医療的ケア児(補)

 医療的ケア児の問題を先日書いたが、多少異なるが、同じ背景の問題をもったイギリスの訴訟の記事があったので、多少違う側面から、再度考えてみたい。
 記事は’Parents win appeal for extra hearing over son’s life support’と題する The Guardian 16月30日の記事である。 
 ある少年が医師の診断によれば、脳幹の脳死状態になったために、延命治療を打ち切ろうとしたが、両親は、診断のやり直しを求めて提訴、控訴審で両親の要求を認めて再診断を命じる判決がでたというものだ。そして、一審では、医師の診断に間違いはないという判断だったのだが、その判事の判断は不十分だったと判断した。
 もちろん、診断ややり直しをしたからといって、脳幹の脳死という判断は変わらないかも知れない。医療的ケア児の事例ではないが、背景にある医療技術の進歩によって起きる難しい事態という点で共通性がある。

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停電は回避したいものだ

 最近のニュースでは、電力需要が多くなって、許容量ぎりぎりになっていて、これ以上暑くなると、計画停電をせざるをえないということがしきりに、メディアで言われている。
 突然酷暑がやってきた感じで、身体がついていかないために、エアコンを急に使うようになり、一挙に電力使用量が上がっているのだろう。
 電力不足への対応策は、3通りしかない。
1 電力が不足している地域へ、足りている地域から融通して送電する。
2 発電量を増やす。
3 節電する。
 可能な限り、これらをすべて実行することが必要である。
 
1 東日本大震災後は、かなり計画停電があったが、当時は、電力会社間での電力の融通システムがなく、他の管内で余剰があっても、管内で不足すると停電せざるをえなかった。その後相互に融通するシステムができて、震災後よりは、供給が安定するようになったという。しかし、今日のテレビでは(羽鳥モーニングショー)、解説者が、そういうシステムが導入されるようになったが、まだまだ部分的であると言っていた。日本は、危機を脱すると、これでいいではないか、というように対策が緩んでしまう傾向があるが、電力会社としては、そういう雰囲気に妥協することは、怠慢と言わざるをえない。

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インターネットの匿名性は必要である

 ウォール・ストリート・ジャーナルに、「インターネット上の匿名性を擁護する」という記事が掲載された。筆者はマイケル・ルカである。
 アメリカでも、匿名性の是非についての議論がさかんなようで、ほぼ日本と同じような論調だろう。私は、1990年代のパソコン通信時代に、匿名性についての議論をかなりたくさんやった。そして、結論として、匿名性は大切であり、短所より長所のほうが大きいということだった。ただし、一定の条件が必要である。当時はパソコン通信で、完全に開放的なシステムではなかったが、インターネットになっても、基本は同じだと考えている。
 匿名性否定派の意見は、名誉毀損・誹謗中傷、詐欺等の犯罪的な発言や情報伝達が可能になる、匿名を禁止すれば、そうしたネガティブな書き込みができなくなる、というものだ。こうしたことが、多く見られることは事実であり、たとえ匿名肯定派であっても、こうした犯罪的書き込みに対する有効な対策をとる必要があると考えている。
 私は、匿名性肯定派なので、その立場からの見解として書く。
 検討すべきことは、ふたつある。
 第一に、実名制にすれば、名誉毀損・誹謗中傷や詐欺がなくなるかということ。
 第二に、匿名にしても、こうしたことを防ぐ有効な手段があるかということ。

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医療的ケア児の就学と支援の問題

 6月17日の47NEWSに「人工呼吸器を付けた「医療的ケア児」は地元の小学校に正式入学できるのか 「自主的集団登校」続ける相模原市の9歳男児」と題する記事が掲載された。
 9歳の医療ケア児が、入学を認められていない小学校に、毎日自主的に集団登校に加わって、学校の建物の前まで一緒にいくが、建物にはいることはできない。そして、在籍している特別支援学校には登校していないので、未就学になっているという。
 1年生の時は、市内の特別支援学校に就学しながら、週2日小学校に通う「居住地交流制度」が実施され、2年生になったら毎日通うえるようにするための試行だった。しかし、2年生になる前に、人員が補充できないという理由で受け入れが不可能になった。だが、自主的集団登校を続けている。
 
 こういう趣旨の記事だ。そして、記事は、「医療的ケア児支援法」が昨年9月に施行されたこともあって、医療的ケア児や家族を社会全体で支え、その意思を最大限尊重する、という法の趣旨を紹介して、市としても、この子にベストな方法を考えたい、一人も取り残さない教育を考える、としていることを伝えて、「友達と同じ教室で勉強する環境を整えられるか。力量が今、問われている。」と結んでいる。

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ウクライナのみに停戦(つまり降伏)を求める鈴木宗男氏

 鈴木宗男氏は過去の人かと思っていたら、ウクライナ侵攻が起こってから、俄然注目度を増している。いい意味ではない。ロシアを批判することなく、ウクライナを責めるという、彼のスタンスは、一貫しており、その意味では分かりやすい。短いから、スポニチの記事を引用しておく。
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「鈴木宗男氏、ウクライナへの武器供与と資金援助「長引かせるだけで、犠牲者が増えるだけ」」
 ロシア通で知られる日本維新の会の鈴木宗男参院議員が23日、自身の公式ブログを更新した。
 この日、太平洋戦争末期の沖縄戦から77年となる「慰霊の日」を迎え、「先の大戦で20万人以上の尊い命が奪われた。77年前、日本が半年早く和平に応じていれば、沖縄戦はもちろんだが、東京大空襲も広島・長崎に核爆弾が落とされることもなかった」とした。
 その上で、ロシアによるウクライナ侵攻について「この事は、ウクライナ紛争でも言えることではないか。一日も早く停戦する事により、一人でも尊い命が守られるのである」とし、「26日から始まるG7(主要7カ国会議)で岸田総理は『1にも2にも停戦だ』というメッセージを発信すべきだ。武器供与、資金援助は、長引かせるだけで、犠牲者が増えるだけである。私は一貫して『停戦に向け、岸田総理はリーダーシップを発揮すべき』と国会でも訴えてきた。待ったなしの責任を果たして戴きたいものである」とつづった。(2022.6.23)
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 他にも似たような主張をしている人はたくさんいるが、氏の主張が最も簡潔明瞭で分かりやすい。逆にいえば、論理のおかしさが、明瞭に浮きでてもいる。
 先の大戦で多くの日本人の犠牲者が出たが、もっと早く和平に応じていれば、犠牲者は少なくて済んだ、という認識が全体にある。だから、ウクライナも同様だ、と。

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原発再開の絶対条件

 エネルギー問題が深刻になって、ガソリンの高騰は耐えがたいほどになっている。そして、当然のごとく原発再稼働論が強くなっている。ウクライナ侵攻に対応する軍備強化論などと同一である。たしかに化石燃料を減らすことは、原油高だけの要請ではなく、環境問題からくる強い必要性がある。そして、原発については、私は多少、賛成派とも反対派とも異なる見解をもっている。それを書いておきたい。
 福島原発の爆発事故があったとき、私は丁度大学の春休みだったから、ほとんど一日中テレビをみて、特に原子力専門家の解説を聞いていた。そして、原子力専門家なるひとたちのいいかげんさについて、本当にびっくりした。あのとき、専門家は全員、メルトダウンなどは絶対に起こしていないし、起こさないような構造になっていると断言していたものだ。しかし、その高名な専門家の大学に、私の娘が院生として通っており、非常に興味深い話を聞いてきたのだ。その高名な専門家が、爆発を起こしても放射能などはたいして問題ではない、安全を脅かすようなものでは、全くないと、テレビで解説したあと、大学に戻ってみると、窓が開放されていたので、烈火のごとく怒って、これでは放射能が入ってくるじゃないか、早く閉めろ、と命じたそうだ。そこにいた研究室のひとたちは、びっくりしたそうだ。先生はテレビで放射能なんか、まったく心配ないと言っていたじゃないかというわけだ。そして、この話はすぐに学内で拡散したという。

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浅野正氏有罪判決に思うこと

 2020年3月16日に、妻を殺害した罪で起訴された浅野正氏に、懲役7年の判決が出された。控訴するかどうかは不明だが、この話題について、これまでまったく書かなかったが、判決が出た以上、書かざるをえないと感じる。
 浅野氏は、大学の同僚で、研究室が私の隣だった。ただ、彼との交流は非常に薄かったといえる。臨床心理学科だったが、私の専門が教育学であり、他の人は全員心理系の人だから、あまり話が合わないということもあったためだ。大学の教員は、自分の用事がない限り、大学に行かない人が多いが、私もその典型だった。
 一度だけ、浅野氏と比較的交流をもったことがあった。それは、私が申請した学部内での、しかも3年間かけるという共同研究に参加してもらったことだった。私が申請したために、私が彼に依頼をして加入してもらった。テーマは「少年法廷の研究」だった。初犯で軽犯罪の場合、少年たちが、被疑者の少年を裁く裁判で、アメリカではダイバージョンプログラムのひとつとして、正規の司法プロセスとして認められている。通常の大人により司法の判決よりずっと重い判決がでるが、前科が残らないというために、少年法廷が存在している場合には、そちらで受ける人が多く、しかも、再犯率が格段に低いという結果がでている、ユニークなアメリカの試みである。研究成果は、学部紀要に、参加者全員が論文を発表するかたちで公表した。近年メディアでも大活躍している前嶋和弘氏は当時同じ学部にいて、テーマの対象がアメリカだから、前嶋氏にも参加してもらい、大変刺激的な研究を実現できた。

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ウクライナ雑感 ウクライナ兵士の士気低下とヨーロッパの支援疲れ?

 昨日あたりから、youtubeやニュースで、ウクライナ軍兵士の士気低下が生じていると指摘されるようになっているが、欧米では、既にずいぶん前から指摘されている。私が読んだのは、Independent 誌だった。セベロドネツクの戦闘で、火力がロシア軍は10倍あり、ウクライナ兵はとうてい勝ち目がないと感じて、士気低下が著しいという指摘だった。そうしたことを日本のメディアは、ごく最近まで隠していたわけだ。
 これはゼレンスキーのミスのひとつだと思う。指摘はたくさんあったが、セベロドネツクは、一端戦略的に放棄して撤退し、欧米からの武器の到着をまって、反転攻勢にでるというのが、適切な判断だったと思う。そうしない理由として、セベロドネツクには1000名ほどの市民が残されているから、置き去りにするわけにはいかないというのが理由だった。しかし、その理由は、本当のものではないと思っている。いくらロシア兵であっても、市民を大虐殺することは、それほどないと考えてよい。キーウ撤退後の虐殺は、例外的な状況で起きたし、そのことが国際的な大批判に晒されたことで、ロシア側も修正するはずである。むしろ、兵力に圧倒的な差があるにもかかわらず、市街戦が行われていることこそ、市民にとっては危険な状況であろう。

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政治家の名誉毀損訴訟は敗訴させよう(細田・立花氏の提訴)

 立て続けに、政治家による名誉毀損訴訟が、二件起こされている。ひとつは、細田衆院議長からであり、もうひとつは、NHK党の立花党首からである。
 
 立花孝志「NHK党」党首は、テレビ朝日「報道ステーション」の6月16日放映に出席したが、予め、「テーマを逸脱する発言があった場合はしかるべく対応を取る場合もある」という手紙を受け取っていたが、ウクライナ戦争をテーマとする討論で、「テレビは核兵器に勝る武器です。テレビは国民を洗脳する装置です」という持論を展開したために、大越キャスターが、その発言はテーマにそっていない、と注意した。しかし、立花氏がそのまま発言を続けたために、大越キャスターが、発言を止め、立花氏が画面から消えたという。そして、別室からの参加だった立花氏は、その場を立ち去り、帰宅したが、そのまま帰宅途上の車のなかから、youtubeでライブで持論を述べたという。「テレビ朝日からの圧力」という題の配信だったという。

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「地球を救え スタートアップが描く未来」 目標・自由・規制2 教育の場合

 規制をどうするか。
 私の専門の教育で考えてみる。教育の世界にも、規制はたくさんある。まず、私立学校を設立するためには、知事(高校まで)や文部科学大臣(大学)の認可を受けなければならない。高校までの一条校の教育には、学習指導要領という「規制」が存在する。
 しかし、国の認可がなくても、学校を設立することができる国もある。アメリカが典型である。
 学校設立に規準や認可が必要であることと、必要ないことと、どちらが教育的に望ましいのだろうか。単純化していえば、多様な教育を認め、信念に基づいて教育活動が行える、つまり規制がないほうが、全体としては、活発な教育活動が行われ、子どもたちは、自分の気にいった教育を受けることができるから、十分な発達を促すことにつながりやすいといえる。しかし、教育の実態は入ってみなければ、十分にはわからないものだから、いざ入学してみたら、酷い教育条件だったということがありうる。規制の緩い専門学校で、留学生への教育をきちんと行わないために、留学生たちがどんどん行方不明になってしまった事例があった。当然その専門学校に対しては、厳しい監督と規制が行われたことだろう。

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