文春と警察の全面対決

 一週間間があいた(前号はお盆のための二週間分合併号だった)『週刊文春』の最新号を早速読んだ。前回は、木原氏のデリヘル問題だったので、この事件の軸である警察官による犯罪の、警察機構あげての隠蔽という側面から、軌道修正を図ったのか、と訝しく思った点もあったのだが、やはり、真っ向から警察と対決するという記事構成をしてきた。あくまでも、一週刊誌の記事だから、絶対に正しいと受けとっているわけではないが、ただ、私自身、文春記者の取材をうけたことがある経験から、『週刊文春』の取材の徹底度については、充分に認めているので、いいかげんなことを書いているとは思わない。私がうけた取材というのは、私のかつての職場(定年退職間近だったのだが)で、ある事件をおこした教授がおり、すぐに、我が家に記者が取材にやってきたのだ。職場が、この件について取材に応じないように、という指示がでていたので、特段話しはしなかったのだが、とにかく、すぐに自宅までやってくるその取材の徹底度に感心したことは確かだ。「すごいですね、なぜ、ここがわかってのですか?」と聞いたら、「われわれもプロですから」と答えていたものだ。そして、職場から、話さないようにという指示が出ているのだ、と説明したら、了解してくれた。だから、無理な取材をして、取材源が応じていないのに、無理矢理こじつけで書いているとは、思えないのである。そして、文春の記事と、警察の発表していることとを比較検討すれば、警察の発表の「真実味のないこと」は歴然としている。

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熱中症で体育の授業後死亡

 北海道で、小2の女子が体育の授業のあと、教室に帰る途中で倒れ、死亡したという。「熱中症疑い “小2女児” が死亡 体育の授業後に倒れる… 北海道伊達市 最高気温33.5℃ 統計開始以来で一番の暑さ」
 近年、文科省の指導なのか、授業日数を確保するために、かなり無理な日程が組まれることが多い。北海道などは冬の休みを多くするために、8月から授業を開始するのは、以前からだったが、東京などでも、そういう学校が多くなっている。ところが、夏の暑さは、以前とは比較にならないくらい酷くなっており、この事故が起きたときにも統計開始以来の暑さだったという。近年は、教室にはエアコンが設置されていることが多くなっているから、(北海道の学校はどうなのかわからないが)教室での通常の授業は、特別問題ないとしても、体育の授業は、まったくの炎暑のなかで行われることになる。体育館は直接の日差しがないだけましかも知れないが、熱いことにかわりはないだろう。

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札幌殺人事件の子育てを考える2 責任

 今回は、「責任」の問題である。

 サドベリバレイ校の教育の根幹に次の原則がある。
・何をするかは自分で決める。
・決めたことを実行する際に、スタッフは求められれば、可能な援助をする。
・その結果について、本人が責任を負う。
 つまり、簡単にいえば、何をするのも自由だし、援助もするが、その結果については、本人が引き受けるということだ。
 実は、日本の教育全般に、非常に欠けているのが、この本人責任である。本人が明確に結果を負うのは、成績評価と入試が主なものだろう。だから、入試には必死になるといえる。しかし、入試も全入時代になっているから、その面での責任もあいまいになっていると考えざるをえない。 “札幌殺人事件の子育てを考える2 責任” の続きを読む

札幌殺人事件の子育てを考える1

 札幌の殺人事件は、動機をめぐって日々報道が続いているが、私が注目するのは、やはり、この父と母の子育てである。報道によれば、他に子どもはいないようだから、一人っ子の娘を育てていたことになる。そして、娘は、30近い年齢になっても、まったく定職もなく、なにか決まったことをするでもなく、親と同居していたという、少し前によくいわれた表現だとパラサイトということになる。

 父親は評判の医師だったわけだから、経済的にはまったく不自由ない生活をしてきたのだろう。そして、経済的だけではなく、生活全体において、娘は自由に、自分の意思を通すことができたということらしい。 “札幌殺人事件の子育てを考える1” の続きを読む

インドと日本の男尊女卑の形

 「“女児が生まれる前に殺される”インドで、家父長制と闘う父親が社会を変える」という記事がヤフーニュースに掲載されている。元の記事COURRiER掲載で、ニューヨーク・タイムズがさらに元記事になっている。
https://courrier.jp/cj/335533/?utm_source=yahoonews&utm_medium=related&utm_campaign=335533&utm_content=society

 インド社会では、男尊女卑の風習がいまでも強く残っており、妊娠中の胎児が女の子だとわかると、中絶してしまう場合が少なくないという。そういうなかで、ある男性の子どもが誕生したとき、子どもをとりあげた看護婦が、非常に申し訳なさそうに、暗い表情で「女の子です」と父親に告げたのだそうだ。その言葉をきいて、男性は切れたと書いてある。そして、そのとき「ご自身のことも、恥だと思うのですか?」と聞いたそうだ。 “インドと日本の男尊女卑の形” の続きを読む

思い出深い演奏会 マイナスイメージで

 思い出深いといっても、とてもすばらしくて感動的だった、というものばかりではなく、逆の場合も多々ある。だれかが重大なミスをして、それが否応なく目立ってしまったとか、演奏の解釈があまりに強く違和感を感じるものだったとか、その他さまざまな要因がある。今回は、そうした演奏会をとりあげたい。
 
 最初にとりあげるのは、自分たちの演奏会で恐縮だが、エルガーの「威風堂々」をアンコールで演奏したときだった。正規のプログラムは、とくにそうではなかったのだが、アンコールは、練習段階から、団員たちの不満が募っていた。こんな風にやるのは絶対に嫌だという雰囲気に包まれた、と私は思う。アンコールの練習は、そんなにたくさんやるわけではないが、最初からみんな驚いてしまった。「威風堂々」というのは、よく知られていることだが、一種の軍隊行進曲だ。軍隊が威風堂々と行進するさまを描いている。そして、いかにも威風堂々という雰囲気の活発な部分と、非常に叙情的なやわらかい部分とに別れている。一般の前を堂々と歩くのに対して、王の前で粛然とあるく部分からなるというイメージだろうか。だが、行進曲だから、通常一定のテンポで通して演奏される必要がある。

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最近のウクライナ情勢

 ウクライナの大規模攻勢が、予想したほどの進展をみせず、膠着状態が続いているように見える一方、ウクライナの汚職報道も目立っている。そして、ロシア内の爆発や火災などが目立つ。鈴木宗男氏が、テレビに出演して、ロシアは負けない、北方領土は、2島以外は日本が正式に放棄している、というような話を、例の口調で「熱弁」していた。
 もちろん、専門家ではないので、正確なところはわからないが、できるだけ情報を集めている。それをもとに、以下、自分なりに想像していることである。

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飯守泰次郎氏が死去 「ワルキューレ」の思い出

 読売新聞の報道によると、昨日指揮者の飯守泰次郎氏が急性心不全でなくなられたということだ。実際に、私が飯守氏の演奏を聴いたのは、おそらく、一度切りだったと思う。オーケストラの定期会員になっていた時期がけっこうあるので、そういうときに出演していた可能性はあるが、記憶にない。ただ、明確に一度の演奏会は覚えている。それは二期会によるワーグナーの「ワルキューレ」だった。二期会によるワーグナーは何度か聴いているので、もしかしたら、そのうちの一度は飯守氏の指揮だったのかもしれないが、なんともあいまいなのが、少々もどかしい思いもする。二期会の「ワルキューレ」は、およそ10年後くらいに再び聴いたが、そのときの指揮者は若杉弘だった。

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終戦の日に思う

 今日8月15日は、第二次世界大戦が一応終わった日ということになっている。既にドイツやイタリアは降伏しており、日本だけが連合国と戦争状態にあったが、ついに、1945年の8月15日に天皇が、ラジオ放送で終戦を告げたわけである。このときの総理大臣であった鈴木貫太郎の記念館を一度見学したことがあるのだが、そこに、終戦の詔勅というSPレコードが展示されていた。これが、実際にラジオ放送されたものなのか、聞きたかったのだが、実に小さな家の一間を展示室にしているようなところで、説明の人がいるわけでもなく、質問することができなかった。このレコード原盤を盗もうとして、終戦反対派の軍人たちが、策謀を巡らせたことは、有名な歴史的な逸話である。残念ながら、この鈴木貫太郎記念館は、現在はやっていない。
 ちなみに、ポツダム宣言の受諾は14日である。そして、実際に降伏文書に署名をしたのは、9月2日であった。そして、ポツダム宣言が発表されたのは7月26日であり、そのときの主体はアメリカ、イギリス、中国だった。つまり、ソ連はまだ参戦していなかったから、はいっていなかったのである。そして、日本政府は28日に宣言を無視するという見解をとり、実際には敗戦は確定的であったにもかかわらず、受け入れを拒んだ。その結果、8月6日に広島原爆投下、8日にソ連の参戦、9日に長崎への原爆投下という悲惨な状況を重ねてしまった。もし、7月26日に公表された宣言を、真剣に討議し、結局、そうせざるをえなかった決断をより早く、7月中に受諾していれば、原爆投下はなかったし、また、ソ連の参戦もなく、したがって、北方領土がソ連にとられることもなかったのである。

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中学部活の地域移行 関わりたくない教職員76%

 毎日新聞に、山口市のアンケートで、中学の部活の地域移行に関するアンケートの結果が紹介されている。「中学部活の地域移行 「関わりたくない」教職員76% 山口市アンケ」という記事だ。
 結果は次のような数字だった。
・有償・無償にかかわらず専門種目が指導できるならかかわりたい  3.9%
・報酬が支払われ専門種目が指導できるならかかわりたい                        10.9%
・報酬が支払われるならば専門種目が指導できなくても関わりたい      2.1%
・報酬が支払われても関わりたくない                                                                76.2%
 他方地域クラブ活動がよいことだと思うと回答したのは小学生65.2%、中学生58.0%。そして、はいることについては、積極的な回答がほとんどだった。

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