大谷最大のピンチ?

 韓国におけるドジャースの開幕戦の最中に、とんでもないニュースが流れ、多くのニュース番組がこの問題に覆われた感じすらあった。ニュースで詳しく報じられているので、内容には触れないが、最大の問題は、水原氏の説明の逆転の真実と、それによって、大谷自身が水原氏を援助したのかということに尽きるだろう。とくに、大谷が罪に問われるのか、大リーグにおいてなんらかのペナルティを課されるのかということである。
 大谷自身が賭博そのものを行ったわけではないことは、確実であるといってよいだろうから、ピート・ローズのような永久追放などということにはならないだろうが、逆に、単に大リーグが禁止しているという意味での賭博に関わったというレベルではなく、違法賭博だから、刑事罰を課せられるような事態がありえないわけではない。そうなれば、間違いなく大リーグからの追放となるに違いない。情報は錯綜しているので、何が事実であるかは、現時点では誰にもわからないのだろうから、大谷にとって、マイナス面がないように進展することが望まれるが、しかし、それにしても、考えさせられる事件であると、多くの人が感じたことだろう。

 大谷は、とにかく野球に人生をかけ、野球の向上のために、生活のすべてを企画実行してきたことで知られている。しかし、そのことは逆に、通常の社会的な常識や知識が欠けているかも知れないと思わせることがある。それでも、通常は道をはずすことはないだろうが、あれだけ若く、お金をもっている人間には、悪意をもって近づくものが多いことも、世の常だ。悪いことでは決してないが、お金の使い方には、常識外れなところがある。自分に背番号を譲ってくれた選手夫婦に、何かお礼の贈り物をするのが慣行だというが、ポルシェをプレゼントしたというのは、かなり驚きをもって受け取られた。いろいろなところに多額の寄付もしているらしい。そのことは、通常は称賛の気持ちをもたれるのだろうが、しかし、そうした金銭感覚を利用しようとする人がいることも間違いない。大谷が、もっとずっと締まり屋で、決して多額の寄付をしたり、融通したりはないという人間であれば、水原氏が、7億円近い借金の返済に協力してほしい、などと頼みにいかなかったかも知れない。そして、そういう違法性のある行為の始末をすることが問題であることは、常識があればわかることだから、水原氏の願いをいれる前に、球団なり弁護士に相談することを、しっかりした金銭感覚の持ち主だったら、実行するに違いない。違法行為に加担することが、自分の人生を台無しにする可能性があることは、当然認識していなければならない。大リーグは、毎年、シーズン開始前に、全員に対して、賭博問題についての講義を実施しているということだ。だから、何度も大谷は、そのことを聞かされているはずである。まさかとは思うが、通訳が水原だから、正確に通訳しなかったなどということで、大谷が正確な理解をしていなかったなどということなのだろうか。
 あるいは、大谷が全く知らなかったということだったとしても、それなら窃盗にあったわけで、資金管理やパソコン管理が徹底していなかったことになる。あれだけの収入があってそうした管理が甘いとすれば、かなり危ない状況だ。

 球団は当然大谷を守ろうとするだろうが、守りきれないこともありうる。なにしろ、大谷の口座から違法賭博の人間に巨額な振込があったことは、事実だろうから、大谷が賭博をしなかったとしても、違法行為を認定される可能性はあるわけだ。
 大リーグを追放されたら、日本のプロ野球は受け入れるだろう。日本では、やはり被害者として理解されるだろうし、日本で違法行為をしたわけではない。日本でプレーすれば、実際に大谷を見ることができる。大リーグで活躍するのもいいが、実際にそのプレーをみれないよりは、見られるほうが、野球ファンにはうれしいかも知れない。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です