思い出深い演奏会 マイナスイメージで

 思い出深いといっても、とてもすばらしくて感動的だった、というものばかりではなく、逆の場合も多々ある。だれかが重大なミスをして、それが否応なく目立ってしまったとか、演奏の解釈があまりに強く違和感を感じるものだったとか、その他さまざまな要因がある。今回は、そうした演奏会をとりあげたい。
 
 最初にとりあげるのは、自分たちの演奏会で恐縮だが、エルガーの「威風堂々」をアンコールで演奏したときだった。正規のプログラムは、とくにそうではなかったのだが、アンコールは、練習段階から、団員たちの不満が募っていた。こんな風にやるのは絶対に嫌だという雰囲気に包まれた、と私は思う。アンコールの練習は、そんなにたくさんやるわけではないが、最初からみんな驚いてしまった。「威風堂々」というのは、よく知られていることだが、一種の軍隊行進曲だ。軍隊が威風堂々と行進するさまを描いている。そして、いかにも威風堂々という雰囲気の活発な部分と、非常に叙情的なやわらかい部分とに別れている。一般の前を堂々と歩くのに対して、王の前で粛然とあるく部分からなるというイメージだろうか。だが、行進曲だから、通常一定のテンポで通して演奏される必要がある。

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最近のウクライナ情勢

 ウクライナの大規模攻勢が、予想したほどの進展をみせず、膠着状態が続いているように見える一方、ウクライナの汚職報道も目立っている。そして、ロシア内の爆発や火災などが目立つ。鈴木宗男氏が、テレビに出演して、ロシアは負けない、北方領土は、2島以外は日本が正式に放棄している、というような話を、例の口調で「熱弁」していた。
 もちろん、専門家ではないので、正確なところはわからないが、できるだけ情報を集めている。それをもとに、以下、自分なりに想像していることである。

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飯守泰次郎氏が死去 「ワルキューレ」の思い出

 読売新聞の報道によると、昨日指揮者の飯守泰次郎氏が急性心不全でなくなられたということだ。実際に、私が飯守氏の演奏を聴いたのは、おそらく、一度切りだったと思う。オーケストラの定期会員になっていた時期がけっこうあるので、そういうときに出演していた可能性はあるが、記憶にない。ただ、明確に一度の演奏会は覚えている。それは二期会によるワーグナーの「ワルキューレ」だった。二期会によるワーグナーは何度か聴いているので、もしかしたら、そのうちの一度は飯守氏の指揮だったのかもしれないが、なんともあいまいなのが、少々もどかしい思いもする。二期会の「ワルキューレ」は、およそ10年後くらいに再び聴いたが、そのときの指揮者は若杉弘だった。

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終戦の日に思う

 今日8月15日は、第二次世界大戦が一応終わった日ということになっている。既にドイツやイタリアは降伏しており、日本だけが連合国と戦争状態にあったが、ついに、1945年の8月15日に天皇が、ラジオ放送で終戦を告げたわけである。このときの総理大臣であった鈴木貫太郎の記念館を一度見学したことがあるのだが、そこに、終戦の詔勅というSPレコードが展示されていた。これが、実際にラジオ放送されたものなのか、聞きたかったのだが、実に小さな家の一間を展示室にしているようなところで、説明の人がいるわけでもなく、質問することができなかった。このレコード原盤を盗もうとして、終戦反対派の軍人たちが、策謀を巡らせたことは、有名な歴史的な逸話である。残念ながら、この鈴木貫太郎記念館は、現在はやっていない。
 ちなみに、ポツダム宣言の受諾は14日である。そして、実際に降伏文書に署名をしたのは、9月2日であった。そして、ポツダム宣言が発表されたのは7月26日であり、そのときの主体はアメリカ、イギリス、中国だった。つまり、ソ連はまだ参戦していなかったから、はいっていなかったのである。そして、日本政府は28日に宣言を無視するという見解をとり、実際には敗戦は確定的であったにもかかわらず、受け入れを拒んだ。その結果、8月6日に広島原爆投下、8日にソ連の参戦、9日に長崎への原爆投下という悲惨な状況を重ねてしまった。もし、7月26日に公表された宣言を、真剣に討議し、結局、そうせざるをえなかった決断をより早く、7月中に受諾していれば、原爆投下はなかったし、また、ソ連の参戦もなく、したがって、北方領土がソ連にとられることもなかったのである。

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中学部活の地域移行 関わりたくない教職員76%

 毎日新聞に、山口市のアンケートで、中学の部活の地域移行に関するアンケートの結果が紹介されている。「中学部活の地域移行 「関わりたくない」教職員76% 山口市アンケ」という記事だ。
 結果は次のような数字だった。
・有償・無償にかかわらず専門種目が指導できるならかかわりたい  3.9%
・報酬が支払われ専門種目が指導できるならかかわりたい                        10.9%
・報酬が支払われるならば専門種目が指導できなくても関わりたい      2.1%
・報酬が支払われても関わりたくない                                                                76.2%
 他方地域クラブ活動がよいことだと思うと回答したのは小学生65.2%、中学生58.0%。そして、はいることについては、積極的な回答がほとんどだった。

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大学スポーツ国際大会へのソマリア代表参加 アスリートへの侮辱か

 少し前から、大学スポーツ国際大会の女子100メートルで、ソマリア代表が、断トツの遅さでゴールインしたことが、話題になっていた。それが、今日、サンデーモーニングで、中畑清が、アスリートを侮辱している、大喝だ、と気焰をあげていたのだ。早速記事にもなっている。「中畑清さんが大喝!大学スポーツ国際大会の陸上“素人出場問題”に「アスリートへの侮辱…許せない」」
 私自身、このレースの映像を何度もみたが、途中で、あまりに遅いので、画面から消えてしまい、一人だけゴールした場面が、あとに出てくるというものだ。けっこう肥満体で、とても陸上選手とは思えないことは、この映像でわかる。そして、当初から「素人」なのに出た、と書かれているので、おかしなこと書くなあとは思っていた。大学生たちの大会なのだから、みなプロではないはずで、そういう意味ではみな素人ではないか、と。

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市立小プールの水、流し続けで市教委、担当教諭に弁償請求

 川崎の市立小学校で、5日間(他の記事では6日間)にわたり水を流し続けるミスがあり、損害額が190万になった。そして、担当教諭と校長に過失があったとして、損害の5割95万円を2人に請求したという記事が話題を呼んでいる。「小学校プールの水、5日間出しっ放し 川崎市が教諭らに賠償請求 損害額は」
ヤフーニュースでは、記事の翌日時点で2000件以上のコメントがついている。
 この記事では詳細がわからないが、とにかく、担当教諭がミスをしたことは間違いないだろう。そして、損害が200万円近くになり、教育委員会が校長と担当教諭に弁償を請求したという骨格は、間違いないようだ。

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思い出深い演奏会 トロバドーレ(藤原歌劇団)

 この演奏会も忘れられないものだ。といっても、実は詳細はよく覚えていない。かなり前の演奏会だったと思うが、好きなオペラであるトロバトーレだったので聴きたいと思ったこともあるが、どうしてもと思った理由は、アズチェーナにフィオレンツァ・コッソットがでること、そしてさらに指揮者がエレーデだということだった。
 コッソットのアズチェーナは、おそらく戦後としては唯一無二というものだったと思うし、正規録音としても、セラフィン指揮のドイツ・グラモフォン版と、カラヤン指揮の映像版がだされている。とくに、セラフィン指揮によるコッソットのアズチェーナは、これ以上考えられないというような歌唱だ。唯一欠陥があるとすれば、老婆であるはずなのに、多少声が若々しいということだろうか。

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「鬼平犯科帳」がっかりする話 引き込み女

 「引き込み女」は文庫の19巻なので、かなり晩年の作品になる。さすがに晩年の話は、矛盾したり、おかしな設定になっていることがけっこう目立つ。「引き込み女」は、前の話とのつながりが間違っていることから、話の展開も不自然なのである。だいたいの筋はこうだ。盗賊磯部の万吉をみかけたというので、その方面の探索をしている途中で、おまさが、むかしの仲間お元が、じっと川面をみつけているのをみかける。そして、跡をつけ、とある商家の引き込みにはいっていることをつきとめる。そこで、長谷川平蔵は、見張り所を設定して、その商家を見張っているのだが、なかなかお元は外出しない。足を洗ったのではないかなどといっているうちに、外出したので、彦十とおまさが跡をつける。外出の目的は、女主人の化粧品を買うことだったようだが、そのあと茶屋にはいってなかなかでてこないので、おまさがおもいきって茶屋の中にはいり、偶然であったかたちで話をする。相談したいことがあるというお元のために翌日も会うことになり、そこで、養子の主人(さんざん姑と妻にいびられている)が、お元を気に入り、駆け落ちしようとつよく迫っていることで、悩んでいたのである。結局、盗みの決行の日に、お元は逃亡してしまうが、一年後、江戸で死体となって発見されたという結末だ。

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水泳界で、再びトラブルか

 2大会連続のオリンピック代表選手だった五十嵐千尋という選手が、ツイッターで、水泳連盟を批判したということで、話題になっている。「「日本は世界から出遅れている」五十嵐千尋が日本水泳連盟を糾弾!声を上げられない現実に訴え「もっと選手の意見に耳を傾けるべき」」という記事だ。
 これで、すぐに思い出すのは、千葉すず選手の訴えだ。自由形の選手だった千葉すず氏が、表にでている規準によれば、当然代表選手に選ばれるはずであるのに、選ばれなかったことを不服として、仲裁委員会に提訴したのだったと記憶している。これには賛否両論あり、千葉を非難する人も少なくなかったし、正しいことをいっていると応援する人もまた多かった。私自身は、応援派だった。スポーツの世界で、幹部やコーチを批判することは、かなり難しいのだろう。私自身は、スポーツ、とくに野球が好きで、若いころはずっとやっていたが、あくまで草野球の世界で、部活にはいったことはないので、詳しいことはわからないが、ただ、部活などのとんでもない非常識な階層社会的なことが嫌で、部活にははいらなかったわけだ。たとえば、当時中学の野球部では、1年生はボールを握ることもできず、ただ先輩たちの練習を遠くからみていて、声をだすだけということだった。本格的に野球ができるようになるのは、2年生になったからだというのだ。そんな世界に入りたくなかったので、そのまま草野球を続けた。
 それは、部活のスポーツは、他の種目でも似たようなものだった。それだけ不合理なことが横行している世界だから、上を批判するなどということは、とんでもないことだったに違いない。そういう意味では、千葉すず氏の訴えは、非常に勇気があるものだったし、そして、事実その後の水泳連盟の運営が変わり、それによって、不振だった日本の水泳界に活気が戻り、世界大会でメダルがとれるようになったのである。

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