安倍元首相を殺害した犯人とされる山上の起訴が決まったと報道されている。その前に、山上の鑑定留置の延期措置がとられ、いつまでの延期なのかは、検察と弁護側の駆け引きで二転三転したが、まだ、鑑定留置が終了していない段階での「起訴」という決定は、いかにもおかしな感じを与える。この事件の司法側の対応は、疑問だらけなのだが、またひとつおかしな行為が加わったという感じだ。
そもそも、鑑定留置は、容疑者に責任能力があるかどうかを鑑定するために、取り調べも中止して、鑑定を行うものである。だから、鑑定留置の途中では、責任能力があるかどうかは、判断できないはずである。まして、この山上の鑑定留置は、通常弁護団からの要請で行われるのに対して、検察自らの判断である。弁護側から、責任能力の有無の鑑定が要請されていないにもかかわらず、検察が率先して、しかも例外的に長期の鑑定を決定して実施していたものである。11月に期限が切れたときに、検察は更に延期を要請していた。つまり、結果がまだ十分に出ていないことを意味しているはずである。にもかかわらず、責任能力があると判断して、起訴を決定したというのだ。もちろん実際に起訴するのは、鑑定留置が開けたあとであるのだが。