新型コロナウィルス問題があまりに大きくなって、もうすぐ始まる、羽田着陸の新ルート問題は、あまり取り上げられていない。「全国新聞ネット」(2020.3.2)に「羽田都心新ルート、これだけある危険な理由 落下物や騒音だけじゃない深刻リスク パイロットには恐怖の空港に」という元パイロットで航空評論家の杉江弘氏の文章が載っている。これは、映像によるインタビューとして掲載されていた内容と基本的に同じで、その後文章化されたものだ。(ただし後述するように、重大なことが削除された内容になっている。)昨年末か、新年早々かは忘れてしまったが、この新ルートの実験的飛行が開始されるという記事があった。私の親しい人物が、ちょうどそのルートの下に住んでいるので注目した。実験後の記事も少しだけ見たが、かなりの騒音だったという。
それより問題なのは、杉江氏の指摘する安全性だろう。 “羽田新ルートの問題 着陸の安全性は?” の続きを読む
カテゴリー: 時事問題
演劇公演中止に対する野田秀樹氏の声明
新型コロナウィルスの影響で、学校が全国的に休校になっている。(もちろん、すべてではない。)スポーツも無観客試合の形式で行われるものが多くなっている。そうしたなかで、野田秀樹氏が声明をだした。意見書を全文引用しておこう。
意見書 公演中止で本当に良いのか
コロナウィルス感染症対策による公演自粛の要請を受け、一演劇人として劇場公演の継続を望む意見表明をいたします。感染症の専門家と協議して考えられる対策を十全に施し、観客の理解を得ることを前提とした上で、予定される公演は実施されるべきと考えます。演劇は観客がいて初めて成り立つ芸術です。スポーツイベントのように無観客で成り立つわけではありません。ひとたび劇場を閉鎖した場合、再開が困難になるおそれがあり、それは「演劇の死」を意味しかねません。もちろん、感染症が撲滅されるべきであることには何の異議申し立てするつもりはありません。けれども劇場閉鎖の悪しき前例をつくってはなりません。現在、この困難な状況でも懸命に上演を目指している演劇人に対して、「身勝手な芸術家たち」という風評が出回ることを危惧します。公演収入で生計をたてる多くの舞台関係者にも思いをいたしてください。劇場公演の中止は、考えうる限りの手を尽くした上での、最後の最後の苦渋の決断であるべきです。「いかなる困難な時期であっても、劇場は継続されねばなりません。」使い古された言葉ではありますが、ゆえに、劇場の真髄(しんずい)をついた言葉かと思います。 野田秀樹(毎日新聞2020.3.1)
私も同感である。 “演劇公演中止に対する野田秀樹氏の声明” の続きを読む
今度は全国休校の軌道修正か
昨日の日本全国の小中高と特別支援学校の春休みまでの休校の要請は、案の定日本中で大きな驚きをもって受け止められた。おそらく、現場は相当な混乱に陥った一日を過ごしただろう。月曜日からということは、昨日発表されて、具体的なことを決めて、保護者や子どもたちに伝えるのは、今日一日しかないのだ。あまりに急だということで、火曜日からの休校を決めた地域もあると報道されていた。野党からは撤回要求などもだされたようだが、岸田氏は、「やることはすべてやるのだ」と応じたそうだが、「やるべきことを、かなりやらずにここまできた」のに、よく言う、という感じだ。 “今度は全国休校の軌道修正か” の続きを読む
大津いじめ事件二審判決 賠償額が1割に。信じがたい判決だ
「いじめ防止対策推進法」なる法律まで生むきっかけとなった大津のいじめ自殺事件で、大阪高裁の判決が出されたと報道されている。今は、速報だけだが、読売新聞では、自殺の原因がいじめであったことが認められたが、一審での賠償額認定が3750万だったのが、400万だけになったとの報道だけだが、朝日新聞には、次のような理由が説明されている。
「佐村浩之裁判長は、いじめと自殺の因果関係を認めた一方、「自殺は自らの意思によるものであり、両親側も家庭環境を整え、いじめを受けている子を精神的に支えることができなかった」などとして過失相殺し、元同級生2人に計約3750万円の支払いを命じた一審・大津地裁判決を変更して賠償額を減額。元同級生側に約400万円を支払うよう命じた。」
これは、驚くべき論理だ。つまり、自殺の責任は、
1 本人の意思
2 親が家庭環境を整える責任
3 いじめ
ということになるようだ。そして、いじめをして、自殺に追い込んだ加害者の責任が1割で、本人と親が9割という計算がなされている。 “大津いじめ事件二審判決 賠償額が1割に。信じがたい判決だ” の続きを読む
主体・責任を考える 小坂井敏晶「責任という虚構」をを読む
相模原障害者施設殺傷事件(やまゆり園事件)等、責任能力をめぐる難しい事件が少なくない。何度か、このブログでも書いた内容だが、再度論じたい。きっかけは、小坂井敏晶『増補 責任という虚構』(筑摩書房)を読んだことだ。読書ノートにしなかったのは、ざっと通読しただけで、まだ精密に読んでいないからだ。精密に読み直すかどうかはわからない。重要な、あるいは過去、多くの人によって詳細に議論されてきた主題を扱っているのだが、しかし、肝心の結論が書かれいない。「結論に代えて」という章があることでもわかる。それが読後感として一番の不満だ。
私が、この本を読み始めたのは、犯罪の責任に関して、多く触れているからである。犯罪を罰するのは、自由な判断が可能な人間が、意図的に犯した行為、社会にとって禁止され、犯罪とされる行為を行ったときである。自由な判断が可能である場合に、責任が生じるという論理に支えられている。だから、判断ができない子どもや、精神疾患の人間は、罪に問われないという構造になっている。 “主体・責任を考える 小坂井敏晶「責任という虚構」をを読む” の続きを読む
違法な措置でなった検事総長が、違法行為を裁けるのか
毎日新聞(2020.2.23)によると、岸田文雄自民党政調会長が、NHKの番組に出演して、黒川東京高検検事長の定年延長問題に関して、政府の説明が変化しているところがあり、検察への信頼を取り戻すために、しっかりと説明をする必要があるという趣旨のことを述べたという。説明の変化は、国会で議論されている中で、森法務大臣の説明が混乱していることをさしているのだろう。しかし、はっきりいって、「しっかりした説明」など不可能だろう。何故なら、いくら言い繕っても、違法行為に間違いないのだから。森法務大臣は、弁護士である。弁護士であるならば、黒川氏の定年延長を決めた閣議決定が、違法行為であるこは、充分にわかっているはずである。最も、カルロス・ゴーンの逃亡に際しての記者会見で、とんでもない間違いをしてしまったことを考えれば、本当に分かっていないという可能性もないではないが、常識的には、分かっているが故の、説明の揺れだろう。あるいは、下手な答弁をすることで、閣議決定に抵抗しているのかも知れない。皮肉ではあるが。
そして、AERA.dotによると、2月19日に開かれた、全国の法務・検察幹部が集まる「検察長官合同」で、神村検事正が、かなり明確な批判を行ったという。 “違法な措置でなった検事総長が、違法行為を裁けるのか” の続きを読む
新型コロナウィルス、岩田健太郎氏の映像をめぐって
感染症の専門家である岩田健太郎氏が、ダイアモンド・プリンセス号に乗船して、あまりの惨状にショックを受けたという映像をアップした。要点は、ダイアモンド・プリンセス号では、レッドゾーンとグリーンゾーンが厳密に分かれておらず、過去、エボラ出血熱やSARS対策に外国で従事したときよりも、恐怖を感じたというものだ。それが世界中に広がった一方、日本では、大きなバッシングも起き、その映像を削除されたとする。しかし、多数の人がシェアしていたので、もちろんまだ見ることができる。他方、削除に至る重要な要因になったと思われる高山義治医師のfacebookの当該記事も削除されている。昨日コメントをずっと読んでいたのだが、まだ全部は読んでいないうちに削除されてしまったのが残念だ。
更に、厚労省副大臣の橋本岳氏がツイッターで、岩田氏を批判したことが、炎上している。高山氏のfacebookはかなりの書き込みがあり、ほとんどが岩田氏を批判し、高山氏を擁護するものだった。別のツイッターでは岩田氏を卑怯者と罵るものも多数あるようだ。 “新型コロナウィルス、岩田健太郎氏の映像をめぐって” の続きを読む
新型コロナウィルスの適切な対策か、オリンピック中止か
新型コロナウィルスが原因で、大がかりなイベントが次々に中止されている。東京マラソンの一般参加部分の中止がスポーツとしては、大きなものだろう。この中止に際して、主催者側の姿勢が極めて象徴的である。一般参加者は、参加できないが、既に支払った参加料を返金しないというのだ。テレビでインタビューに応じている一般参加者は、残念がっているが、あまり怒っていないにようにみえるのが、いかにも不自然だ。主催者の都合で参加をさせないのだから、参加料を返金するのは当然だろう。テレビでは怒っているインタビュアの映像は意図的にカットしたのだろうか。
感染症の拡大と国際化は、表裏一体である。日本で極めて国際交流の盛んだった奈良時代には、権力の中枢にいた藤原四兄弟が相次いで天然痘で死去している。当時の国際化は支配層に限定されていたから、感染症の拡大も比較的上層部に限定されていたが、今や、国際化は幅広い層に浸透しており、オリンピックなどのスポーツ大会は、もっとも短期的には大規模な人の移動が起きる。世界中で発生している新型コロナウィルスを念頭に、対策と、もしもの場合の開催の是非について、真剣に検討しなければならない状況だろう。
既にサッカーはシーズン入りしているし、間もなくプロ野球ではオープン選が始まる。 “新型コロナウィルスの適切な対策か、オリンピック中止か” の続きを読む
新型コロナウィルス対策への疑問 費用負担をめぐって
先の日曜日の朝、本の少しだけ日テレのニュース解説番組を見たら、ある人が「これだけ新型コロナウィルス問題の解決が急がれているとき、いつまで「桜」のことをやっているんでしょうね。」と野党の国会での活動に疑問を呈していた。野党のやり方が賢いとは思わないが、桜問題と、最近つとに国際的に非難されるに至っている新型コロナウィルス対策の不十分性とは、「同じ根」なのである。だから、このふたつは、同時に追求する必要がある。その番組では、次に東京検事長の定年延期が閣議で決定されたことについて、少しだけ話題が飛び、「閣議で決めたのだから、正しいのでしょうが」などと、間の抜けたコメントをある人がしていた。閣議で決めたのならば、なんでも正しいのか。近年、閣議でひどく違法なことを決める回数が増えている。そして、自民党や検察庁においても、このことにはふれたくないという雰囲気があるという。あれほど明確な違法行為は、滅多にないと思うのだが。
こういうことには、ほぼ一貫した安倍内閣の姿勢かあるといえる。それは端的にいえば、自分に近い人、支持してくれる人には、極めて厚く待遇するが、そうでない人に対しては、それがたとえ、大きな災害であったとしても、非常に冷遇するということである。 “新型コロナウィルス対策への疑問 費用負担をめぐって” の続きを読む
信号機の除去で事故 環状交差点の拡大を
2月8日の京都新聞に、「12月に信号撤去、軽トラ同士が衝突し重体 市道の交差点」という記事が出ていた。滋賀県、見通しのよい道路で、それまで設置していた点滅式の信号を撤去してすぐの事故だったという。滋賀県では、2017年から、順次信号を撤去しており、これまでに70基を撤去しているという。
こんな感じの道路になっているという。(京都新聞掲載)事故が起きた時間帯が記事には書かれていないのだが、注意深く運転すれば、確かに事故は起きにくい道路であるとは思う。左右前後の見通しはとてもよい。にもかかわらず出会い頭の事故が起きた。それは、優先順位が一瞬あいまいになったのだろう。もちろ、「止まれ」のない方が優先道路であり、「止まれ」がある方は、その場合絶対に止まって、相手側が通ってから交差点にはいらなければならない。しかし、「止まれ」の信号は、普段の運転では見過ごされがちなものだ。とくにそれまで信号があったとすれば、とくにそうだろう。 “信号機の除去で事故 環状交差点の拡大を” の続きを読む
