前回、次は以下の点について考えるとした。
・ 公費支出するのだから、公的機関、つまり国家組織がその使い道を決める必要がある。そういう論理がある。これをどう考えるか。
・ もうひとつは、そもそも教科書は、誰が決めるのが、教育的に妥当なのか、という問題がある。この点を次回論ずる。
考察する前に、無償化措置によって、教科書が改善されたかどうかについての認識を確認しておきたい。私は、確実に悪くなっていると考えている。もちろん、よくなったと考える人もいるだろう。現在の教科書はイラストや写真が多く、紙も良質で、カラフルである。しかし、私は教科書に不可欠な要素はそういうものではないと思う。豊富で重要な知識、事実、多様な見方、考える視点などが、分かりやすく提示されていることが、教科書としての質を決めると思う。現状の日本の教科書は、ぎりぎり削られたかのような重点だけの知識や事実が提示される。写真が多いことは、理解を助ける上で、一面プラスだが、そのためにスペースが必要で、そのために本文が貧弱になっている。