今回は、民主主義における基本的人権と組織の権利について考察してみたい。藤田氏が、著作や記者会見で公表する前に、何故党内で意見を述べなかったのかと批判していることは、前回紹介した。実際に松竹氏が、党内で意見を述べていたかどうかについては、よくわからない。松竹氏の本書において、その点は触れられていない。実際には、身近なひとたちに言っていただろうと思うが、少なくとも党本部に対して意見具申はしていなかったという前提で、考えてみたい。
お断りしておくと、私は共産党の人間ではなく、内部や規約のことは知らない。こうした本や記事に引用されている限りで知っているだけである。だから、現実の党への提言などをするつもりで書いているわけではなく、あくまでも現在の日本における組織のあるべき姿を、考えようとしているだけである。
前回引用した規約3条の「民主的な議論をつくし」と「意見がちがうことによって、組織的な排除をおこなってはならない」のふたつをどのように、この事例で考えるか。