著作権を考える 子どもの発表会の著作権(最高裁判決)

 音楽教室の発表会での著作権料に関する最高裁判決がでた。
 
 私自身は、JASRACにあまり好感を抱いていないので、そうした意見の偏りがあるかも知れないことは、予めお断りしておきたい。 
 この訴訟で争われていたのは、音楽教室の発表会で演奏したときに、著作権料が発生するかどうかである。JASRACは、講師であろうと生徒であろうと、発表会で演奏すれば、著作権料を支払う必要があるという立場であり、講師、生徒側は、学習のためなのだから著作権料は発生しないという立場である。一審、二審で判断が異なり、また最高裁でも異なったという、珍しい事例である。それだけ著作権とは、複雑な権利であり、また、社会的効果も、ひとつの考えで割り切ることができないといえる。

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公文書の保存と公開 神戸事件の事例から考える

 神戸の中学生による連続殺傷事件の司法記録が、すべて廃棄されていたことが、話題となっている。
 通常の文書は20年保存となっているが、最高裁が重要な件については、永久保存することを義務づけている。誰がみても、神戸の事件は重要案件だと思うが、どういう訳かすべての資料が廃棄されたという。日本の行政担当者の文書保存意識の低さを、実感させられる。公文書は、自分たちに都合が悪くても、きちんと保存すべきものである。もちろん、非公開期間があってもよい。しかし、保存はきちんとして、一定期間が過ぎたら公開すべきものである。そもそも通常の裁判は公開であるから、資料も公開されている。もっとも、判決以外の資料は、特定の場所に保存されているので、見るためには、その場所に行かねばならない制約はある。しかし、裁判が公開であるということは、資料についても公開されるべきものであって、現在は資料もほとんどはデジタル化されてやりとりされるから、ネットで見ることができるようにすべきなのである。

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群馬交響楽団の荘厳ミサ曲

 今日、高崎まででかけて、群馬交響楽団の演奏会を聴いた。群響を聴くのは2度目だ。最初は、ずっと昔東京文化会館での東京遠征を聴いた。私が当時チェロを習っていた先生が、群響のチェリストだったので、東京で演奏会をする機会に聴きにいったわけだ。曲もよく覚えている。チャイコフスキーの「幻想序曲ロメオとジュリエット」、リヒャルト・シュトラウスのホルン協奏曲、そして、メインが「悲愴」だった。ホルン協奏曲が、なにか危なっかしい感じがしたので、あとで先生に聞くと、ドイツから来たというホルンのソリストが、練習のときと全く違うテンポで演奏したので、みんなあわせるのに懸命だったということだった。そんなことがあるのかとびっくりしたものだ。悲愴はすばらしかった。
 私は、当時松戸に住んでいて、高崎から毎週教えに来るのは、本当に大変だったと思う。当時は、先生が非常に若かったのだが、この春に、高崎にいったときに、群響のかつての演奏会場(そのときには、いまでもそこで演奏していると思っていたのだが、今は新ホールになった。)があり、ネットで調べると、今でも団員名簿にあったので、私のオーケストラの練習がないいときに、ぜひ聴きにいこうということになったのだ。ほとんどは土曜日で重なっていたのだが、今日は、日曜日なので、練習がなかった。

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Biglobe のブログ終了で考えたこと

 さて、ひとつひとつの書き込みを表示して、エディター(WZエディター)コピー&ペーストしていく。テキストだから、写真とか、書式は無視される。だから、コピーしたあと、見出しを拾いながら、アウトライン用の記号を付加していく。さらに、「いいね」のような、余分な情報を取り除いていく。 
 文章が670あり、1行40字で、44000行という、かなり膨大な量になっている。幸い、WZエディターは、高い機能性をもっているので、これだけ膨大な量になっても、機敏に動くので、作業のいらいらはないのだが、とにかく、単調な作業を続けなければならない。
 
 そうして、昨日はかなりの長時間単純作業をしていたのだが、あることに気がついた。私は、普段、あまり集中力が継続しない性質なので、読書や原稿書きなどは、30分くらいやると、集中力が途切れて、別の作業をしたくなる。だから、だいたい複数の作業を容易して、いれかえながら仕事する。そうすると、作業そのものを放り出すことがなくなるのだ。

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統一教会 勅使河原氏の会見・自民党との政策確認

 昨日、統一教会の勅使河原氏の記者会見があり、これまでの様子とは違って、かなり居丈高の姿勢が目立った。統一教会信者の外部の人との対応は、とても静かなものだというのが、これまでの評判だったが、いよいよ違う姿勢を見ててきたと、けっこう印象的だった。今日(10月21日)の羽鳥モーニングショーで、興味深い話題がいくつか取り上げられた。
 勅使河原記者会見のなかで、二世信者を抜てきしたということで、10名前後の二世信者がずらりと並ぶことがあったが、こうした特定宗教団体に属しているひとたちは、表情まで似てくることを感じた。正直、このひとたちには、自分の意思があるのか疑問だという印象を拭えない。

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岸田首相の解散命令の解釈変更は当然だ

 統一教会の解散問題は、現在の最大の政治問題のひとつだ。
 これを考察する前に、「いいかた」について述べたい。宗教団体は、宗教法人法における認可をうけると、様々な利益をえられる。その最大のものが、宗教活動に対する非課税措置だろう。ところが、いくつかの条件によって、この認可が取り消されることがある。過去は二例だけらしいが、この取り消しを「解散命令」と通常いわれている。
 確かに、宗教法人法に次のような規定がある。

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ウクライナに厳しい局面

 9月からの反転攻勢で、ウクライナの勝利が近づきつつあるようなムードが、日本国内で広がったが、必ずしも楽観が許されない状況にあるようだ。
 さかんにロシアの兵器が枯渇していると報じられており、その証拠に、イラン製のドローンが使われているとされる。しかし、イラン製のものであろうと、北朝鮮製であろうと、ミサイルや攻撃ドローンがロシアに提供されていれば、ロシアの兵器が枯渇しているとはいえない。そもそも、ウクライナの兵器はほとんどが他国に依存している。ウクライナが頑張れるかは、NATO諸国が、ウクライナに武器支援を継続できるか否かにかかっている。イランよりはNATO諸国のほうが経済力があり、武器支援を強力に行っていることは確かだ。しかし、別の点からいえば、ロシアは武器使用の制限などなく、民間施設を躊躇なく爆撃して、多大な損害をウクライナに与えているが、ウクライナ側は、ロシア領土内(占領地ではなく)を攻撃しないようにという制限をつけられ、そのために長い射程の弾薬を供給されていない。それに、たとえ相手がロシア兵であろうと、ウクライナ領土内を攻撃するわけだから、当然さまざまな制約がある。民間人を殺害するわけにはいかないし、建物に隠れたロシア兵を建物ごと爆破することは躊躇せざるをえない。

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パバロッティ 音大に行かなかったというが

 「名テノール歌手 ルチアーノ・パヴァロッティ 終の住処を訪ねて」(大矢アキオ)という文章があったので、パバロッティについて考えたくなった。
 大矢氏が、次のように書いていることに気になったからである。
 
 「すなわちパヴァロッティは、18世紀末のフランスに起源を遡(さかのぼ)り、すでに多くの音楽家が学んだ近代的な音楽院という教育システムを辿(たど)った人物ではなかったのである。代わりに、国や時代は違うものの、町にやってきた若き騎士が地元の歌合戦に挑戦するリヒャルト・ワーグナーの『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の世界に近い。

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オーケストラの楽器が水浸し

 静岡県裾野市のホールで、スプリンクラーが突然作動して、オーケストラの楽器が水浸しになり、楽器を守るために運びだしていた人の何人かが転倒して、怪我をしたというできごとがあった。施設管理者である市が、被害者であるオーケストラ側に対応していないということで、オーケストラ側が記者会見を開いて、話題になっている。オーケストラは「シンフォニエッタ静岡」というプロのオーケストラということだ。
 
 オーケストラ活動をしている身としては、深刻に考えさせられるできごとだ。

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マイナンバー・カードと保険証の統合 利権絡みの愚策

 河野大臣が、健康保険証をマイナンバー・カードに統合して、これまでの紙等による保険証を廃止する方針を打ち出し、大きな論争になっている。そういうなかで、高橋洋一氏が、反対派を論破するということでyoutubeで説明していたが、あまりの酷さに呆れてしまった。
 氏によれば、反対派があげている理由はふたつあって、ひとつは、中国にデータが流れるということ、もうひとつは、在日が通称を用いているのに、マイナンバー・カードは実名しか認めていないので、それを嫌がっているというのだ。私がみた限りでは、そういう反対理由に出会ったことがない。「全くない」とはいわないが、あまりに馬鹿げている。私自身は、原則的には、マイナンバー・カードによる健康保険証の統合には賛成であるが、河野大臣が提案しているような内容には、賛成できない。そういう立場として、マイナンバー・カード反対論をみているが、高橋氏があげたような理屈ではなく、むしろ中国にもれるというよりは、アメリカにもれるという反対論が多い。そして、アメリカにデータがもれる可能性は、少なくとも中国よりは、ずっと高い。もともと、グーグルやフェイスブックはCIAに協力しているといわれているから、マイナンバー・カードの内容に限らず、日本のデータが掌握されている可能性は高いはずである。在日の通称については、びっくりという他ない。反対派の多くは、そのようなことは、まったく考えていないのではないだろうか。

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