佐々木朗希の完全試合から学ぶこと

 昨日ロッテの佐々木が、21世紀初の完全試合を成立させた。あわせて、13連続奪三振の新記録、19奪三振のタイ記録まで達成している。メディア上でたくさん書かれているが、個人的な感想を書いておきたい。
 「近頃の若いもんは・・・」というのは、歴史の記録の最初期から見られる老人の嘆きらしいが、高齢者である私は、「近頃の若いもんは、すごい」と常々感じている。野球の大谷、将棋の藤井、そして、サッカーの若手たち。以前は、日本のサッカー選手は、とにかくシュート力が弱く、チャンスなのに、自信がないから他の選手にボールを廻してしまうというような指摘がなされていたが、最近の若手は、果敢にシュートを決めている。そして、そのすごい若手に、さらに佐々木が加わった。
 佐々木の活躍は、順調にいけば、確実視されていたから、その内素晴らしい記録を打ち立てるだろうとは予想されていたが、これだけ早く、またとてつもない記録とともに、完全試合を達成したのは、周囲のもり立て方も適切だったことを、強く感じる。

“佐々木朗希の完全試合から学ぶこと” の続きを読む

札幌五輪は招致すべきではない

 報道によれば、札幌市議会は、2030年冬季五輪の招致を可決したという。
---
 札幌市が招致を目指す2030年冬季五輪・パラリンピックについて、札幌市議会は30日の本会議で招致を支持する決議案を可決した。決議案は自民党、民主党・市民連合、公明党が共同で提出し、賛成多数で可決された。共産党、市民ネットワーク北海道は反対した。(朝日新聞2022.3.30)
---
 また、事前に行われたアンケートでは、約56%が賛成、約40%が反対だったという。しかし、世論調査には疑問もでていて、「そんな調査やっていたのか?」という意見や、新聞社の調査では、反対が多かったからか、公表後すぐに削除されたとか、賛成派にとって不都合な事実が、いろいろと語られてい。
 このことで、思い出すのは、荒川恭啓がやっていたラジオ番組で、東京五輪招致についての意見を求めたところ、圧倒的に反対が多くなった。もちろん、いくら政府に批判的な見解を述べることが多かった番組でも、オリンピック招致は、メディアとして実現したいというニュアンスで伝えていたのだが、この結果を伝えざるをえなくて、結果のみ発表したのだが、いかにも不快そうな感じで、そのあとすぐに別の話題にふってしまった。番組内で意見聴取をするなら、もっとちゃんと扱うべきではないかと思ったが、メディアってこうなのかと思ったものだ。

“札幌五輪は招致すべきではない” の続きを読む

トランスジェンダー選手の競技参加問題

 昨年の記事だが、アメリカのトランスジェンダー選手が、大学の水泳大会でめざましい活躍をしたことが話題になっているという。https://news.yahoo.co.jp/articles/fb100c8e5f4abc60c91cd33a0a3c27a938e5781d
 そして、東京オリンピックで話題となった重量上げの事例もあわせて思い出させている。ネットで検索した限りでは、女性アスリートの多くは、トランスジェンダー選手が女性選手として参加することについては、反対であるといえる。ただ、全体として女性アスリートの不利な状況に配慮している人は少ないのに、こういう問題だけ意見をいうのはどうか、という疑問を呈する女性アスリートの声はあった。
 さて、この問題は以前にも書いた記憶があるが、再度考えてみたい。そのために、「トランスジェンダー選手の五輪出場「オリンピックは排除ではなく、迎え入れる場所だ」。専門家はこう見る」という記事 の検討という形をとる。
 中京大学スポーツ科学部來田享子教授へのインタビューを元に、安田聡子氏が執筆した記事である。記事自体は、東京オリンピックに、トランスジェンダー選手が初めて正式に参加したとされているので、それをきっかけにした記事である。

“トランスジェンダー選手の競技参加問題” の続きを読む

ドーピング問題の本質はどこにあるか2

 今回のワリエワのドーピング問題は、まだまだ尾をひくことは確実だ。問題はいくつかの層からなりたっていると思われる。 
 第一に、ロシアという、民主的とはいいがたい国家特有の問題である。オリンピックに極めて熱心に取り組んでおり、IOCの支持を獲得している中国も同様だ。プーチンが語ったことが、示唆的だ。「スポーツは国民の団結力、愛国心を高める」とプーチンが今回の問題を念頭において、取材に応じて語っている。オリンピックを肯定する人も、また否定する人も、このことは十分に考えているだろう。肯定派は、だからスポーツを振興させよう、そのためにオリンピックは最適の機会だという。反対派は、スポーツ、そしてオリンピックがナショナリズムの高揚のために利用されると批判する。

“ドーピング問題の本質はどこにあるか2” の続きを読む

ドーピング問題の本質はIOCの商業主義にあるのでは?

 ワリエワのドーピング問題は、CASが競技に出場してよいという裁定を下して、一段落ついた形になっている。もちろん、競技がすべて済んだあとに、問題が蒸し返され、無効になるという可能性もあるのだろうが、とりあえず、ワリエワの出場する競技が済むまでは、一端休戦のような状態になるのだろう。
 それにしても、このドーピング問題は、不可解なことが多い。昨年12月の試合のドーピング結果が、なぜオリンピック期間中に出てくるのか。その後、無効、異議申し立ての繰り返しなどが起きている。非常におかしなことは、IOCが、ロシア反ドーピング機関による資格停止処分の解除に対して、CASに提訴したことだ。IOCは、オリンピックの運営機関であって、基本的にはそのすべてを決定する権限をもっているはずである。しかし、その判断を、自らするのではなく、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に委ねたことだ。自らの責任を放棄したに等しい。そして、CASも、ルールを無視するような裁定をしている。

“ドーピング問題の本質はIOCの商業主義にあるのでは?” の続きを読む

ドーピング問題 指導者への罰が必要だ

 北京オリンピックは、審判の判定問題が多数でている。私は、基本的にオリンピック反対派なので、中継はみないが、報道で知る限りでは、近年になく不明朗な判定で揉めている印象がある。ジャンプのスーツ、スピードトラック競技の失格判定、平野のジャッジ。そして、今後もおお揉めになりそうなのが、ワリエワのドーピング問題だろう。まだ決着がついておらず、どうなるのかわからない。
 ロシアは国家的な関与が疑われて、ロシア国家としての代表派遣が認められないので、ROCなる組織をつくって参加している。ただし、これについては、「ドーピングをまったくしていない個人」という参加資格があるから、競技当日の検査でシロならよいというわけではない。

“ドーピング問題 指導者への罰が必要だ” の続きを読む

箱根駅伝の疑問

 いつものように、昨日と今日箱根駅伝で行われ、大いに盛り上がったようだ。あまり関心はないのだが、家ではテレビをつけているので、食事などのときに一緒に見ている。ただ、毎年のことだが、いつも疑問に思うことがあるので、そういう文章も必要だろうと思い、整理してみた。
 
 最も強く疑問に思うのは、ランナーたちの間を走る車やバイクの多さである。テレビ放送のためにカメラを積んだ車両が走るのは仕方ないとして、近年は、コーチが乗った車が走者の後ろを走り、頻繁に指示を与えている。だから、ランナーは、前を走る人の姿が非常に見えにくいに違いない。この点の疑問はいくつもある。
 まずは排気ガスだ。これはずっと気になっていたので、マラソンや駅伝の選手に間接的に確認したことがあるが、ほとんど電気自動車などは使われていないそうだ。排気ガスが身体に悪影響ではないか、電気自動車を使うべきではないかという質問には、「そんなこと考えたこともない」という回答だったので、逆にびっくりしたほどだ。最近は、排気ガス規制も強くなっているので、以前ほどの害はないのかも知れないが、それでも、選手の健康を考えれば、排気ガスのない車両にすべきではないか。

“箱根駅伝の疑問” の続きを読む

大谷翔平MVP かつて否定した評論家が多かったが

 大谷翔平が満票でMVPを獲得した。満票かどうかが問題で、獲得は確実と言われていたが、予想通りというか、満票だった。一つ一つの成績では、タイトルをとっているわけではない。だから、あくまでも二刀流での偉業を評価されたということだ。
 彼が大リーグに二刀流で挑戦することがはっきりした時点で、日本のプロ野球の評論家たちの多くは、無理だ、止めた方がいいと語っていた。張本もそうだったし、江本などは、かなり詳しくたいした成績を残せないと断言していた。それについては、私はそうではないという趣旨の文章を書いた記憶がある。
 江本は、二刀流では、投手として最多勝とか、防御率トップなどのタイトルは無理だろうし、また、バッターとしても、首位打者やホームラン王なども無理だろう。結局、どの部門手も中途半端になって、たいした選手になれないと断言していたのである。だから、どちらかに専念したほうがいい、と。

“大谷翔平MVP かつて否定した評論家が多かったが” の続きを読む

白鵬の引退 相撲協会は民族差別をやめるべき

 白鵬が引退した。もう少し続けること思ったが、今から考えれば、もうずっと前に引退してもおかしくないような怪我だった。前にも書いたことがあるが、引退という契機に、再度書いてみたい。
 白鵬が引退に際して、今後、行動を慎むことの誓約書を求めたと報道されている。ここまでやるか、という寒々しい気持ちになった。白鵬が親方になったら、霞んでしまうような現在の親方たちが、自分たちの地位を守ろうと必死になっているような感じすらする。何故、ここまで彼等は白鵬を嫌うのだろうか。そして、それはどういう意味をもつのだろうか。
 私は、別に相撲ファンでもないが、この問題の背景にあることについては、無関心ではいられない。
 これまでは、明確には書かなかったが、相撲協会や、よき伝統に固執する相撲ファンたちの、白鵬への対応は、「民族差別」そのものである。白鵬は弱い存在ではないから、そうした差別をはねのけているが、それがますます差別意識を強めている。

“白鵬の引退 相撲協会は民族差別をやめるべき” の続きを読む

大リーグの乱闘

 大谷翔平の不調が、死球と四球の連発にあることを、前に書いたが、たまたまyoutubeをみていると、大リーグの乱闘映像がたくさんあったので、いくつかみてみた。すると、あまりに日本の状況と違うので、びっくりした。
 日本でも、プロ野球で暴力沙汰はあるし、両軍の選手か出てきて揉めることもある。しかし、暴力沙汰はあっても、特定の人間、しかも多くは外国人選手が絡んでいることがほとんどで、日本人選手が本気で殴りあうような場面は、少なくともyoutubeでの乱闘場面でもない。日本だと、ベンチから出てきた選手は、止め役がほとんどで、あるいはだまって立っている。当事者以外の選手が殴りあうような場面は、見たことがない。
 それに対して、大リーグの乱闘シーンは、とにかく、出てきた選手がそれぞれに乱闘に加わってしまうような感じが多い。もちろん、多くは止めにはいっているのだが、それでも抑えられない。
 乱闘の原因はいくつかあるようだ。

“大リーグの乱闘” の続きを読む