村田兆治氏 一連の事態で感じること

 元プロ野球投手の村田兆治氏の羽田空港での事件と、その後の自宅の火事による死亡とが、短期間に起こったので、驚きの連続だった。村田氏は団塊の世代で、私と同じだ。だから、ずっと同じ時期に生きてきたことになる。もちろん、現役時代のこともよく知っている。子どものころは実際に球場に見にいったが、大学入学後は、滅多にいかなくなったので、実戦での投球をみたことはない。しかし、その活躍は誰もが知るところだし、引退後もOBによる親善試合で、140キロをだしたことがずいぶんと話題にもなった。私自身、中年になってチェロをはじめ、どこまでやれるかという挑戦をしているので、村田氏の姿勢は、とても励みになっていたのも事実だ。

 
 それが突然、羽田空港で暴れ逮捕されたというニュースで、びっくりした。村田氏のような有名人でなければ、ニュースにもならないだろうが、有名税なのだろうか。本人は、腹をたてたが、暴力は振るっていない、ただ、ちょっと押し退けただけだ、といういいわけをしたというが、押されたほうからすると、大きな身体の人に押されれば、かなりの恐怖を感じたろう。実際に怒っていたのだから。
「空港で女性検査員を暴行…村田兆治「本誌記者を熱血指導」」
 
 この事件は、ふたつの点から、考察された。ひとつは、保安検査そのものの問題である。「村田兆治の羽田逮捕で浮かび上がった「保安検査の闇」 職員の劣悪待遇と国防観点から、今すぐ在り方を見直せ」( 2022.9.27  戸崎肇(経済学者))が指摘している。
 空港における保安検査は、航空会社にまかされており、どうしても費用等が軽視され、現場で働く人にしわ寄せがある、そこを改善しないと、問題が起きるという趣旨だ。たしかに、空港でのこうした検査は、されるほうからすれば、愉快なことではない。アメリカでは靴などを脱がされることもあったから、実は、要求する検査員も、かなり気をつかうはずである。どういうものが音を鳴らすのか、事前に正確に知らされて、理解していれば、トラブルはあまり生じないだろうが、知る機会を失ったり、また、理解していなかったりすると、何度も鳴って、検査を繰りかえされ、そのうち怒りだす人もいるだろう。
 
 そこで、次の火事とあわせて、出てきたのが、認知症説だ。昨日(11月11日)未明に、自宅の火災が発生し、村田氏がなくなった。「元ロッテ・村田兆治さんが自宅火災で死亡 9月に羽田空港で暴行騒動」
 
 私が見た限り、新聞等の大手メディアでは報じていないが、ヤフコメなどでは、かなりの人か、村田氏の一連のできごとは、認知症の影響ではないかと書いている。そのなかには、専門家と称している者も含まれる。もちろん、正確なところはわからないが、年齢的にありうることだろう。認知症といっても、多様な症状があるが、感情のコントロールが難しくなることがある、だから、何度も検査をやりなおされて、怒りを抑えることができなくなったのではないか、という推測だ。
 認知症であれば、当然忘れてはいけないことを、うっかり忘れてしまう頻度が高まるはずだ。だから、火事については、煙草の不始末などの可能性があるのではないかという推測が書かれている。
 これで思い出すのが、我が家でのことだ。我々家族と義母が同居することになり、私たちのほうは、給湯設備(戸外設置)以外すべて電気にしたが、義母のほうは、ガスコンロで調理をする体制だった。数年後、認知症の兆候が現れ、真っ先に行ったのが、ガスをやめ、IHにすることだった。そして、自動的に時間制限がかかるように設定した。火の扱いのミスによる火事の可能性をなくすためであった。義母はその後、認知症が進んだが、ヘルパーさんたちの協力や娘である妻の献身的なサポートで、最後まで在宅で過ごし、よくいわれるようなトラブルもまったくなく、幸せな老後だったろう。
 村田氏は、一人暮らしだったという。一人暮らしだと、認知症に気付くことは稀だろうし、また、気付いたとしても、適切な対策をとることは、より困難に違いない。
 もちろん、村田氏が認知症であったかどうかは、まったくわからない。しかし、可能性はあるし、また、一般的にいって、特に一人暮らしの認知症に対する施策は、今後非常に重要になることは間違いない。単に個人の生活だけではなく、こうした火災などによる周囲への影響もありうるわけだ。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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