プーチンの注目された演説は、大きな失望を与えたようだ。少なくとも西側には。もともと、ロシア国内向けと考えれば、当然なのかも知れないが、西側の期待を裏切ったというのは、皮肉だが。
プーチンの演説の要点は、アメリカとNATOが、ロシアの要求を受け入れず、安全を脅かしたので、先手を打たざるをえなかったのだ、ということにつきる。ロシアは悪くない、悪いのはアメリカとNATOだというわけだ。更に、軍事作戦の目的は、ロシアを脅かしているナチスから、同胞を解放することであるというのが、積極的な目的だそうだ。
それは、日本が太平洋戦争に突入していった論理とまったく同じである。アメリカが、日本にハル・ノートを突きつけ、さらに石油の禁輸などの経済制裁を強化したので、日本は、アメリカに戦争せざるをえなかったのだ。そして、それに対して、ABCD包囲網などを敷いてきた。そういう論理がひとつと、日本の戦争目的は、アジアを帝国主義植民地支配から解放することだったという論理があった。これは、プーチンのいう、ナチスの支配から解放するというのと重なる。