不祥事と上映問題を考える 「緊急取り調べ室」

 猿之助が出演している映画「緊急取り調べ室FINAL」が、とりあえず上演延期になった。報道によると、役者を変えて、その部分だけ取り直しをするのだという。その部分だけといっても、重要なゲスト出演の役、つまり、準主人公みたいなものだから、たぶん出場場面もたくさんあるだろうから、かなりの負担となるだろう。
 このような出演者による不祥事のための作品、とくに映画やテレビドラマの中止、延期問題は、毎年のように繰り返されている。そして、賛否両論メディア、ネットを賑わせる。難しい問題だが、ここで書く以上の効果を期待しているわけではないが、ひとつの見解を表明しておきたい。
 
 結論を最初にいえば、少なくとも、出演者に不祥事があったとしても、上映中止にする必要はないということだ。ただし、今回は延期であって中止ではないので、また別の判断が必要だし、単なる延期ではなく、取り直しということなので、そのことによる問題が発生する可能性もある。

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WBC韓国選手、飲酒で謝罪

 韓国で、WBCネタで大きな問題がおきているのだそうだ。
「揺れる韓国プロ野球界!日韓戦前日の“深夜の酒盛り騒動”発覚で「日本キラー」は二軍降格「ベテランとして考えが浅はか」」
 簡単にいえば、WBCの試合の前日に、主力選手が高級な店にいって飲酒していたというのだ。記事によれば朝帰りだったそうだが、全員がそうなのか、何時だったのかは不明である。当事者たちは批判された内容を認めているということで、謝罪をしている。球団としての処分も検討されているという。そして、ファンは激怒しているような報道である。
 
 面白いことに、日本人が書いているコメントのほとんどは、大人だし、プロなんだから、批判するようなことではない、それがいけないなら、次に選出しないとか、成績が落ちているなら、それによる対応をすればいいことだ、という、非難そのものに対する疑問が圧倒的なのだ。韓国の場合、決勝ラウンドにもいけずに敗退したために、犯人探し的な雰囲気になっているのだろうが、おそらく、日本なら、犯人探し的な雰囲気にはならないと思われる。ファンたちの「熱さ」の違いなのかも知れないが、やはり、国民性の違いだろうか。

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猿之助事件でみる歌舞伎界の前時代性

 猿之助事件は、当然その中心的問題は、犯罪に該当するのかどうかという点だが、それは別途考えることにして、その前の段階のことを考えたい。
 歌舞伎界が、他の芸術・芸能分野と極めて異なるのは、いまでも中心役者の育成が世襲家族単位が基本になっていること、そして男性だけの世界であることだ。女性差別に対して、非妥協的に批判する団体は、この歌舞伎の男性限定の世界に対して、どう思っているのだろう。私の見る限り、歌舞伎界も女性に門戸を開け、という主張を大々的に行っているとは思えない。ウィーンフィルがアメリカに演奏旅行にでかけたとき、アメリカの女性差別反対の団体が、大きな抗議運動をして、その後ウィーンフィルが女性団員を認めることになったという経緯があった。記録によると、歌舞伎は、2013年にアメリカ公演をしている。ウィーンフィルへの抗議運動以降だが、抗議運動があったとは記されていない。オーケストラとは受け取りが違うのかも知れない。

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ジャニーズ問題の一側面

 BBCが昔のジャニー・喜多川氏による性加害問題を報じたことで、日本でも、ついにという感じで、大きな問題になっているようだ。私自身は、この分野(音楽・ドラマ)にまったく興味がなく、学校の音楽の時間に習うらしいスマップの歌も、年代が違うこともあり、まったく知らないのだが、私自身は、多少ななめからこの問題を考えている。それは、端的にいって、ネット対テレビという勢力争い、あるいはネットによる告発対テレビによる既存勢力の防衛戦といったらいいだろうか。(性被害問題については、被害者救済の措置がとられるべきことは当然なので、ここでは論点とはしない。)

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気になるアメリカの分断

 アメリカという国は、本当に不思議な国だ。確かにネイティブ・アメリカンといわれるひとたちがいるけれども、やはり、今のアメリカ合衆国をつくったのは、主にヨーロッパからの移民であり、更にアジア等も含めた移民たちによって、多様な面を含みつつ、建設されてきた。つまり、中世が存在せず、近代のみがある。そして、これまでの中核がアングロ・サクソンだったとはいえ、実に多様な地域からはいってきたひとたちが、それぞれの文化を価値観を持ち込んでいる。だから、多様性というよりも、むしろ対立した価値観が競争しているようなところがある。

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書籍のストリーミングサービスの拡大を

 五十嵐顕著作集との関係で、マルクス・エンゲルスを読みなおそうと思って、大月書店の「マルクス・エンゲルス全集オンライン」を申し込んだ。書籍ももっているのだが、このオンラインは、研究する視点で読むときには、紙とは比較にならないくらいに便利だ。もちろん、書籍をもっていない人にとっても、現在絶版のはずだから、自由に読める。
 何が便利かといえば、検索機能が使えることだ。「教育」「学校」という検索語をいれると、マルクスとエンゲルスが、この単語を使用した文章の一覧がでてきて、順番に読むことができる。だから、読み落としがないわけだ。検索語は自由に設定できるので、それぞれの問題意識から、必要な文章を選び出せることは、研究者にとっては、実にありがたいシステムである。
 
 そこで、こうしたオンラインで読めるサービスを探したところ、「サブスク電子書籍読み放題」という文章で23のサービスが紹介されている。私自身、これまでアマゾンのunlimeted、タブホ、楽天マガジンを利用したことがあるが、この23を見ると、まだまだ日本でのサブスク電子書籍は、未発達だと思ってしまった。

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環境が変わらないと気付くのは難しいのだが

 宮崎園子という、元大手新聞社の記者だった人が、退社してフリーランス記者になって「よくわかった」ことを書いている記事が出た。(3月6日付け)
「新聞記者を辞めてよくわかった、新聞が読者の「知りたい」に応えられない理由」
 
 一読して残念な感じになる文章だった。新聞社の記者だったときには、よく分からなかった、あるいはあまり強く意識しなかったことを、フリーランスという立場で活動するようになって、実感としてわかるようになったことがいくつかあるという記事だ。
 地方議会の取材にいったときに、記者席に座ろうとしたら、記者クラブに入っていない記者は座れないのだ、と言われて、改めて記者クラブにいることによって、大きな情報アクセスの機会が保障されていたのだということ。記者クラブは特権だったと気付いた。

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チャットGPTを使ってみた 学校で利用できるか

 話題になっているチャットGPTが、羽鳥モーニングショーで取り上げられていて、なかなか興味深かったので、考えてみた。解説者によると、産業革命以来の大きな社会変革がもたらされるという。AIは確かにそのように言われていたが、いよいよその実感を伴う変動が置きつつあるということか。実際の感覚を掴むために、早速使ってみた。
 教育を専門にしてきた者としては、学校現場への影響がまず考えざるをえない。
 学校で生徒が利用するとしたら、調べ物をすることと、レポートを書くこと、更に、作文、特に英作文には活用できそうだが、問題は「調べる」「レポートを書くこと」についてだろう。
 「調べる」については、かなり精度が低いように感じた。以下は、桶狭間の闘いについて質問してみた回答である。最初の回答が明らかに間違っているので、その訂正を求めたのが後半である。

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オリビア・ハッセーが映画会社を提訴

 オリビア・ハッセーが、レナード・ホワイティングとともに、パラマウント・ピクチャーズを訴えた。多くの記事がだされているが、以下が比較的詳しく、また1000以上のコメントがついている。
「ヌードシーンが児童虐待、1968年『ロミオとジュリエット』で製作会社訴え」
 こうした話題について書くのは、あまり気が進まないのだが、共感できない部分が多かったので、考えてみることにした。
 まず、有名なフランコ・ゼッフィレルリ監督の映画「ロメオとジュリエット」(1968年制作)で主演を演じたのが二人の提訴者だ。コメントでも多くが語っていたのは、何故今になって?ということだ。50年以上前の映画なのだ。

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今後の予告 シャーロック・ホームズ考察

 今日は久しぶりの市民コンサートで、ベートーヴェンの第九交響曲を演奏した。第九はやはりとても疲れる。特に、非常に速いテンポで演奏されたので、緊張も大きかった。私たちのオーケストラは、毎年12月に市民コンサートとして、このために編成される市民合唱団と、合唱付きの大曲を演奏するのだが、コロナのために2年間は中止せざるをえなかった。今年はぜひやろうということだったが、コロナの心配もあり、合唱の人数を絞った上での演奏会ということになり、合唱が響くだろうかと心配したのだが、聴いた人の話では、しっかりと響いていたということだ。合唱・独唱とオーケストラが合わせたのが、前日と当日だけだったのだが、何度も演奏したことがある曲なので、それでもなんとかなったようだ。
 ということで、今日は、あまり書くことがないので、予告編を。

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