総務省文書が提起していることは、要するに、放送法の政治的中立に関する「解釈」を変更したかどうかである。そして、その変更を強権的に行なったかどうかも、問題となるだろう。
文書を読む限りは、安倍首相(当時)の意向を受けた礒崎補佐官が、従来の「全体としての偏向」から、「単独の番組での偏向」も、中立性を侵すものだという解釈変更を、総務省に迫ったと読み取れる。しかも、かなり高圧的だった様子が、明確に読み取れるわけである。
そして、高市氏との関連でいえば、高市氏が安倍首相と連絡をとったかどうかが、ひとつの焦点となっている。前回も書いたように、首相が押し進めようとしていることを、その対象官庁である総務省が抵抗していて、かなり煩雑なやり取りがなされているとき、総務相であった高市氏が、まったく関与していない、つまり、電話でも対面でも首相と話し合っていないなどということは、ありえないことである。「電話では話していないが、対面で話していた。だから、文書は正確ではない」などというのであれば、語るに落ちるということだろう。要するに安倍首相と意思疎通をしていたかどうかが、焦点なのだから。