アメリカのイラン戦争は、次第に長期戦となる様相を呈してきたという人が多い。イラク戦争のように、泥沼になる危険性もあるとする。
そういう点でいうと、私はソ連のアフガン侵攻と似ている気がするのである。
どういう点が似ているかというと、当時ソ連の指導者たちは、アフガンに軍隊を派遣することには、かなり慎重であり、むしろ否定的だったとされている。しかし、アフガニスタンからの強力な援助要請があり、ソ連と協調している大統領のタラキーに対して、副大統領だったアミンが、アメリカとも協調路線をとり、タラキーを圧倒するような勢いだったので、いわばタラキーがソ連に介入を要請したわけである。同盟国を見捨てるわけにもいかないというので、介入したわけだが、当初アミンの排除などにはソ連軍は成功したが、各地からのイスラム過激派と、それを支援し、ソ連打倒を目論むアメリカの反ソ連の勢力への援助によって、ソ連軍は次第に追いつめられ、結局敗北して撤退した。このアフガンの失敗が、ソ連崩壊のひとつの要因になったことは、広く認められていることである。
今回はアメリカによるイラン攻撃は、私の目からみると、イスラエルのネタニエフに引きずられた感が拭えない。少なくともトランプ政権のなかには慎重論がかなり強かったといわれている。トランプ自身の内面は知るよしもないが、イランを滅亡させたいようなネタニエフの熱に煽られた面がないとはいえないだろう。ネタニエフにとっては、イラン戦争は、自身の地位を安定させるためには、不可欠のものだろう。しかし、そこまでアメリカがイランに武力による打撃をあたえなければならない理由は薄い。やはり、ネタニエフに引きずられたと面が強いと思うのである。
ふたつめの共通点は、闘っている相手がイスラム勢力だという点だ。もっとも、ソ連が相手にしていたのは、当初は社会主義革命をおこした勢力の内部対立の一方であり、一方を援助するという建前だった。しかし、元来イスラム国家だったアフガニスタンは、革命政府によって宗教弾圧が実施されたために、その政府を助けにきたソ連、そして、同様に宗教を抑圧していた国家だから、各地からイスラム原理主義者たちが、ソビエト軍と闘うために集まってきた。その闘いのなかから、タリバン勢力が力をつけ、結局タリバンが政権を奪取してしまうことになる。そして、そこで育ったもうひとつの勢力であるアルカイダが、911でアメリカを攻撃することになる。アメリカは、その後のイラク戦争でも、イスラム国という鬼子を出現させるのである。
アメリカのイラン戦争は、最初からイランという典型的なイスラム国家を相手にしており、しかも、宗教的にも対立するイスラエルを援助する形である。そのことの故に、テロの対象となりなすいといえる。その典型が911テロである。
イランの後継最高指導者が、トランプの処刑を全世界のイスラム原理主義者たちに命じる可能性も指摘されている。トランプは、エプスタイン問題に加えて、テロの対象ともなる危険性がある。それを期待する気持はまったくないので、充分に注意してほしいものだ。
アフガン戦争に敗北した形のソ連は、結局体制崩壊を招いたわけだが、アメリカはどうだろうか。もちろん、敗北するとはいえないが、勝利することは難しいという人もいる。実は、世界最大の軍事大国であるアメリカは、これまで敗北した経験を複数もつ。ベトナム戦争とアフガン戦争である。そして、ベトナム戦争による敗北は、アメリカのドル体制を変質させ、変動相場制に移行させたともいえる。これはアメリカが、世界を統制した重要な要素が、部分的にも壊れたといえるのである。
911以降アメリカはアフガンへの侵攻を進め、泥沼状態になるが、結局バイデンによる無様な撤退となった。そして、ロシアのウクライナ侵略を誘発したということが重なり、アメリカの民主主義が揺らぐ事態を招来したと、私は考えている。第二次トランプ政権は、明らかに独裁政権である。
いかに大国といえども、侵略は自国の体制そのものを危機に貶めるのである。