ドムドムバーガー復活

 8月5日毎日新聞に「専業主婦から社長に “絶滅危惧種”ドムドムバーガー復活の戦略」という、非常に面白い記事がでていた。実は、私が大学に就職したとき、駅前にドムドムバーガーがあった。たまに利用していたが、ドムドムバーガーなんて、他ではあまりみなかったし、マクドナルドは大きな駅前か高速のインターチェンジにしか出店しないという噂だったから、「我々の地域には、ドムドムバーガーしかきてくれないんだ」などと、自虐的な会話をしていたものだ。そのうちにドムドムバーガーすら消えてしまい、それからかなり経って駅の反対側にマクドナルドが出店してきた。駅前もかなり再開発が行われて、賑やかになったこともある。しかし、どこにいってもドムドムバーガーはみかけないので、既にまったくつぶれてしまったのかと思っていた。
 ところが、復活しつつあるというので、興味津々記事を読んだが、これが非常に面白い。ぜひ読んでほしいと思い紹介の文章を書くことにした。

 
 復活をリードしているのは、藤崎さんという女性だ。しかも、短大卒業後すぐに結婚して専業主婦。それが夫の病気で、自ら家計を支える必要となったが、それまで職業経験すらなかった。アパレルショップ店長、そしてみずから居酒屋経営。その居酒屋の常連から、ドムドムのメニュー開発のアイデアをだしてほしいと頼まれたのが、きっかけで、「手作り厚焼き卵バーガー」を完成、社員でもないのに、店舗を視察してリポートを提出していたそうだ。その熱意で正社員に採用され、店舗指導の担当となって店を廻る内に、気になる点があり、会議などで改善を呼びかけてもうまくいかない。それで役員に直訴。「意見をいえる立場にしてくれ」と頼んだそうだ。「なんの実績もないのに役員にはできない」と断られるが、せっせと改善案を提案していたところ、2カ月後に呼ばれて、いきなり社長に就任することを要請されたという。ここが、最大のびっくりだ。正社員になったばかりの人が、役員にしろと直訴するのも、驚きだが、いかに改善案を熱心にだしていたとはいえ、いきなり社長に選ぶ役員会というのも、驚きだ。役員会も本当になんとかしなければいけないという危機感があり、人材を求めていたのだろう。
 そうして社長になった藤崎さんは、じつにたくさんのアイデアをだし、そして実行していった。当時ドムドムバーガーは、スーパーのなかにある小さな店がほとんどだったが、外にもだしていくこと、異業種とのコラボレーションを重視したという。
 私のかつてのドムドムバーガーのイメージは、小さいハンバーガーで安いというものだったが、今は1490円のバーガーもあり、人気メニューだそうだ。
 
 最近滅多に外食しなくなったし、ステイホームが続いているので、どこにドムドムバーガーがあるかも知らないが、もし見つけたら、ぜひ入ってみたいと思わせてくれた記事だった。そして、低迷日本経済が、どうやったら脱出できるのかという点でも、非常に示唆に富む文章だ。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

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