中学受験と宗教二世問題

 昨年、統一教会問題から、宗教二世という側面がクローズアップされた。日本では、宗教自体のなかから、宗教二世への、適切な対応のための改革が現れたことは、ないように思われるが、キリスト教の世界では、いくつかの例がある。再洗礼派は、その代表的な運動であり、弾圧されたが、現在でも、いくつかの教派に受け継がれているという。成人になってからの信仰の自覚と表明を、信者であることの必須条件とすることは、子どもに大人の信仰を押しつけないことを意味する。アメリカ移民当時の生活スタイルを保持しているアーミッシュも、18歳になったときに、共同体に残るか、外に出るかを、自由に選択させるそうだ。
 実態はどうかという問題はあるが、少なくともそうした考えが実行されていれば、宗教二世問題は生じない。

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オリビア・ハッセーが映画会社を提訴

 オリビア・ハッセーが、レナード・ホワイティングとともに、パラマウント・ピクチャーズを訴えた。多くの記事がだされているが、以下が比較的詳しく、また1000以上のコメントがついている。
「ヌードシーンが児童虐待、1968年『ロミオとジュリエット』で製作会社訴え」
 こうした話題について書くのは、あまり気が進まないのだが、共感できない部分が多かったので、考えてみることにした。
 まず、有名なフランコ・ゼッフィレルリ監督の映画「ロメオとジュリエット」(1968年制作)で主演を演じたのが二人の提訴者だ。コメントでも多くが語っていたのは、何故今になって?ということだ。50年以上前の映画なのだ。

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政権浮揚のための解散はありなのか?

 岸田首相が、解散する可能性があるという。しかも、その理由が、来年の総裁選で再選するためだというのだ。実は、安倍元首相も、何度か解散して、その都度勝利し、権力基盤をその勝利によって堅固なものにしてきたと言われている。安倍元首相が選挙の度に勝利したのは、野党のあまりのだらしなさと、自民党のメディア支配による巧妙な選挙戦、そして小選挙区という仕組みのためで、国民が安倍晋三という人物、そしてその政策を支持したわけではない。安倍氏は、国政選挙を利用して、自分の権力基盤を強化した。岸田首相をそれを真似したいと思っているのだろう。
 しかし、これは選挙の悪用であり、民主主義への挑戦である。選挙は、国民の支持する内容を確認するためのものであって、権力者の権力基盤のためにあるわけではない。安倍元首相が選挙に打って出たときは、多くの場合、氏への批判が強くなったときだった。そうした批判を票に結び付けることができなかった野党も、本当に情けないと思うが、やはり、政権をとっている側の、国政への矜持の問題といえる。安倍内閣が、自己のために選挙を繰りかえす度に、日本の民主主義はそれだけ弱体化した。国葬をめぐってであるが、自民党内から、安倍晋三氏がいかに日本を、自民党を堕落させたか、国賊といえる、という批判すらでたほどである。

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安倍元首相銃撃考察16 山上の起訴が決定したが

 安倍元首相を殺害した犯人とされる山上の起訴が決まったと報道されている。その前に、山上の鑑定留置の延期措置がとられ、いつまでの延期なのかは、検察と弁護側の駆け引きで二転三転したが、まだ、鑑定留置が終了していない段階での「起訴」という決定は、いかにもおかしな感じを与える。この事件の司法側の対応は、疑問だらけなのだが、またひとつおかしな行為が加わったという感じだ。
 そもそも、鑑定留置は、容疑者に責任能力があるかどうかを鑑定するために、取り調べも中止して、鑑定を行うものである。だから、鑑定留置の途中では、責任能力があるかどうかは、判断できないはずである。まして、この山上の鑑定留置は、通常弁護団からの要請で行われるのに対して、検察自らの判断である。弁護側から、責任能力の有無の鑑定が要請されていないにもかかわらず、検察が率先して、しかも例外的に長期の鑑定を決定して実施していたものである。11月に期限が切れたときに、検察は更に延期を要請していた。つまり、結果がまだ十分に出ていないことを意味しているはずである。にもかかわらず、責任能力があると判断して、起訴を決定したというのだ。もちろん実際に起訴するのは、鑑定留置が開けたあとであるのだが。

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タリバン 女性を大学から排除

 政権復帰前後には、女性の権利を守ると宣言していたタリバンが、既にその公約を裏切っている。ヒジャブを強制しているし、教育も制限しつつある。中等教育機関では、女子生徒の登校が禁じられて、自宅待機になっていたが、更に、女性が大学に通うことを認めない方針を打ち出した。
 そうしたときに、必ずもちだされるのが、イスラム法に規定されているとか、クルアーンの精神などといわれている。しかし、イスラム教徒であり、イスラムの専門家も、女性は教育を受けることはゆるされない、などという教えや法は、イスラムにはないと語っている。また、パキスタンのイムラン・カーン首相は、「女性は教育を受けるべきではないという考えは、イスラム教にはない。宗教とは無関係だ」とインタビューで語っている。

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ロシア内部の軍事施設を攻撃

 ここ数日間のウクライナ情勢に関しては、ウクライナから遠く離れたロシア領内の軍事施設が攻撃されたことに、話題が集中している。これは、非常に大きなターニングポイントになりうる。
 当初、旧ソ連製の偵察用ドローンを、ウクライナが改良して攻撃機として使ったという説だった。偵察用だから、かなり航空可能距離が長く、1000キロ飛行可能だから、十分攻撃できる。ロシアのこの地域の防空施設が脆弱なために、攻撃を許したというわけだ。
 しかし、それには反論もでている。モスクワ周辺だから、防空施設はかなりしっかりしており、ウクライナ領内から700キロもドローン飛んできて、爆撃まですることは絶対に不可能であるという、ロシア元軍人の解説が出ているそうだ。ロシア自身によるやらせの可能性もあるが、わざわざモスクワに近い空軍基地の、しかも重要な爆撃機を損傷させるようなことを、現時点で行うメリットはあまり感じられない。とすると、やはり、少なくとも反ロシア勢力によるものだとすると、筑波大名誉教授の中村氏によれば、ウクライナ協力者のロシア人が実行したか、あるいは、入りこんでいるウクライナ特殊部隊に、協力して、近くからドローンを飛ばしたという。また、カザフスタンから飛ばしたという考えもできるそうだ。
 いずれにせよ、ウクライナの意思が起こしたとすれば、アメリカとの関係において、予想しがたい事態になっていく可能性がある。

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ウクライナは優勢なのか?

    ウクライナ情勢は、かなりの進展があり、一般的な報道では、おおげさではないが、ウクライナ側に勢いがあることを伝えている。ウクライナを応援するyoutubeでは、もっとウクライナ優勢が誇張されており、ロシア軍はどんどん崩壊しつつあるような主張だ。しかし、それは本当なのだろうか。
 他方では、以下のような記事もある。
 「国土割譲もやむなし、ウクライナに必要な早期和平協定」 横山恭三 2022.12.2
がそのひとつだ。
 表題の通り、欧米では停戦を望む声が大きくなっているというものだ。その理由として、横山氏は、ヨーロッパのウクライナ支援疲れと、バイデンのアルマゲドン発言(核戦争の危険)がアメリカ国民に恐怖感を与え、厭戦気分が生じているというのだ。

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ローマ教皇の民族差別発言

 朝日デジタルに、ウクライナ戦争に関連して、ローマ教皇が民族差別発言をしたという記事が掲載されている。
「「ローマ教皇、ロシア軍の少数民族「最も残忍」 ロシア「歪曲」と反発」」(朝日デジタル2022.11.30)
 11月発行のアメリカのカトリック雑誌に掲載されたとだけ書いてあるので、Press Display  で探したが、見つからなかった。更に検索していくと、どうやら、朝日の記事元は、ガーディアンらしいことがわかった。以下の記事だ。
‘Racist’ interview with Pope Francis causes fury in Russia’ (The Guardian 2022.11.29)
 教皇がインタビューで語ったとされる内容だが、言っていることは単純で、ロシアのウクライナ侵攻で、最も残虐な行為をしているのは、ブリヤート人とチェチェン人だということだ。ブリヤート人は仏教徒であり、チェチェン人はイスラム教徒だ。だから、キリスト教徒より残忍だといいたいらしい。

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宮台真司氏が襲われる

 都立大学教授の宮台真司氏が、大学構内の歩道で襲われたと報道されている。まず頭を殴られ、そして、首の周囲を数回切りつけられたという。首の周囲を切ろうとするというのは、殺意を感じる。4時半頃というのだから、おそらく、まわりに人がけっこういたのではないかと思うのだが、都立大学のキャンパスは行ったことがないので、もしかしたら、ほとんど人目につかない場所があるのかも知れない。目撃者はいなかったのだろうか。それにしても、大学のキャンパス内の歩道で、殺人未遂のような行為が実行されたというのは、かなり衝撃的である。日本もアメリカに近づきつつあるのだろうか。

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ベラルーシ外相マケイが死去

 ベラルーシの外相ウラジーミル・マケイ氏が26日突然死亡したという。各紙が報道しているが、共通している内容は以下の通りだ。
・マケイ外相は、ベラルーシの独裁者ルカシェンコの下で、10年に渡って外相を務めていた。
・閣僚のなかで、唯一ロシアに影響されない人物だったと言われている。
・直前まで会談をこなし、また28日にもロシアのラズロフ外相との会談が予定されていた。
・死因はわからない。
 元気だったはずの重要人物が突然死去したのだから、当然憶測が飛んでいる。64歳ということだから、当然脳卒中のような発作で、突然亡くなったという可能性は否定できない。しかし、直前まで会談をこなしていたし、重要会談を控えていたということだから、健康上の問題はないとすると、その可能性も低いような気がする。すると、誰かに殺害されたということになるが、もっとも多くのひとたちが想像しているのは、ロシアによる暗殺だ。

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