本書のコメントからは離れてしまうが、どこまで一般化できるかは別として、私自身の体験を書いておきたい。元同僚たちの批判になってしまうが、現在ほぼ全員が退職しており、かなり昔のことなので、あえて書くことにした。ここで書いたような側面はあるが、皆まじめで、誠実な人たちであったことは、断っておきたい。
日本の知識人たちが、少なからず、外国人に対して、あるいは外国で教育を受けたものに対して、排外的な姿勢をとることの具体例である。
第一は、私がまだ大学院の担当者であったときのことだ。大学院の入試判定前の段階で、受験可能かどうかの問い合わせについて議論したものだった。
その受験予定者は、イギリスの大学を卒業していた。しかし、一般的なイギリスの大学は3年間で終えることができる。ヨーロッパの大学は4年制であるが、修士号を付与することが一般的である。尤も以前は6年が原則だったので修士号の付与は当然だったのだが、カリキュラム改革などを経て4年で終了できるようにして、修士号付与はそのままだったのである。だから、学士号を付与する教育機関は、3年でオーケーということになっているのだ。
そのことで、日本人がイギリスの大学を卒業したが、日本の大学院は4年間の大学教育を条件としているので、問い合わせがあったわけだ。