前にチェリビダッケについての文章を書いたが、(チェリビダッケのリハーサル1~3 http://wakei-education.sakura.ne.jp/otazemiblog/?p=1386 http://wakei-education.sakura.ne.jp/otazemiblog/?p=1396 http://wakei-education.sakura.ne.jp/otazemiblog/?p=1402)井阪紘氏の『巨匠たちの録音現場 -カラヤン、グールドとレコード・プロデューサー』(春秋社)を読んで、意外な評価だったので、再度考えてみた。
本の題名には、2人の固有名詞が書かれているが、実はチェリビダッケも扱われている。録音芸術の巨匠だったカラヤンを別格として大きく扱い、更に、録音を完全に拒否したチェリビダッケと、生演奏を拒否して、録音だけの活動に入り込んだグールドを対照的な演奏家として、分析しているわけだ。そして、付録のような形で、有名な録音プロデューサーだったジョン・カルショーを加えている。著者は、録音プロディーサーということなので、実際に経験した彼等の録音活動を扱っているのかと思ったが、扱われている事実は、ほとんどが文献によるもので、それらの読み方に、実際の録音プロデューサーとしての分析を加えた形になっている。したがって、新しい事実を教えられたということは、ほとんどなかった。