今後も考えていきたい。