免許更新制度廃止の次に大事なこと 教員の免許更新制度がなくなって、その後の研修の在り方だけではなく、大学がその分の収入がなくなることが論議されているという。 https://digital.asahi.com/articles/ASQ9H4S9GQ9FUTIL016.html?pn=3&unlock=1#continuehere 忘れている人が多いと思うが、免許更新制度は、安倍一次内閣の置き土産のようなものだ。安倍氏は、いろいろな面で、公約を実現しなかったが、教育に関しては、かなりの「実績」をあげた。私からすれば、害のある「実績」ばかりだが。最大のものが「教育基本法」の改定であり、「道徳」の教科化だった。その他、全国学力テストの復活などもある。 “免許更新制度廃止の次に大事なこと” の続きを読む
追い詰められたプーチン ウクライナ情勢が大きく動いている。 ウクライナが東部と南部で大攻勢をかけ、特に東部でロシア軍をかなりの部分で退却に追い込んだ。その際ロシア軍は、軍の装備の多くを捨てたままに逃亡したとも言われている。南部では、東部ほどではないが、ヘルソン市奪還にむけて、少しずつ前進している。ロシア軍が不利になりつつある時期から、ロシアは長距離ミサイルで、原発付近や市街地、インフラを攻撃することが多くなっている。原発の近くにミサイルが着弾したこともあった。ロシア国内からも可能なこうした攻撃は、極めて危険なものであり、ウクライナがロシア軍を追い込んだからといって、決して楽観できるものではない。 “追い詰められたプーチン” の続きを読む
対照的な岩田明子氏と中村敦夫氏の状況把握力 世の中で起こっていることを、つまり同じ事態を見ていても、極端にいえば、そこに重大な問題を感じる人もいるし、また、見ていないと同じような感覚しかもたない人もいる。それは、その人の価値観によるものなのだろうか。現在、世論が分かれている国葬にしても、国葬に何を見るか、それをどう解釈するか、人によってまったく異なった結論が出てくる。 そうしたことを考えながら、最近読んだ文章で、対照的な意味で興味深かったのは、岩田明子「安倍晋三秘録1 暗殺前夜の電話」(『文藝春秋』2022.10)と中村敦夫氏へのインタビュー記事「旧統一教会追い50年、中村敦夫さん「安倍氏への忖度で右往左往」」(朝日デジタル2022.9.18)だ。岩田氏は、有名な安倍晋三番の記者で、強固な安倍支持者だった。しかし、安倍氏が暗殺され、その後統一教会との癒着が暴かれるようになり、NHKも辞めて、しばらく表舞台に出てこなかったが、『文藝春秋』に、安倍追悼のような文章を寄せた。暗殺の前日の夜に、安倍氏と電話で話したという内容が中心だ。 “対照的な岩田明子氏と中村敦夫氏の状況把握力” の続きを読む
レーシングカートで死亡事故 北海道の自動車販売の催しの一環として行われたレーシングカートで、子どもによる死亡事故が起きた。子どもが遊園地などで乗ることができるゴーカートは、30キロ以下の時速で、比較的安全だが、ここで使用されていたのは、レーシングカートと呼ばれるもので、時速40キロまで出るそうだ。時速40キロは、通常の自動車が市街地を走る速度であって、決して遅くはないし、不注意の運転をすれば、免許をもった大人でも事故が起きやすい速度だ。それを、こうしたカートにせよ、初めて乗る子どもにとって、決して危険がないわけではない。 事故が起きた場所は、陸上のトラック(もちろんより狭い)のような場所を走るもので、直線を走ったあと、右に曲がって次の角で降りるような設計になっている。しかし、運転していた子どもは、直線コースで、曲がるための減速をしなかったために、そのまま突っ込み、そこで見学していた人たちに怪我をさせ、2歳の子どもが死亡したというのだ。(記事は多数あるがそのひとつ) “レーシングカートで死亡事故” の続きを読む
統一教会との個人的関係を追求するより大事なこと 現在、統一教会問題は、自民党を中心とする議員の関わりを明らかにするというところに、焦点のひとつがあるが、これを巡って自民党内部で深刻な対立があるという。「「旧統一教会問題」岸田総理と自民党幹部の間で生じる深刻亀裂」https://news.yahoo.co.jp/articles/a179399c116b0c962798866f0b788d322f92b87d 公表をしぼるべきとする茂木幹事長と、接点のあった議員は全員公表すべきという岸田首相が、激しく対立し、結局世耕参院幹事長の「議員本人が出席した以上を公表」という提案を、落しどころにしたところ、179名の公表となったというわけらしい。注目すべきなのは、その話合いのなかに、羽生田政調会長がいたことだ。最もずぶずぶだった一人が参加している会議で、まともな話し合いができるのか、ということだ。結局岸田首相の指導力の不十分さが露呈した。 世論は、もっときちんと調査して、徹底的に膿をだすべきだというのが、大きな方向のようだ。世論調査でも、この記事のコメントでもそれを感じる。 しかし、私は、どうもそれは違うのではないかと感じている。一番大事なことは、反社会的団体であると、自民党も認識しており、統一教会支持者以外の多くが同意している統一教会の反社会性を、反社会的組織ではないようにすることだろう。これまで何度も書いてきたが、その方法はいくつかある。 “統一教会との個人的関係を追求するより大事なこと” の続きを読む
安倍元首相狙撃の考察12 テロ小説家の推理のあまさ 大手メディアが、「山上は真犯人か」という疑いを一切無視していることは、現在ではも変化がない。だから、毎日新聞の「特集 安倍晋三元首相銃撃」というかなり多くの記事がある連載も、最近はほとんどが国葬話題となっている。そして、久しぶりに「銃撃想定せずマニュアル不徹底」という記事がでた。 https://mainichi.jp/articles/20220913/dde/012/010/017000c 国際テロを扱った警察小説で知られる麻生幾氏へのインタビューを元に構成された記事である。(筆者は大沢瑞季) 私は、そうした小説を読まないので、知らない人だが、記事によれは、その方面では有名な人だそうだ。そうであれば、当然、山上は真犯人なのか、ネットではたくさんの疑問が呈されているのだから、そのことは知っているだろう。にもかかわらず、その点の考察は一切ない。 “安倍元首相狙撃の考察12 テロ小説家の推理のあまさ” の続きを読む
安倍氏の葬儀は終わっているのに国葬? 安倍元首相の国葬論議は、いまでも激しさをましており、反対派の一部は、各国の在日大使館や招待されている人にむけて、欠席要請の手紙を出したりしているようだ。それに対する反発も大きい。 しかし、よくよく考えても、なぜ9月27日に行われる儀式が「国葬儀」なのかが、常識的にも理解できない。安倍元首相の葬儀は、7月12日に東京増上寺で行われている。ちゃんと報道もされているのだ。https://www.bbc.com/japanese/62131438 葬儀を2回行うのか。それとも、増上寺で行われたのは葬儀ではないのか。通常、正規の国葬として行われているものは、文字通り「葬儀」であって、2度目の儀式ではない。エリザベス女王の国葬は、そこで初めて行われる「葬儀」である。これは当たり前のことだろう。だから、政府がやろうとしているのは、一般的には、「忍ぶ会」として行われている儀式といえるだろう。それを「国葬儀」と呼ぶのは、いかにもごまかしではないか。 “安倍氏の葬儀は終わっているのに国葬?” の続きを読む
カルロス・クライバー 音楽家としては最高だが、指揮者としては? 車田和寿氏のyoutube「音楽に寄せて」で「人気投票第一位 華麗なる天才指揮者 カルロス・クライバー」というのがあった。クライバーの生涯や指揮の特質など、わかりやすく解説されている。https://www.youtube.com/watch?v=tFm4K7gXQhw しかし、私はクライバーは、「音楽家」より広い意味での「指揮者」として、それほど高く評価できないのだ。クライバーが正規に録音、録画して市販されたものは、すべて所有しており、すべて複数回聴いているから、彼の指揮する音楽が、非常に魅力的であることは、十分に感じている。しかし、指揮者は、演奏することだけが仕事ではない。そこが他の器楽奏者とは違うところだ。 たとえば、ピアニストがある日の演奏会をキャンセルしたり、あるいは、レコーディングした結果が気にいらなかったので、OKを出さずに販売されなかった、という場合、その損害はピアニストが負えばよい。もちろん、スタッフもいるわけだが、大きな損失はピアニスト本人だろう。だが、指揮者はそうはいかない。演奏会がキャンセルされても、代わりの指揮者が代行すれば問題はないが、録音が終了したものを没にされたら、損害を負うのは、指揮者だけではなく、オーケストラの団員にも及ぶ。オペラの録音などは、更にソロ歌手、合唱団もいる。 “カルロス・クライバー 音楽家としては最高だが、指揮者としては?” の続きを読む
デジタル教科書に必要なこと 2024年度から、文科省は小中の英語から、デジタル教科書を段階的に本格導入する方針を固めたそうだ。 「狙いは教育DX? デジタル教科書「本格導入」の先にあるもの」 https://news.yahoo.co.jp/articles/63a90cd7b025000b2ada827ce5b138a9cc130499 記事によると、デジタル教科書の導入によって、 ・教育課程の在り方の見直し ・学校の役割、教職員配置や勤務の在り方の見直し ・子どもの状況に応じた多様な学びの場の確保 ・教育支出の在り方の検討 が課題となるのだそうだ。これらが、本当に子どもの学習を促進するように見直されるのなら、大いにけっこうだが、そうなるのかどうかは、かなり疑問である。 デジタル教科書の提言については、昨年6月にだされた「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」の第一次報告によって示されている。しかし、この報告書を読む限りは、デジタル教科書とは、とうていいえないものをデジタル教科書と規定して、そこから活用方について検討がなされている。では、その規定とは何かというと 「デジタル教科書は、平成30年の学校教育法等の一部改正等により制度化され、紙の教科書の内容の全部をそのまま記録した電磁的記録である」https://www.mext.go.jp/content/20210607-mxt_kyokasyo01-000015693_1.pdf というのである。これでは、デジタル化されたテキストとしての意味がない。内容を紙で見るのではなく、画面で見るというに過ぎない。 “デジタル教科書に必要なこと” の続きを読む
安倍元首相の抑圧力 文春オンラインに「「絶対に捕まらないようにします」元電通“五輪招致のキーマン”への安倍晋三からの直電」という記事が載っていて、実に興味深い。 https://news.yahoo.co.jp/articles/4a48a342e25b89d2dc5e2c07a511cc8f5edf1723 安倍晋三氏が総理に返り咲いて、オリンピック招致のキーマンになってくれ、と高橋治之氏に、直接安倍氏が頼み、その際、「五輪招致に関係した人は、みんな捕まっているが、私は捕まりたくない」と断ったが、安倍氏が、絶対に捕まらないようにすると保障をしたということが、まず書かれている。文章の少しあと、捕まるのが嫌だから、キーマンになるのは嫌だなどということは、ブラフだというようなことが書かれているが、それはさておき、この事実は、高橋氏が知人に話したことなのだそうだ。 高橋氏は、オリンピック招致を担当することが、危険なことを含んでいることを、十分に承知していたということがわかる。安倍氏も認識していたということだろう。そして、高橋氏がそれを引き受けたのは、招致活動が、金の成る木だということで、望むところだと考えていたことがわかり、安倍氏に関しては、不正・違法なことをやっても、自分は押さえ込むことができるという「自信」をもっていたことが、ここから分かる。 “安倍元首相の抑圧力” の続きを読む