皇室は令和で終わるのか

 小室圭・真子両氏の結婚は、二人の問題より、天皇制に与える影響が大きいと言われていたし、実際そう主張する人も多くなりつつある。テレビなどの大手メディアの「掌返し」には驚いたし、言論統制のような動きに警戒する必要があるが、皇室そのものの存在意義を疑う国民が増えた。そして、もともと無関心層も多い。皇室に無条件の敬愛の念をいだいている国民など、高齢者の一部といえるかも知れない。私のように、元々そんな感情のない人間も、高齢者でもいる。
 代替わりから、ふたりの結婚に至る流れのなかで、確実に国民に意識されたことがある。それは、皇室には、莫大な税金が投入されており、それが国民の福祉のためには、あまり役になっていないということだ。三組の家族の引っ越しで、どれだけ多額の税金が費やされただろうか。
 それから、皇族といっても、「国民の総意に基づく」姿からはほど遠いひとたちもいるということだ。後者を決定的にしたのは、小室夫妻の会見だった。あの会見は、自分たちに批判的な国民を非難するために開かれたのだろうか、という思いを起こさせた。彼らが国民によって支えられてきたという認識が、まるで欠けている印象を与えた。要するに、国民を見下している。それはおそらく、秋篠宮家に特に顕著を傾向といえる。
 いつのことか忘れてしまったが、ある行事で、雨が降っていた。そして、傘をさして歩いていた秋篠宮が、建物に入るときに、不要になった傘を事務方の人に渡す際、放り投げるようにしたという記事があった。それは、いつものやり方という説明までついていた。これは、秋篠宮家を象徴するような態度のように感じた。頻繁に報道されることだが、秋篠宮家に働く人が、嫌気がさして止めていく人が多いという。天皇家ではそういうことは、まず聞かないことだ。これは、自分たちのために仕事をしてくているひとたちに、どのような思いをもっているかを、如実に示しているわけだ。こういう態度をとる人たちが、国民一般に、「寄り添う」などという姿勢をとれるはずがない。
 今回の会見でもそうだったが、自分たちが意図していることと、それによる結果として現れることへの、的確な判断ができないひとたちであると感じる。
 会見は、意図としては、国民に理解を求めるものだったと思うが、しかし、結果は、国民は喧嘩を売られたような印象を受けた。もっとも、喧嘩をうるつもりだったのかも知れないが、それなら、何をか況んやだ。
 秋篠宮家の行動には、そういうことが多い。
 外国訪問で、経費を節約するために、民間機を使うとして、実際には、多額の経費がかかり、また、時間が遅れて相手に迷惑をかけたとか、通常皇族の車は信号を青になるように調節するが、特権的やり方は嫌だとして、特別措置を拒んでいるが、実は、警備上大きな負担を警官たちにかけているとか、何か、子どもじみた対応が多いのだ。会見で、ふたりの話し方や内容が幼いと感じた人が多かったが、こういうところにも表れているともいえる。
 つまり、秋篠宮家のひとたちは、冷静で客観的な認識ができず、自分たちは特権を行使したくないという態度をとりつつ、実は、極めて特権的なうまみをたっぷり使っている。
 そうした姿が、この結婚問題を契機に、国民に広く知られるようになってきた。そして、そういう秋篠宮家に皇統が移ることに対して、国民の忌避感が強まったと、私は感じている。そして、天皇は令和で終了にすべきという意見が、今後も大きくなっていくと予想する。憲法改正論議は、これまでは9条だったが、今後は第一章が大きな論点のひとつになっていく必要がある。

 では、代わりにどのような形になるのがよいのだろうか。私がもっとも日本になじむのは、象徴的大統領制であるように思う。議院内閣制はそのまま維持し、国家の象徴としての天皇に代わり、大統領を置く。大統領は、行政の長であるものと、国家の象徴的存在というふたつの種類がある。前者はアメリカやフランスなど、多くの直接選挙で選ばれる大統領であり、後者は、ドイツの大統領である。ドイツの大統領は、文字通り象徴的存在であり、議会での選挙によって選ばれる。実際的な政治権力はもっていない。
 日本の大統領は、「国民の総意」という部分を、なんらかの選挙で具体化し、権能は現憲法と同等にすればよい。
 もちろん、それには長期的な議論が必要であり、また、天皇になる意志の強烈な秋篠宮家が、それを受け入れるかという問題、男系男子派のカルト的な集団は、大きな抵抗をするだろうという問題、そうした政治的争点はあるが、それをどのような形で対応していくかは、また別のこととして考察したい。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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