今日は演奏会だった

 今日は、私の所属する松戸シティフィルハーモニーの演奏会だった。創立40周年記念ということで、私は半分在籍していたことになる。当初記念の演奏会なので、ひとつのプログラムで全員出演することができるということで、マーラーの6番予定だったのだが、コロナの影響で、どれだけ練習ができるかという不安があったために、曲が変更になり、ほとんど誰も知らないハンス・ロットの交響曲一番を中心とする演目になった。他にブラームスの悲劇的序曲と、ワーグナーのタンホイザー序曲だ。前にも一度ここらは書いたが、実際に演奏したということで、再度報告したい。
 当初負担を軽くするということだったが、結果はまったく逆で、負担がずっと重くなった。タンホイザー序曲は、とくに弦楽器にとっては、難行苦行のような曲だ。不思議なことに、そういう部分は、指揮者はあまり練習しない。練習してもできるようになると思っていないからなのか、できなくても仕方ないと思っているのか、メロディー部分ではないので、目をつぶることにしたのか。「何故練習しないのか」などと指揮者に質問して、取り出し練習などさせられたらたまらないと思うから、練習しないことに、団員はほっとしている。もちろん、練習するようには言われるし、弾けないのは悔しいので、私もかなり練習はしたのだが。

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狼少年が本物にならなければよいが プーチンの脅し

 プーチンが、これまで避けてきた兵の「動員」をすると宣言し、更に、ウクライナ占領地でのロシア編入を問う住民投票、そして、再度の核の脅しをするに至って、ウクライナ情勢は更に流動的になっている。欧米識者たちの見解は、これは、プーチンの焦りの表れであり、プーチンの終わりの始まりだ、核の脅しはこれまでさんざんやってきたことで、本気ではない、住民投票は、ウクライナの攻撃はロッシーニ本土に対する攻撃と見なして、戦争を本格化させる布石である等々である。もちろん、多少の異論もあるが、大方はこのような見解が公表されている。全体としては、確かにそうなのだろう。しかし、事態は思わぬ方向に滑り出してしまうこともある。セルビアでオーストリア皇太子を暗殺したひとたちは、第一次世界大戦を引き起こそうと思ってやったわけではないだろう。そして、多くの政治家たちは、参戦しつつも、世界大戦が4年間も続くとは思っていなかった。

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免許更新制度廃止の次に大事なこと

 教員の免許更新制度がなくなって、その後の研修の在り方だけではなく、大学がその分の収入がなくなることが論議されているという。
 忘れている人が多いと思うが、免許更新制度は、安倍一次内閣の置き土産のようなものだ。安倍氏は、いろいろな面で、公約を実現しなかったが、教育に関しては、かなりの「実績」をあげた。私からすれば、害のある「実績」ばかりだが。最大のものが「教育基本法」の改定であり、「道徳」の教科化だった。その他、全国学力テストの復活などもある。

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追い詰められたプーチン

 ウクライナ情勢が大きく動いている。
 ウクライナが東部と南部で大攻勢をかけ、特に東部でロシア軍をかなりの部分で退却に追い込んだ。その際ロシア軍は、軍の装備の多くを捨てたままに逃亡したとも言われている。南部では、東部ほどではないが、ヘルソン市奪還にむけて、少しずつ前進している。ロシア軍が不利になりつつある時期から、ロシアは長距離ミサイルで、原発付近や市街地、インフラを攻撃することが多くなっている。原発の近くにミサイルが着弾したこともあった。ロシア国内からも可能なこうした攻撃は、極めて危険なものであり、ウクライナがロシア軍を追い込んだからといって、決して楽観できるものではない。

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対照的な岩田明子氏と中村敦夫氏の状況把握力

 世の中で起こっていることを、つまり同じ事態を見ていても、極端にいえば、そこに重大な問題を感じる人もいるし、また、見ていないと同じような感覚しかもたない人もいる。それは、その人の価値観によるものなのだろうか。現在、世論が分かれている国葬にしても、国葬に何を見るか、それをどう解釈するか、人によってまったく異なった結論が出てくる。
 そうしたことを考えながら、最近読んだ文章で、対照的な意味で興味深かったのは、岩田明子「安倍晋三秘録1 暗殺前夜の電話」(『文藝春秋』2022.10)と中村敦夫氏へのインタビュー記事「旧統一教会追い50年、中村敦夫さん「安倍氏への忖度で右往左往」」(朝日デジタル2022.9.18)だ。岩田氏は、有名な安倍晋三番の記者で、強固な安倍支持者だった。しかし、安倍氏が暗殺され、その後統一教会との癒着が暴かれるようになり、NHKも辞めて、しばらく表舞台に出てこなかったが、『文藝春秋』に、安倍追悼のような文章を寄せた。暗殺の前日の夜に、安倍氏と電話で話したという内容が中心だ。

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レーシングカートで死亡事故

 北海道の自動車販売の催しの一環として行われたレーシングカートで、子どもによる死亡事故が起きた。子どもが遊園地などで乗ることができるゴーカートは、30キロ以下の時速で、比較的安全だが、ここで使用されていたのは、レーシングカートと呼ばれるもので、時速40キロまで出るそうだ。時速40キロは、通常の自動車が市街地を走る速度であって、決して遅くはないし、不注意の運転をすれば、免許をもった大人でも事故が起きやすい速度だ。それを、こうしたカートにせよ、初めて乗る子どもにとって、決して危険がないわけではない。
 事故が起きた場所は、陸上のトラック(もちろんより狭い)のような場所を走るもので、直線を走ったあと、右に曲がって次の角で降りるような設計になっている。しかし、運転していた子どもは、直線コースで、曲がるための減速をしなかったために、そのまま突っ込み、そこで見学していた人たちに怪我をさせ、2歳の子どもが死亡したというのだ。(記事は多数あるがそのひとつ)

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統一教会との個人的関係を追求するより大事なこと

 現在、統一教会問題は、自民党を中心とする議員の関わりを明らかにするというところに、焦点のひとつがあるが、これを巡って自民党内部で深刻な対立があるという。「「旧統一教会問題」岸田総理と自民党幹部の間で生じる深刻亀裂」https://news.yahoo.co.jp/articles/a179399c116b0c962798866f0b788d322f92b87d
 公表をしぼるべきとする茂木幹事長と、接点のあった議員は全員公表すべきという岸田首相が、激しく対立し、結局世耕参院幹事長の「議員本人が出席した以上を公表」という提案を、落しどころにしたところ、179名の公表となったというわけらしい。注目すべきなのは、その話合いのなかに、羽生田政調会長がいたことだ。最もずぶずぶだった一人が参加している会議で、まともな話し合いができるのか、ということだ。結局岸田首相の指導力の不十分さが露呈した。
 世論は、もっときちんと調査して、徹底的に膿をだすべきだというのが、大きな方向のようだ。世論調査でも、この記事のコメントでもそれを感じる。
 
 しかし、私は、どうもそれは違うのではないかと感じている。一番大事なことは、反社会的団体であると、自民党も認識しており、統一教会支持者以外の多くが同意している統一教会の反社会性を、反社会的組織ではないようにすることだろう。これまで何度も書いてきたが、その方法はいくつかある。

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安倍元首相狙撃の考察12 テロ小説家の推理のあまさ

 大手メディアが、「山上は真犯人か」という疑いを一切無視していることは、現在ではも変化がない。だから、毎日新聞の「特集 安倍晋三元首相銃撃」というかなり多くの記事がある連載も、最近はほとんどが国葬話題となっている。そして、久しぶりに「銃撃想定せずマニュアル不徹底」という記事がでた。
 国際テロを扱った警察小説で知られる麻生幾氏へのインタビューを元に構成された記事である。(筆者は大沢瑞季) 私は、そうした小説を読まないので、知らない人だが、記事によれは、その方面では有名な人だそうだ。そうであれば、当然、山上は真犯人なのか、ネットではたくさんの疑問が呈されているのだから、そのことは知っているだろう。にもかかわらず、その点の考察は一切ない。

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安倍氏の葬儀は終わっているのに国葬?

 安倍元首相の国葬論議は、いまでも激しさをましており、反対派の一部は、各国の在日大使館や招待されている人にむけて、欠席要請の手紙を出したりしているようだ。それに対する反発も大きい。
 しかし、よくよく考えても、なぜ9月27日に行われる儀式が「国葬儀」なのかが、常識的にも理解できない。安倍元首相の葬儀は、7月12日に東京増上寺で行われている。ちゃんと報道もされているのだ。https://www.bbc.com/japanese/62131438
 葬儀を2回行うのか。それとも、増上寺で行われたのは葬儀ではないのか。通常、正規の国葬として行われているものは、文字通り「葬儀」であって、2度目の儀式ではない。エリザベス女王の国葬は、そこで初めて行われる「葬儀」である。これは当たり前のことだろう。だから、政府がやろうとしているのは、一般的には、「忍ぶ会」として行われている儀式といえるだろう。それを「国葬儀」と呼ぶのは、いかにもごまかしではないか。

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カルロス・クライバー 音楽家としては最高だが、指揮者としては?

 車田和寿氏のyoutube「音楽に寄せて」で「人気投票第一位 華麗なる天才指揮者 カルロス・クライバー」というのがあった。クライバーの生涯や指揮の特質など、わかりやすく解説されている。https://www.youtube.com/watch?v=tFm4K7gXQhw
 しかし、私はクライバーは、「音楽家」より広い意味での「指揮者」として、それほど高く評価できないのだ。クライバーが正規に録音、録画して市販されたものは、すべて所有しており、すべて複数回聴いているから、彼の指揮する音楽が、非常に魅力的であることは、十分に感じている。しかし、指揮者は、演奏することだけが仕事ではない。そこが他の器楽奏者とは違うところだ。
 たとえば、ピアニストがある日の演奏会をキャンセルしたり、あるいは、レコーディングした結果が気にいらなかったので、OKを出さずに販売されなかった、という場合、その損害はピアニストが負えばよい。もちろん、スタッフもいるわけだが、大きな損失はピアニスト本人だろう。だが、指揮者はそうはいかない。演奏会がキャンセルされても、代わりの指揮者が代行すれば問題はないが、録音が終了したものを没にされたら、損害を負うのは、指揮者だけではなく、オーケストラの団員にも及ぶ。オペラの録音などは、更にソロ歌手、合唱団もいる。

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