一週間ほどブランクが生じてしまったが、実は旅行にいっていて、昨日帰宅したためだった。これまでは、旅行中にもブログを書いていたのだが、今回は、どういうわけか、もっていったノートパソコンのキーボードがおかしくなっていて、いくつかのキーが文字を打たないという、どうにもならない状況になってしまった。普段は、このノートパソコンは、文書のスキャンだけに活用していて、すべてがマウスで処理できるので、キーボードを使うことがなかった。こうしたトラブルが生じていることに気がつかず、旅行中にブログを書こうと思って、キーボードをたたいて初めて知ったのだった。それで書くことをあきらめざるをえなかった。
この文章は当然、ノートパソコンではなく、デスクトップで書いている。
私は、文字は完全に親指シフトのキーボードで打っており、デスクトップは、親指シフトの専用キーボードだし、ノートのほうも、キーボードが親指シフトになっている特殊なパソコンだ。ところが、これらは、現在は商品として発売されていない。専用キーボードは、中古などがあるが、私は、複数もっているので、健康でパソコンを使っている間は使用可能だとおもうが、ノートのほうは修理ができないと困ってしまう。富士通に対して、親指シフトのノートパソコンを制作するように要請して、その製品を販売する店をもっていた人が、数年前に店をたたんでしまったので、今は、まったく新品のものは存在しない。中古もおそらく出回ってはいないだろう。
ここまで読んでくれた人は、なんでこんなことを書くのかとおもうだろうが、親指シフトのような優れた日本語入力方式の製品が、まったく作られなくなったことは、本当に残念なことだとおもうのである。この方式が、富士通によって考案、制作されて、しばらくの間は、この優位性が多くの人に認められていた。当初は、まだパソコンよりは、専用のワープロの機械がよく使われていたのだが、日本語入力コンテストでは、上位はほとんど親指シフトの使用者が独占していたものだ。そのくらい、はっきりと、ローマ字入力よりも、スピードと正確さで圧倒的に優れていたのである。だから、この方式を他の日本のパソコンメーカーもとりいれるような動きがあり、団体も作られたのである。しかし、開発者の富士通以外は、やはり、他社の発明には冷淡で、富士通としては孤軍奮闘せざるをえず、次第にすたれていったことは否定できない。現在の若い人は、親指シフトなど知らないだろう。
学校でのパソコン教育が盛んになっているが、日本語入力で、親指シフトはまったく考慮されていない。現在のアメリカ方式のキーボードを使って、自国語の入力をしているのは、日本くらいかどうかはわからないが、アルファベット国であるドイツやフランスでも、キーボードはアメリカ式とは多少異なっているのである。実は、通常のJISキーボードでも、日本語のカナはつかえるようになっているが、それは親指シフトではなく、いわゆるJIS規格であるが、いまどきその入力方式でキーボードをつかっている人など、皆無に近いのではないだろうか。だから、通常のローマ字入力以外のカナ入力の方式を親指シフトにすることは、可能なはずなのである。もちろん、親指シフトの専用キーボードもアメリカ式のアルファベットがそのまま仕えるようになっているのだから、そうすることの不都合などない。
日本の企業が、日本人のために、日本語を入力するのにもっとも便利な方式を多年の研究によって作り出して、大きな成果をあげたにもかかわらず、社会がその使用を無視していることは、日本の文化にとって、非常に大きな損失であるようにおもうのである。
何が優れているかというと、日本語をうつのに、日本語で意識したままに打てることである。ローマ字入力だと、どうしても、日本語をローマ字に変換してから打つことになる。それだけ意識が邪魔されるのだが、親指シフトは、合理的に配置されたカナ入力だから、その中間作業が不要なだけ、自然に頭にうかんだ日本語をスムーズに打ち込むことができるのである。
いまからでも、親指シフトが普及することを、私は願っている。