除名理由の後半を考察する。残っているのは以下の通り。
ウ 安保条約の廃棄、自衛隊の段階的解消など、綱領に基づく政策を「ご都合主義」と攻撃している。
エ 我が党を個人独裁的運営とする鈴木元氏の本の出版を急ぐように働きかけた。これは党攻撃のための分派活動である。
オ 党内で自身の主張を述べたことはないことを認めている。
ウ 安保条約と自衛隊の位置づけは、誰もが感じているように、日本共産党にとっての最も困難な政策領域である。日本国憲法が審議されているときに、共産党は反対の立場であったことは、よく知られていると思う。その理由は、9条にあった。軍隊をもたない国家などありえないという、ごく常識的な理由からだった。天皇制についても反対理由の大きな部分を占めていたが、その両方に関して、その後大きな転換があった。これまた周知のように、共産党は最も強固な護憲政党であって、9条を絶対的に正しいとし、自衛隊の意見説を原則的には変えていない。その帰結として日米安保条約は廃止としている。