今の時点(8月2日13時)の時点で、トレードの期限がきたわけではないが、はやばやと大谷のトレードはないと報道されたようだ。既にヤフコメでも大量の書き込みがなされている。意見は様々だ。常識的にみて、私はないとみていた。というのは、現時点での大谷の経済的利益が、エンゼルス球団にとって、あまりに大きいからだ。大谷の戦力と大谷の経済効果をあわせた分と、釣り合うトレード相手を見つけるのは、かなり難しいと思っていた。大谷がいなくなれば、日系企業のスポンサーが離れていくだろうし、大谷グッズもトレード先に移ってしまうに違いない。NHKがやっている野球中継が、大リーグ機構の放映権と同等に扱われるのかわからないが、外国のテレビということで、個別であるとすれば、これもなくなってしまう可能性がある。
また、大谷を放出するということは、複数の若手をとって、将来のチームづくりをするということだったが、監督を解雇し、現在は代行監督で試合をしているくらいだから、将来のチームづくりに重点を移せるとも思えない。もし大谷を放出してまで、将来のための若手をとるというのであれば、具体的なチーム構想を、監督・コーチを含めたスタッフで練って誰をとるかを決めていかなければならない。そういう体制を作っていないのだから、もともと、放出の意思は、チーム経営者にはなかったと思われる。
更に、大谷という特殊な選手の交換であるという点に、難しさがあることは、誰にもわかることだ。誰もやっていない二刀流であること。そして、それを実現するためには、通常のチーム運営を変更する必要がある。だからこそ、大谷の意思を尊重してくれる球団は、当初少なく、エンゼルスが大谷の要望を受け入れてくれた希少球団だったということだ。
日本では中6日が普通だが、大リーグでは4日。中4日で大谷が二刀流を実現できれば問題ないのだろうが、そんなことは無理だろうし、大谷自身が不可能と思っているに違いない。
しかし、この問題は、そもそも中4日が合理的なのかという検討の必要性を示している。日本に比較して、大リーグの投手は故障が多い。100球制限という投手生命を大事にしているようにみえながら、中4日の登板というのは、逆に投手を酷使しているように思われる。ダルビッシュが以前、そうした問題提起をしていたように思う。だから、大リーグ全体として、投手を大事に使う意味で、中6日に移行していけば、大谷を受け入れやすくなるし、また、他の二刀流選手も増えてくるのではないか。
また、DHの専有という問題については、大谷がライトを守ればいいのではないかと思う。むしろ打つだけではなく、守備をする大谷も魅力があることは間違いない。イチロー以上の強肩を発揮して、ホーム上のクロスプレイをエキサイティングにしてくれそうだ。DHしかできないが、DHとしては強力だ、という選手がいるところは、避けざるをえないかも知れないが、大谷は守備もうまいらしいから、投手の登板間隔が解決すれば、やがてより強力なチームに移籍するのではないか。
報道には失望の声が多かったそうだ。ポストシーズンにまったく縁がないエンゼルスではなく、強いチームでワールドシリーズで闘ってほしいという期待だ。それはそうだし、大谷自身がそれを望んでいることも間違いない。だから、大谷自身がかかわれる形で、よいトレードが実現したもらいたいものだ。