ホリエモンと小林鷹之の対談

 皇位継承に関する、ホリエモンと小林鷹之の対談をyoutubeで見た。本当に対談として行われたのか、あるいは作為的な編集なのかはわからないが、とにかく、二人が自分の声で発言していたのだから、双方の主張が提示されていると考えてよいのだろう。この対話は、非常に興味深いものだった。そして、議論としては、ホリエモンの圧勝であったと、誰がみても思うようなものだった。
 ホリエモンは、男系男子派の主張は、古くなったOSに基づいており、充分に機能しないのは当然であること、優良商品があるのに、不良商品を後生大事に売っていたら、その商店は当然破産することなど、現在の企業経営的な視点から、男系男子派の主張が没落の議論であることを、実にわかりやすく説明している。それに対して、小林氏は、日本の伝統であるとか、Y染色体とか、決まりきったことしかいわず、ホリエモンの追及にまともに答えられていない。
 こういう議論をみて、いつも本当に不思議に思うのだが、小林氏は、開成・東大・大蔵省・ハーバードという、エリート中のエリートコースを歩んで、今や自民党の有力議員となっている。少なくとも知的レベルは、日本人としてトップレベルの人である。もちろん、ホリエモンのいうことを充分に理解しているだろうし、頭のなかでは、同意しているに違いない。では、何故、小林氏のような知的レベルの高い人が、男系男子派のつつけばすぐにボロがでる議論に固執しているのだろうか。
 以下は、私のまったく推計による議論であって、証拠があるわけではない。もちろん、証拠など出てくるはずがないのだから、こういう推計的議論は、必要であろう。そして、推計のひとつのものであって、これがすべてではないことも断っておきたい。

 小林鷹之氏といえば、まず旧統一教会との結びつきを考えざるをえない。それもかなり深い関係にあったようだ。旧統一教会とは、理念的には、日本を韓国の属国にすることをめざしているし、具体的な活動として、日本人から多額の寄付を集めて、韓国にもってくるということをずっと行ってきた団体である。こういう団体と、自民党保守派が深い関係をもっているというのも、いかにも不思議な気がするが、そのことは、深く追及しないことにする。
 もうひとつの旧統一教会の主張として、最近文書が明らかにされたということだが、日本の皇室の断絶を目論んでいるというのがあるそうだ。この要素をつなぎあわせると、小林氏のような男系男子派は、旧統一教会と協力して、あるいはその意を汲んで、日本の皇室を断絶させるために活動しているという図式が出てくる。いや、男系男子論は、真に日本の伝統である皇室を維持するために不可欠の条件なのだ、というかも知れない。しかし、多くの人がいっているように、男系男子継承が可能だったのは、側室制度があったからだというのは、動かしがたいことである。
 日本と関係の深いオランダ王室は、現国王が誕生するまで、100年間男子の王子は生れなかったのである。その100年間は、当然女王が継承してきた。そして、現国王の子どもは、またすべて女子のはずである。もし、オランダが男系男子という原則を維持していたら、とうに王室は滅んでいたのである。それは日本にも当然起りうる事態であることは、現状をみれば明確だろう。そもそも、秋篠宮自身が、皇族の血ではないという議論があり、かなり信憑性が高いと思われるが、それが事実だとすると、すでに今上天皇で、現皇室は終焉である。男系男子に固執する勢力は、秋篠宮に継承されれば、血統の問題が起きて、そこで終焉するはずだから、男系男子派は、それを理解した上で狙っている、などという想像も不可能ではない。

 さて、女性天皇は存在したが、女系天皇はいなかった、などというが、そんなことは、科学的に証明できないことである。たくさんの側室がいれば、生れた子どもが別の父親である可能性だった充分に考えられる。豊臣秀頼は、秀吉の子どもではない、という推測は、当時から、また今でもあるが、そのことをみても、男系で続いてきたなどというのは、一種の神話なのである。それに、平安時代のことを考えてみよう。摂関政治において、天皇になるためには、もちろん父親が天皇の血筋であることは条件だが、もうひとつ、摂関家の有力者の娘が母親であることも必要だった。別に、この時代にかぎらず、母親の地位が貴族・有力武士の継承に重要だったことは、かなりの範囲でみられるのである。こういう事態は、「男系」とだけいって済ませられることではない。いずれにせよ、日本の皇室が長く続いてきたことは、非常に特別なことだが、時代時代にあわせて、そのあり方を変化させてきたことが重要だったのであって、現代のように民主主義社会になれば、それに応じた変化が必要なのである。
 小林氏だって、そんなことは充分に理解しているだろう。彼の内面はわからないが、ホリエモンに追及されているときには、苦しそうな表情だった。
 私は天皇制支持者ではないので、皇統が途絶えてもかまわないが、社会が安定するのならばあったほうがよいと思う。しかし、旧統一教会のような勢力によって干渉され、途絶えることには、やはり賛同できるはずがない。

投稿者: wakei

2020年3月まで文教大学人間科学部の教授でした。 以降は自由な教育研究者です。専門は教育学、とくにヨーロッパの学校制度の研究を行っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です