科学技術立国としての日本の地位が低下していることが、しきりに言われるようになっている。あちこちで記事がでるが、本日(5日)に「「科学技術立国」生き残れるか テコ入れ急務の博士活用政策」と題する、かなり長文の論説がでた。
全体として、博士課程の充実と、博士たちの処遇の改善が、必要であるとするもので、現在の政策では、どんどん日本の地位が低下し続けると警鐘をならしている。
全体としての主張に異論はないが、しかし、多少粗雑で、領域を区別しない議論には、違和感を感じてしまう。博士といっても、分野によって、その重みが違うし、また、取得する大学院によっても、実はかなりのレベルの差がある。それに、日本社会では、博士号をもっていることが就職の条件になっているところは、極めて少なく、理系の大学くらいではないだろうか。大学といっても、文系の場合、博士号取得を条件にしているところは、極めて少ないと思われる。実際に、文系の場合だが、博士号をもっていない優秀な研究者はたくさんいるし、博士号をもっていても、あまり高い能力を感じない研究者もいる。