プーチンは、ウクライナがNATOに加盟するのは、ロシアにとっての安全上の脅威であるために阻止しなければならないとか、ウクライナはナチスによって支配され、住民が抑圧されているので解放する必要があるなどという理由をつけて、ウクライナに侵攻したということになっている。しかし、最近の動きを見ていると、それはあくまでも表向きの理由で、別の理由があるのではないかと思わざるをえなくなってきた。それは端的に、「領土拡張」ではないかということだ。
ロシアは、大国のなかでも、領土拡張政策が歴史的にも極めて強い国家だ。世界一の領土をもっているのに、これ以上ほしいのかと疑問も出てくるが、ロシアの領土のかなりの部分は開発されないままの土地だ。開発することも難しいのだろう。そして、よくいわれるのが、不凍港を必要とするということだった。それは確かにそうだろうし、現在でもその野望はもっている。ただし、それだけではなく、そもそも領土を拡大したいという国家的要請は、主に農業生産物を求めているからだ。第二次産業や第三次産業、まして、現在の最先端技術のためには、別に大きな領土は必要ない。