厚生労働省の公開審議で、塩野義製薬が開発した「ゾコーバ」に対して、緊急承認制度を適用することを見送ったと報道されている。
報道によると、「審議にあたり、薬の有効性や安全性を審査する医薬品医療機器総合機構(PMDA)は「有効性が推定できるとは判断できないが、医療・社会的観点から、本剤をより早期に使用可能とすることの検討も可能と考える」という報告書をまとめていた。6月の専門部会では追認する意見が上がる一方、否定的な意見も根強かった。」ということだが、結局、有効性が不十分だということだったのだろう。
しかし、以前のアビガンやイベルメクチンの際にも感じたことだが、日本の治療薬承認は、どうしてもダブルスタンダードがあり、欧米の大手製薬企業の承認については、極めて甘いのに、日本の製薬企業については、厳しいと感じざるをえないのである。専門家は、専門的な立場からと称して、日本の新薬について、科学的見地から有効性が確認できない、とその都度いうのだが、どんどん進行中の感染症について、専門家が主張する有効性の確認には、かなりの期間が必要で、その間にどんどんウィルス自体が変化していく。現在はBA5が大流行しているわけだが、開発中の治療薬は、当然以前のコロナウィルスに対しての治験だ。したがって、厳密な有効性など問題にしたら、ほとんど承認の余地がないことになる。だからこそ、緊急承認制度をつくったはずである。これは、有効性がかならずしも十分ではないが、ある程度認められ、安全性が確認されれば、暫定的に承認して使用できるようにして、使用しながら、効果を検証していくという方式のはずである。実は外国製の治療薬にしても、また多くの日本人がうっているワクチンにしても、そうした緊急承認制度によって、認可されたものなのである。ファイザーのワクチンだって、副作用がずいぶんきついとか、あるいは、ワクチンをうったが、感染したとか、厳密にいえば、有効性を疑わせる事象はいくらでもある。しかし、緊急承認制度で認可しているわけである。
ところが、日本では緊急承認制度で審査しているのに、旧来の発想でやっているのではないかという疑問がずいぶんでている。
ヤフコメには、専門家と称している人が書き込みをしているが、研究者たちは認可に積極的だったが、現場の医師たちが反対しているという見解を述べていた。しかし、本当にそうか。今日のモーニングショーでは、現場でコロナ患者をずっと診療してきた医師が、とにかく残念だ、現場では、医院などで診察して、処方できる経口薬がほしいのだが、今はそれがない、それができることを望んでいたので、認可してほしかったと、強く述べていた。現場の医師が、新薬を欲しないというのは、私には理解できない。その新薬が疑問なら処方しなければよいだけではないか。
モーニングショーでは、安全性への疑問が出されたという話もあった。それは妊婦には安全ではない可能性があるというのだ。そんな薬はたくさんあるし、現在認可されているコロナ治療薬のなかでも、妊婦には使えない薬がけっこうあるという。妊娠していたら使わなければいいだけのことで、それが理由で、認可しなかったのだとしたら、まったくおかしなことだ。
こう考えていくと、「陰謀論」はおかしいと言われるが、なんらかの圧力があるのか、と思うのは、自然なのではないだろうか。ダブルスタンダードが何故生じているのか、欧米の新薬は、緊急承認されているのに、何故日本の新薬は、緊急承認の審査にかけられているのに、旧来型の審査が行われているように思われる結論になるのか。
本当に不可解だ。妊婦以外の安全性は確認されており、総合的ではなくても、いくつの点で効果が認められているなら、緊急承認して使えばいいではないか。使いながら確認し、改良していくという方法もある。コロナのように、変質の激しいウィルスについては、そうした方法が有効なのではないだろうか。