徳岡直樹氏によるフルトヴェングラー、バイロイト第九の検証youtubeに対して、私は二度に渡って議論を呈したが、それに対してコメントがついた。コメントの趣旨は、根拠と証拠が乏しく、「~~と思う」という書き方が多すぎるということだった。証拠はないが、根拠は書いてある、そもそもこうした話題は、主観的なことがほとんどで、徳岡氏も同様だという回答だ。一応返事はしたが、もう少しつっこんで整理したいと思う。
こうしたことにあまり興味のない人には、何やってるんだと思うだろうが、ベートーヴェンの第九交響曲最高の名演奏といわれるフルトヴェングラーの第九、しかも、もっともよく聴かれる1951年、バイロイト音楽祭再開の冒頭の日に演奏された録音には、ふたつの異なった録音があるとされている。両方とも同じ日付の演奏となっているのだが、明らかに異なる演奏である。しかも、EMI、バイエルン放送協会のテープによってオリフェオという企業が発売しているもので、フルトヴェングラーの演奏であることを疑う人はいない。これらの演奏には、当初からさまざまな逸話がつきまとっていた。