安倍元首相の国葬問題が大きな争点になっているが、政府の対応は相変わらずだ。要するに国民を愚弄している。適当にメディアを操作すれば、やがて諦めるだろうというような感覚に違いない。だが、国葬と統一教会問題が原因となって、岸田内閣の支持率はあらゆる調査で低下しており、自民党の支持率も低下しているのが特徴だ。もっとも、野党の支持率があがらないのも、当然だと思うのが残念だが。
国葬をすることにネガティブな意見は、いくつかの理由が考えられる。
・そもそも法律に規定のない「国葬」をやるのは違法ではないか。あるいは、いかがなものか。
・財政難の時期に、莫大な国費を投入してやる価値があるのか。
・そもそも、安倍元首相には、国葬をするほどの国家的貢献があったのか。むしろ、日本を停滞させた張本人ではないか。
そのほかにもあるだろうが、ここに来て、政府は第二の費用問題を「そんなにかかりません」と言わんばかりの数字をだしてきた。2億5千万だそうだ。しかし、これは式典にかかる費用だけで、実際には、警護費用が莫大にかかるし、招待する各国の首脳たちの滞在費用など、どれだけ日本で負担するのかわからない。これだけ国内的に問題になっている国葬に、来てもらうために、費用負担で日本側が譲歩する可能性もあるのではないか。すると、30億では済まない可能性もある。
政府が、国葬をすることの大きな意義として、首脳外交をあげている。オリンピックでは各国首脳がこなかったので、今度こそということなのだろうが、そもそも、岸田政権に、各国首脳が集まって、その時にこそ取り上げたい課題があり、岸田・林ペアが、そこでの課題の打開に向けて、効果的な布石をうてるような力量、準備があるのか。そもそも、30億以上かかるといわれている費用を、2億5千万で、そんなにかからないのだ、などという、いいわけじみた情報を公表するような、姑息な内閣だ。それが、世界の強者が集まってくるなかで、切り盛りできるのか、まったく疑問である。いいように、お金を絞りとられるのではないかと、不安のほうが大きい。統一教会問題では、「日本は韓国の財布」だったわけだか、今度は「日本は世界の財布」になりかねない。
昨日の一月万冊で、安富氏との回だが、アメリカがコロナの後遺症に関する詳細なデータを公表したといっていた。そして、歴史的に、イギリスとアメリカは、こうした不都合な事実についても、公表してきたというのだ。そして、それがイギリスとアメリカの国家としての強みになっていると、安富氏が語っていたが、なるほどと思う。
つまり、政策を決定するときに、事実をきちんと把握した上で、その事実をどう打開するかを考える、だから、結果的に効果的な政策がだされてくるというわけだ。イギリスが、近代社会になって、ほとんど対外戦争に負けたことがないのは、こうした事実を踏まえた政策をとっているからだ、と安富氏は分析していた。
それに比べて、日本はどうだろう。国の状況について、都合の悪いことも含めて、事実を曲げずに、国民に公表し、更に国民を納得させながら、政治を行ってきた、というようなことが、そもそもあっただろうかと疑問になる。各地で敗戦続きなのに、国内では勝っているかのような報道をさせていたのは、例外的であるとしても、安倍内閣において顕著になった、官庁のデータ改竄をみれば、情けないほどの事実無視である。岸田氏も、長く安倍内閣の重要閣僚だったわけであり、今回の2億5千万費用の公表をみても、とても、事実を踏まえ、それを国民に明らかにした上で、支持をとりつけて、政策を実行する、という姿勢を、まったくもっていないように思われるのである。
もっとも、現在は、インターネットという強力な情報反撃のツールがある。政府の嘘は、すぐに論破される可能性もある。国民の監視が重要だ。