今回のワリエワのドーピング問題は、まだまだ尾をひくことは確実だ。問題はいくつかの層からなりたっていると思われる。
第一に、ロシアという、民主的とはいいがたい国家特有の問題である。オリンピックに極めて熱心に取り組んでおり、IOCの支持を獲得している中国も同様だ。プーチンが語ったことが、示唆的だ。「スポーツは国民の団結力、愛国心を高める」とプーチンが今回の問題を念頭において、取材に応じて語っている。オリンピックを肯定する人も、また否定する人も、このことは十分に考えているだろう。肯定派は、だからスポーツを振興させよう、そのためにオリンピックは最適の機会だという。反対派は、スポーツ、そしてオリンピックがナショナリズムの高揚のために利用されると批判する。