倍速視聴を批判する記事が増えているが

 私はyoutubeや録画したビデオを見るときには、たいてい早見機能を使う。だいたい1.5倍の速度だ。DVD-RやBD-Rに録画したのを早見機能で見たいと思っていて、それが可能なプレーヤーを探しているのだが、なかなか見つからない。私がもっているソニーのブルーレイ・レコーダーは、ひとつだけが早見機能をもっているが、それはハードディスクに録画したファイルのみ適用可能で、一端ディスクに移してしまうと、使えなくなる。
 こうした倍速視聴、早見は、私にとっては当たり前の機能だし、活用だが、そういうことに異議を唱える書き込みを、最近いくつか見た。
 本日(7月3日)の毎日新聞もに掲載されている。「映画観賞、早送りで? 若者に多く 背景に『余裕のなさ』」という山下智恵執筆で、稲田豊史氏のインタビューを基にした記事である。稲田氏は、『映画を早送りで観るひとたち ファスト映画・ネタバレ--コンテンツ消費の現在形』という著書で話題になっている人なのだそうだ。

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映画東京オリンピックsideB Aより大分落ちる

 河瀨直美監督の東京オリンピックsideBを見た。Aは比較的よかったと思い、ブログにも書いたが、Bは完全に失望という感じだった。事前に、映画コムでのレビューを見ていたから、期待はしていなかったが、ほとんどすべてが否定的だったレビュー通りだったといえる。
 上映期間も1週間だから、もともと客がはいることは期待していなかったのかも知れない。レビューには、オリンピック自体が無観客だったのだから、映画も無観客なのだろうという文もあったくらい、かなしいほどの客の入りだ。Aは5名で、今回は同じ映画館だったが12名だった。Aはけっこう評価が高かったので、Bも見てみようという人がいたのかも知れない。
 Aは、 それでも「発見」があった。そして、勝利者の激闘ではなく、出場そのものに困難があったアスリートたちの物語という「筋」があり、そういうひとたちはメダルをとっていないので、話題になっていない人がほとんどだから初めて知ったし、また、こういう努力もあるのかという驚きもあった。出産後間もないのに出場して、レース途中に棄権せざるをえなかった女性マラソンランナーなど、メディアは取り上げていたのだろうか。

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福井大学での論文査読の不正

 
 学術雑誌の査読不正は、しばしば起きるが、福井大学の教授が、査読担当者であった千葉大学教授にコメントを求めたという不正が明らかになった。
 大学では、教員の業績を審査する上で、査読付き論文の数を、最も重視する。そして、その雑誌の権威が高いほど、業績が高く評価される。理系の研究者であれば、Natureなどに論文が掲載されると、就職に極めて有利になる。学術論文といっても、まったく査読がない、フリーパスの雑誌もある。ほとんどの大学の紀要はそうだ。しかし、紀要の論文だから、水準が低いとは限らない。私自身就職が決まってからは、研究論文は原則学部紀要に書いた。他に応募する必要もないし、特に、私自身が委員長になったとき、紀要の規定を変更して枚数制限をなくしたこと、マルチメディア機能を付加したことで、他の学術雑誌に執筆する意思はまったくなくなった。それから、日本だけでも、膨大な学会があり、それだけの学会誌があるから、査読といっても、厳密でない場合も少なくない。査読論文だから質が高いとは、必ずしもいえないのだ。
 
 査読不正だが、注意しなければならないことは、問題になるケースが多いのは、査読を受ける側の不正だが、査読をする側の不正も少なくないとされる。多くは闇のなかだから、表面化することは少ないと考えられるのだが。

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「地球を救え スタートアップが描く未来」 目標・自由・規制2 教育の場合

 規制をどうするか。
 私の専門の教育で考えてみる。教育の世界にも、規制はたくさんある。まず、私立学校を設立するためには、知事(高校まで)や文部科学大臣(大学)の認可を受けなければならない。高校までの一条校の教育には、学習指導要領という「規制」が存在する。
 しかし、国の認可がなくても、学校を設立することができる国もある。アメリカが典型である。
 学校設立に規準や認可が必要であることと、必要ないことと、どちらが教育的に望ましいのだろうか。単純化していえば、多様な教育を認め、信念に基づいて教育活動が行える、つまり規制がないほうが、全体としては、活発な教育活動が行われ、子どもたちは、自分の気にいった教育を受けることができるから、十分な発達を促すことにつながりやすいといえる。しかし、教育の実態は入ってみなければ、十分にはわからないものだから、いざ入学してみたら、酷い教育条件だったということがありうる。規制の緩い専門学校で、留学生への教育をきちんと行わないために、留学生たちがどんどん行方不明になってしまった事例があった。当然その専門学校に対しては、厳しい監督と規制が行われたことだろう。

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先進国最低のジェンダー平等、まず何を変えるか

 先進国における女性の活躍、男女の平等において、日本が最低であることは、長く問題とされてきた。政府も、取り組むという表向きの姿勢をみせているが、実はこのランクは低下傾向にある。いろいろな議論がなされているが、私なりに考えてみたい。
 まず、高齢者となってしまったが、団塊の世代としての、ひとつの実感を確認しておきたい。私が学生の頃は、まだ大学進学率は男女差がけっこうあって、四大にいく女性はまだ少なかった。かつ、私は男子校であり、大学も男子校的なところ(女子学生は1割未満だった)だったためもあってか、リーダーとしての資質や知的能力において、この人はすごいと実感した女性には、あまり遭遇したことがない。そもそも、社会のなかでリーダーとして遇されていない時代だから、当然のことかも知れない。

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ドキュメント 「地球を救え スタートアップが描く未来」 目標・自由・規制

 日本経済が不調になって久しい。どうしてそうなったのかは、専門家ではないので、私に明確な回答があるわけではないが、誰でも思うのは、世界を牽引する新しい技術を生み、それを製品化できていないことがひとつ、そして、日本の人材活用が様々な点で有効でないことだ。後者の結果が前者なのかも知れない。
 ソニーは、世界の電気製品のいくつかの新しい技術を生み、世界的なリーダー企業のひとつだった。しかし、アップルを創業して発展させたジョブズのドキュメントをみて、驚いたことがある。iphoneの前の段階のipodは、あの技術を開発した企業から、技術を買い取り、アップルが製品化したものだが、その技術を開発した企業は、製品化してくれる企業を探していた時、まずはソニーに声をかけたのだそうだ。当然だろう。ウォークマンを開発して、音楽視聴のスタイルに革命的な変化をもたらしたソニーであるし、その技術は、明確にウォークマンのデジタルバージョンということもできた。しかも、ソニーは膨大な音楽や映画ソフトを所有している。しかし、ソニーはそれを断ったのだそうだ。そして、結局アップルが採用して、ipodとして結実し、単なる機械の革新ではなく、ソフトウェアの形態も変えてしまったのである。ウォークマンもテープをいれて聴くものだったが、ipodは、ネットを通して音楽や映像を入手するという、新しい鑑賞形態を生み出しただけではなく、ウォークマンは90分程度の音楽テープを持ち歩くだけだったが、ipodは数百時間分の音楽をなかにいれることができた。その後、こうした視聴形態が主流になっていく。そして、ipodの発展形がiphoneなのだから、ソニーとしては、逃がした魚は本当に大きかったといえる。 

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ドキュメント「権力と闘うあるロシアTV局の軌跡」ロシアの報道の自由の悲惨さ

 日本は、G7では報道の自由ランクで最下位であり、かなり問題であるし、近年更に低下傾向にある。2022年では71位である。韓国嫌いの日本人が多くなっているが、韓国は、43位で日本よりもずっと報道の自由がある。日本人としては、本当に真剣に考えねばならない。そして、ウクライナに侵略戦争をしかけているロシアは、2022年155位となっている。昨年より低下している。
 そして、このドキュメントは、ウクライナ侵攻の6日後に、ロシア政府によって廃止に追い込まれた独立系テレビ局「ドシチ」の誕生から消滅までの記録である。ロシアにもこんなテレビ局があったのかというほど、徹底した「事実報道」によって際立っており、そして、プーチンに直接にらまれたのも、必然だったともいえる。しかし、逆に、こうした報道を求めているロシア人がいたことも、また否定できないのである。
 
 5月中旬にNHKBSで放映されたイギリス制作のドキュメント番組で、「メディアを支配するものが思考を支配する」という言葉から始まる。

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中山道旅行記補充3

6月1日
 
真田重吉 中山道上州七宿画展
 
 知らない人だったが、中山道の宿場を描いた作品が展示されているというので、ここに入ったが、とてもよかった。江戸時代の宿場町というのは、街道の両側に旅籠や本陣などが並んでいて、まさしく「宿場」のための町だ。人がたくさん行き交うので、絵画としては活気がある風景を描くことになるし、また、宿場ごとの特質があって、じっくり見ると面白い題材だ。現在はこうした市街地はまったくないので、歴史の一面を知る上でも重要だ。ただ、残念なのは、こうした有料の展示場は、なかで写真を撮れないことで、無料のところは撮影自由なところが多いのに、なにか変な感じもする。有料なのだから、写真くらい撮らせてもいいではないかと、いつも思うのだが、どうだろうか。しかも、こうした絵画の展示があるのに、それらをまとめた写真集を販売しているわけでもないのだ。

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中山道旅行記補充2

5月31日
 
高崎白衣大観音像
 達磨寺を終えて、近くの高崎白衣大観音像に移動する。この観音像は、高崎市のかなりの範囲で見える、高いところにあり、かつかなり大きいものだ。
 車でこの先、徒歩数分という入口近辺まで行き、無料駐車場を探したが見当たらない。ネットでは、専用の駐車場があるように書いてあったが、ないので、お土産屋さんに聞いてみると、警察が来ないから、そこらに駐車しても大丈夫という。しかし、明らかに違法駐車なので、少し戻ったところに「観音様に一番近い駐車場」という有料のところにとめた。同じようにお土産屋さんだったが、駐車券が金券(その店だけで有効)となる駐車場で、事実上無料だった。

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中山道旅行記補充1

 昨年10月に、旧中山道を車で行こうという旅行をして、ここで経過を報告したのだが、その前に起こった私の腰痛のために、最初の宿泊地をキャンセルして、一日待ってから高速を使って諏訪まで直行したのだった。だから、高崎で国道17号から18号に分岐するのだが、18号分は、その時には走っていない。しかし、18号の大部分は、以前に何度か走っているので、その欠損部分を補うというより、宿泊して見学しながら地域巡りをする部分を、リベンジをしようということで、最初の宿泊地の予定だった安中巡りを計画した。
 
5月31日 高崎
高崎城跡
 5月31日に家を出発、高速でまず高崎に向かった。もし城址公園があれば、まずはそこには行くことにしているので、高崎城跡を見ようということになった。ただ、残念なことに、高崎城は、明治にほぼ壊されてしまって、ごく一部しか残っていない。高崎城は、徳川家康が江戸に領地替えになり、四天王の一人井伊直政によって築城され、代々重要譜代大名が領主だった重要な藩であり、城であるのに、ほとんど残っていないことはとても残念だ。跡地は市役所を始めとして、様々な施設に活用されてはいるし、堀の一部なども残っている。

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