学校教育から何を削るかというテーマで、最初に思いつくのは、「運動会」であり、その関連で「合唱祭」である。いずれも「競争」を軸とした全員参加の学校行事である。だから、削る「基準」に完全に合致している。
学校の教師や教師志望者たちは、ほとんどが学校教育での勝者、あるいは、学校時代によい思い出をもっている人たちだから、最も重要視される行事の運動会を削る対象としてあげられると、「えっ?」と言う人がほとんどだ。大学での授業で、運動会の必要性を議論しても、多くが当然あるべきものという見解を示す。
しかし、実は、運動会こそ最も嫌な思い出だという人も、少なくないのだ。徒競走をやれば、確実にビリの子どもがでる。いつもビリになる子どもにとっては、運動会は悪夢でしかない。だからといって、そうした不快な思いをする子どもたちがいるから、運動会を廃止したほうがいいと言いたいわけではない。多くの弊害があるからだ。